世界観 用語など
この書は物語の進みによって、稀に奇数日に内容が加筆されていく。
加筆した日付はその前に記入される。
物語の大体の流れを知りたい者、結末を知ってから楽しみたい者、この物語が自分に合うかどうかが気になる者はここを読むべし。
そうでない者は軽く読むことをお勧めする。
遥か昔、この世界は世界を愛する神によって守られていた。
しかしある時、闇に堕ちた神によって世界を愛する善き神は根絶やしにされてしまう。
後に残ったのは堕ちた神とそれに付随する愚者、生み出された魔物。それに怯える人々。
神は人の手には負えるものではない。必死に隠れ暮らす人間の中から、ついに一人の英雄が生まれた。
その英雄は悪しき神の操る「魔法」とは根本からして異なる、「魔術」を操る事ができた。そして、永き戦いの末に悪しき神を討ち倒した。
……だが、世に蔓延った悪を討ち尽くすには、余りにも人の命は短かった。
英雄は「魔術」の真髄を信頼出来る善き人々に託し、悔やみながらもこの世を去る……。
して今日、人間の殆どは魔術を操ることが出来る。
それを駆使して溢れる魔物を狩り、それを生み出す堕ちた神の遺物──醜くも堕ちた生にしがみ付き続け、並みの神と同等程の権能を得た元人間の愚者もいる──を討ち倒す。
さすればいつの日にか、世界に真の平和と愛が訪れる……。
───
・魔法
詠唱なしで人智を超えたさまざまな現象を起こす事ができる。
悪しき神やその眷属が使っていたとされるもの。英雄の手によって、今の世では正常な効力を発揮する事が出来ないよう対策がされている。
・魔術
詠唱が必要だが、人間でも使う事が可能。神を殺す際は魔術でなければならない。
消滅した神の力の欠片──神片──をリソースとして発現される。それもあり、今日では世界を豊かにする為の神殺しが当たり前のこととなっている。
・神片具
長年の研究によって、長ったらしい詠唱を省略し、一つの現象を起こす事を可能とする「神片具」が生み出されている。
炎を出すもの、風を起こすもの、その他様々な物があるが一つの神片具につき、一つの魔術を発現させる事しか出来ない。
神片具を使う際は、神片具に素肌が触れている状態で詠唱の締めの発現句、「クァルズ・アン・ラークテートを唱えるだけで良い。
神片具自体を幾つも所有することは問題ないが、複数が素肌に触れている状態で発現句を唱えてはいけない。
もしそうしてしまった場合、大体の人間は神の力に耐えきれず弾けるか、骨が表面に浮かぶほど萎むかして死ぬ。
・力の器/レドタリム・ラークテート
神の力を受ける器が大きければ、命だけは助かることがあるかもしれない。
一般的に器は女性の方が大きいとされるが、器の大きさに年齢や外見は関係なく、遺伝と環境が全てである。
しかし、意図的に「ありとあらゆる存在」を最適な育成環境下に置き器を育てる事は、「置かれる存在」自身の意思であっても禁じられている。
欠片とはいえ悪神の力を人の身に宿すのを強要するのは残虐、人としての尊厳の侵害、という意見は勿論。
何より、その身を投げ打ってまで世界を救おうとした過去の英雄へ、最大の侮辱と冒涜故である。
仮にそれを行おうとした者がいた場合、問答無用で「置いた存在」も「置かれた存在」も極刑と定められている。
試そうとする愚者が現れるのを懸念し、環境と遺伝についての詳細は記さない。