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女騎士「名古屋を観光するぞ」

「メグリ姫!」


 名駅のど真ん中。それも休日ということもあり、辺りには学生社会人問わず、人がごった煮になっている中、レヴィは人目もはばからずめぐりの名前を呼び、さらには跪いて見せます。うるさい人ですね。


「このレヴィ、遅れながら参上させていただきました。私がこの世界に降りてから、この瞬間をいつも……」


「うん。黙って。とりあえず、頭上げて。人が見てるから」


 背の高い外人のような見た目のレヴィが固い言葉を使って頭を下げるものだから、レヴィとめぐりは周囲に奇妙な目線を受けることになりました。


「しかし……」


「この世界に来た時点でもう上下関係もないし。てか、今のあたしはレヴィを部下だった記憶があるだけで、特に気にしてないよ」


「感動的な再会ですね。俺少しタバコ吸ってくるのでゆっくりな、じゃあな!」


「ちょっとミルチー、何逃げようとしてんの」


 めぐりは逃げようとする道雄の袖を引っ張り、周囲の視線が集まる場所から逃がさない。


「とりあえず、この脳筋女連れて早く逃げようぜ」


「うん。で、どこに行くの?」


「動物園」


 道雄がそう言うと、めぐりも大体、どこに向かうのかを察し、戸惑っている様子のレヴィを無理やりに引っ張って、その場から消えます。



__C= C= C= ┌(;・_・)┘<場面転換だヨ__



「象がおる! 象がぱおーんとしているぞ!」


「そりゃあ、動物園だからな」


 場面は変わって東山動物園。現代に慣れないレヴィにとって、檻に飼育されている動物を見るのは新鮮らしく、そこらで楽しくはしゃぎます。


「まるで子供だ」


「ある意味、精神年齢は子供だよ」


 現代っ子の2人はその様子を楽しく眺めます。まるで子連れの親子みたいな風格をしていますね。


「確かハムスターを抱ける時間がそろそろだ。行ってみるか」


「なに? 私はそこそこ動物に好かれるタチでな。私は興味ないが、ハムスターはきっと私に興味があるだろう」


「すっごいムカつくけど、つまりは行きたいってことだな」


 道雄はレヴィを子供動物園へ案内します。そこにはたくさんのヤギが芝生の上でのんびりとしていました。


「餌がやれるのか! 道雄、餌だ餌! 取っていっていいのか!?」


「良いわけないだろ。お金を置いて餌を買うんだ」


 道雄がそう言いつつ、レヴィに餌を渡します。レヴィは餌を受け取ると、威勢よく礼を言い、ヤギの下へ駆けていきました


「子供かよ……」


「子供だよ。昔から騎士として訓練だとか勉強とか、あと戦場での生活だったから、娯楽を覚えたら熱中しちゃうんだろうね」


 めぐりは呆れ交じりにそう言います。


「レヴィはね、平和な時代の犠牲になったの」


「犠牲の犠牲に?」


「いや、別に犠牲の犠牲ではないけど……。なんて言うか、うん。邪魔だったの。人間至上主義、って言うのかな? 異人種を全く受け入れなくてね。一回、人間が支配してた領地に観光してたゴブリンを切り殺したことがあるの」


「えぇ……」


「それでゴブリンたちとの国交が不安定になってね。だから、さっさと死んでくれないかなーってなってて。うん。だから暗殺するしかなかったの。レヴィったら、戦争する気満々だったし」


「幕末の過激派攘夷志士みたいなものか」


「あっ! それそれ! それに、騎士としての地位もあるし、声も大きいから、賛同者もちらほらいたからねー。もしミルチーが異世界転生して内政することになったら、真っ先に衝突しているタイプ」


 ヤギが餌を求めるたびに楽しげな声を上げているレヴィを見て、道雄は少し不憫な気持ちを持ちます。

 

 そりゃあ、さっきまで原付で見る景色を楽しんでいた彼女が、裏では過激なことをしていたと知ったのですから、色々と思うところはあるでしょう。


「そういう意味で、レヴィがこの時代に来て、騎士じゃなくなったのは良かったカモ。いろんな肩の荷が下りたんじゃない?」


「なんかメーグ、喋り方が賢くなってないか?」


「しっつれー。あたしはいつだって賢い女の子だヨ!」


「あ。戻った」


「ムキー!」


「お猿さんの物まねかな?」


 めぐりは高い声で道雄に不平不満をぶつけました。道雄はそうやって騒いでいるめぐりを何度と楽しそうにからかいます。


「おーい! 道雄にメグリ姫! モルモットのふれあい時間が来たようだ!」


「ああ、ハムスターじゃなくてモルモットだったか」


「何でもいいよ。早くいこ」


 めぐりは道雄の袖を引っ張って、ふれあい広場まで導きます。


「おお、膝にのせてくれるのか!? おお、おおお!」


「うるせえ」


 道雄はレヴィに文句を言うと、


「ふふっ。構わないですよ」


 と、飼育員の女性が笑顔で道雄に言い、レヴィの膝にモルモットを乗せます。


「優しく撫でるんですよ」


「私の膝に酔いしれるがいい!」


「ホントに楽しそうだね」


 めぐりは逆にモルモットの感触に狂わされているレヴィを見て呆れつつ、


「そういえば、モルモットって薬物実験に使われてるような小動物だよね」


「そうだけど、本人らの目の前でその話題するか?」


「なんで人間じゃダメなの? 死刑囚とかいくらでもいるじゃん」


「人間だと数が足りないだろ。膨大な試行をしないといけないから。死刑囚の数じゃ賄えない。


 それに、モルモットは寿命が短いからすぐに結果が出るとかなんとか。薬物の影響が二世代、三世代とどう影響するかも必要で、大量のデータを取るには不向きなんだろ。軽く調べた程度しか知らないけど」


「へー」


「でも、中国やナチスでは人体実験で医学が発展したって聞くしな。まぁ、適材適所なんじゃないか?」


「アメコミとかの定番ネタだよね。人体実験」


「……」


 飼育員の女性は2人の会話にドン引きしつつ、他にモルモットに触れたがっている子供たちの世話をしています。

 

「そういえば、そろそろランチ時だよね」


「なんか食いに行くか」


「ミルチーおごって~」


「ランチくらい自分で払えや社会人……。レヴィは払ってやるけど」


「ひっどーい! 若い女の方がいいのね!」


「わかったよ……」


 道雄は若干くらい予想できた展開に、ため息が出ます。動物園で食べるランチって、少し高いですよね。


「でも、次はゴリラだから。イケメンゴリラ見るからな」


「ゴリラ! イケメンゴリラ!」


「やっぱりメーグはイケメンが好きかぁ」


「好き!」


「じゃあ俺も好きか」


「……」


 めぐりは無言無表情で道雄を見ています。


「なんか言えよ」


 その後、レヴィを連れた3人でゴリラを見て、ランチを楽しみます。また水辺の動物たちを見たり、お土産などを物色したりしていました。そんなことをしているうちに、辺りは夕暮れです。


 3人は原付とバイクを止めていた駐輪場で、何やら話をしています。


「いやさ、やっぱありえねぇよ」


「いつまで言うのさ」


「気にするな道雄」


「そうは言うけどさ」


 道雄は何やら動物園での出来事に不満があるようで、2人に向けて愚痴を言っています。


「でもさ、あの対応はないだろ。あのサーバルキャット、隣にいたカップルには猫みたいに媚びるくせに、俺が手を振ったら吠えるんだぜ? 何がケモノはいてモノケモノはいないだよ。めっちゃ敵意を向けてきたぞ」


「ミルチーがエロい目で見ててからじゃないの」


「ひどいな道雄」


「お前らの方がひでぇよ」


 厳しい対応の2人に道雄は辟易します。


「この後はどうするの? 帰る?」


「うーん。それなんだけどさ、メーグ、2人で話せないか?」


「えーなになに! デートデート?」


「うん。レヴィがいるとしにくい話だ」


 さすがに唐突な提案だってので、女性2人は困惑します。


「まぁ、私は構わないぞ。どこかで時間を潰した方がいいか?」


「うん。メーグのアパートで待機してて」


「突然どうしたの? なんか突然すぎてビックリ。気が利かないなぁ」


「そりゃあすまんな。言う機会がなくて」



ホントはもっといろんなところを巡る予定でした


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