1-1.5
「……。……わかっている、アレに手は出さない」
ローブを纏う影が、木の枝の上で呟いた。
その声は葛藤や混乱に満ちているが、その影は手は出さないという言葉の通り動く気配はない。
その影は長いこと、自分の眼下を無防備に歩いていく人影二人を見つめていたが、とうとうその二人が遠く見えなくなるまでその場を離れることは無かった。
突然の来訪者もようやく消え、いつもの世界が戻っていく。
ローブを纏うその人は、心底安心したように息をつく。
そして、その煩いほどの木々のざわめきに身を委ねるように枝から飛び降りた。
ああ、早く自分の帰りを待つ少女に何も心配はいらないと教えてやらないと。きっと不安にがたがたと震えているに違いない。
フードの中で風が暴れる。ふわりと持ち上がったフードの下から、様々な色合いの長髪が噴き出した。
黒、茶、金、赤……どれも等間隔で並んでいて、ともすればこれは、ただの髪を模したアクセサリーなのかもしれない。
しかしそれを見ていた者は美しい月以外には無いのだった。
土曜更新といったな、あれは「最低でも土曜更新」の略だ。
つまりは投稿したかったんです。この人もまた長髪なのだった。お前は長髪しか書けないのか?