解説書《第一弾》世界観と魔法について
これは『召喚で始まる俺の明るい家族計画〜異世界来たら種馬だった件』に登場する人物イラスト及び設定の解説書です。ネタバレ確実なので閲覧にはご注意下さい。
トビラ絵『ここからはじまる物語』
Q.どんな話なの?
本編のあらすじを簡単に説明しますと、主人公が召喚された先に20年前に行方不明になり死んだと思われていた従妹の『ゆかり』がいて、彼女が自分と入れ代わりに死んでしまったので、なんとかして蘇らそうと奮闘する話です。
イラスト:時間城への道(時の旅人編より)
初期段階では、ありきたりの異世界ファンタジーのような感じで始まります。主人公『速水卓也』は、題名でも分かる通り『種馬』としての運命を背負わされ、異世界召喚されたのちに半強制的に子どもを作る事になります。
その世界の法則で、召喚者『闇のアダム』との間に生まれた子どもは例外なく強い個体として産まれるので、卓也は自分の意思に関係なく子種を狙われることになります。
イラスト:蛇王ヨムル(水彩画)
イラスト:夢魔王メリーサ
上の二人に最初に襲われ、主人公は子どもを作ります。二人とも魔王でやたらと強いのだけれど、ヨムルは特に別格視されています。名実ともにこの世界で最古の種族で、魔法の原型とも言われる呪法式を使い、基本的に防御も回避も不可能と言われています。
イラスト:猿王孫悟空
彼の名は猿王孫悟空。いろいろ知ってる事情通で、主人公に猿王拳という独自の拳法を教え、陰ながらサポートしてくれるとてもいいひとです。彼には物語を左右する重大な役割があり、今は猿の格好をしてますが猿ではありません。物語が進むにつれ、その正体も判明して行きます。三段階の変身をしますがサイヤ人ではありません。西遊記の孫悟空がモデルなのでご注意を。
物語が進んで行くと、魔族と人類、神と旧支配者、異界の神に伝説の破壊神、更にパラレルワールドや超古代文明までもが絡んで来てむちゃくちゃな構図になって行きます。現在、過去、未来が交差して来ますので、あらかじめご了承下さい。これは異端なるファンタジー小説です。
神々もヒンドゥーから中国、インド、中東、ギリシャ、北欧、そしてもちろん日本神話の神様が出て来て、高天原の神様がメインとして関わって来ます。さて主人公はめでたく従妹を復活させてハッピーエンドを迎える事が出来ますでしょうか?
スケベ有り、バトル有り、成り上がりチート有りのハチャメチャ異世界ストーリーをお楽しみ下さい。
Ⅰ、世界観
舞台は大魔王ゾーダの居城『黒曜城』から始まります。
ヒロイン『姫城ゆかり』が異世界へ連れてこられて以降20年を過ごした城であり、彼女は同じ敷地内に建てられた離宮に住んでいました。
城下は魔族領で最も進んだ文明都市となっており、人類側よりも機能的に優れた完全法治国家となっています。他の魔王たちが治める領地とは大きく異なる様相を示しており、魔族領内で唯一複数の種族が入り乱れて生活できる国です。
通行証があれば人間も出入りでき、実際に数百万規模の人間が生活しています。彼らは生活特区内で平和に暮らしており、経済的にも労働者としてこの国に貢献しています。
彼ら魔族領で生活する人間達の間では『脚王ラヴェイド』と『夢魔王メリーサ』の人気が高く、特に夢世界で不定期に開催されるアイドルユニット夢坂44が主催する夢界音響博覧会は絶大なメリーサ人気に拍車をかけています。もちろんセンターはスタイル抜群のスーパーアイドル夢魔王メリーサです。尚、彼女については主人公のお嫁さんコーナーで詳しく説明します。(たぶん)
この都市には爬虫類系魔族や獣人系魔族が多く、次いで亜人魔種族などが生活しています。それに少数ですが外骨格系魔族の昆虫亜人なども居ます。昆虫亜人は知能が低いため単純作業や荷物運びみたいな肉体労働をして生活しています。
更に知能の低い野生魔族は単に『魔獣』と呼ばれ、人類であれ魔族であれ共通の脅威として未開の森などに大量に生息しています。本編ではちょろりとしか出て来ませんが、魔獣と未開魔種族のみを集めた魔の大陸が存在し、海にも大変多くの魔族や海獣が生息しています。
クラーケンやメデューサオクトパス、シーサーペントや大海獣など海には人では全く太刀打ち出来ない巨大魔獣がたくさんいるので、人類側は竜王が統治するレッドラインとブルーラインが交差する蒼い海域には絶対に近寄りません。
竜王バハムルトは魔王12柱のひとりとして知られていますが、過去人類に対し直接戦争を仕掛けた事がないので、海岸に面した海洋諸国の人々の間では海の守り神『海王』として敬われ、その眷属である竜人と竜臥に対しても同様の敬意が払われて来ました。詳しくは本編の中で述べられますが、主人公が『約束のアダム』として竜王の領地に入り込み、彼の大切なひとり娘を奪って行ってしまったのでアダムと竜王の関係は険悪なムードになって行きます。物語では随分先の話になるのでここはサラリと流しましょう。
大魔王ゾーダが統治するグロスキ領での種族比は、人類がもちろん最下位です。それは全体の6%ほどだと言われていますが、基本的に人の生活特区内に違う種族の住居はありません。それは無用のトラブルを防ぐ為であり、特区には住民を守るための特別な法律も定められています。
例えば人類特区で獣人が人を傷付けたりすると重罪で、殺して食べたりしたらほぼ間違いなく死罪になります。体の小さな小人族のホビットや更に小さな妖精族なども生活していますが、彼らは生活特区内にいる限り法律で護られているので、種の尊厳を損なわれる事なく独自の文化を営む事が出来ています。
今は休戦条約期間中なので大きな戦争はありませんが、人類との間に激しい戦争が長く続いた時代がありました。その荒廃した世界では魔族同士や人間同士の争いも絶えず、各地で起きた度重なる紛争で食糧難が生じ、食料をめぐって同族同士が殺し合うなど日常茶飯事でした。ヒロイン姫城ゆかりは、そのような混沌とした世界で劣勢の極みにある魔族側に『暗黒のイヴ』として召喚されました。
力の弱い者達は棲む土地を追われ、難民同然の明日も知れぬ放浪者となりました。その彼らが嘗て全世界の7割以上を支配した事もある生きる伝説、大英雄『大魔王ゾーダ』を頼りにグロスキ領に集まったのが生活特区のはじまりだと言われていますが、当初は戦時中でもあったので現在のようにしっかりした法による統治が行われていた訳ではなく、ゾーダの威光により保護されていた程度でした。
現在、特区として定められてない場所は全て共有区であり、細かな法律も厳しい課税もありません。なので自由に貿易や商売ができて活気もありますが、戦闘力の低い弱者たちにとっては危険な場所でもあります。自由と危険は常に隣り合わせであり、力無き者が自由に生きられないのはどこの世界でも同じだという事です。
魔族が住む土地として古くから知られているのは、舞台となる中央大陸内におよそ28地域あります。出ては消えを繰り返す新興国などを加えると更に膨大な数になりますが、元々魔族は棲み分けをしていた習慣があるので、国を新設しても他国を侵略しない限り紛争の火種になりませんでした。
魔族は基本的に同系種族間でしか交配できないので、よほどの繁殖力がない限り土地を奪い領地を拡げても統治しきれずにまた奪い返されてしまいます。なので小規模な国が集まり連合国として領土を主張するか、大規模都市を中心とした都市国家形式をとり、食料を生産したり鉱物を採取する為の土地の使用権を専有領地として主張し、関所などを設けて区切るなどする場合が多いとされています。
つまり本国からかなり離れた土地であっても、この山は誰々が所有する鉱山だから入るなとか、この森は○○が所有する森なので入って木を切り出してはいけないとかいう事があります。その逆に、ある魔王領地のすぐ隣にあったとしても誰のモノでもない毒沼や、厄介な病原菌を持つ腐敗種魔犬族が多く棲息する呪種樹木の森や砂漠など、厄災しか生まない土地は所有権を主張する魔族が居ないので、白地と呼ばれ完全なる無法地帯となっています。
大魔王ゾーダの統治するグロスキ領は商業及び工業が盛んな都市型国家なので、金銭で食料などを調達していて自給率は低く、強大な軍事力の割に専有する領土は広くありません。その面積は地球でいう所の朝鮮半島と同じくらいです。しかし魔王を束ねる総括者の立場にあるので、全ての魔族が所有する土地は全てゾーダの支配下にあるとも言えます。
常に完璧を目指す性格のゾーダは、必要もない土地を無用に所有するのを良しとしません。余った土地を各魔王達に統治させる目的で自治区を領内に置き、各魔王との連携を円滑に行う為に出張国として領事館を建てさせました。そして大臣を派遣させて異文化交流を半強制的に行わせています。
そのおかげで文化レベルはある程度均一化し、人類との大きな差であった学術的分野にも革新的な変化が起こりました。知能の低い魔族と高い魔族とで共同戦線を張るなど一昔前までは想像も付かない事でしたが、知的レベルを上げる事が戦争において最も重要だとするゾーダの考えは休戦条約期間中に各魔王達にも浸透し、共同演習などの軍事訓練すら可能になりました。
人類は魔族側から申し込まれた休戦条約を受け入れた事により、戦力分布に大きな変化が訪れようとしている事にまだ気づいていません。魔族はほとんどが馬鹿で連携がとれず、何時までも突出した戦力を有する魔王のみを中心とした闘い方をするものと信じて疑わなかったのです。
人類には絶対的最終兵器である『イカれた勇者』と、聖教会が支持する『森の大賢人』達がいるので、魔族が如何に強力な助っ人を異世界より召喚しようと頭を潰せば安易に勝てる相手だと侮っているのでした。
人類は人が住めるような環境の土地でしかやはり生きられないので、広く平坦で気象条件もいい生産性の高い大陸の西側と南側を拠点として多くの国を拓いていました。
魔族の多くが都市国家形式であるのに対し、人類側は地域国家であり、住むに適さない土地と地域まで占有権を主張する為に、領地を拡大すれば必ず先住民との抗争になりました。先住民が魔族であれば皆殺しにするのが普通で、人類ならば従属させるか奴隷としました。
彼らの文化レベルは地球でいう所の15〜18世紀であり、都市も中世ヨーロッパを彷彿させる佇まいをして、軍隊はヨロイ甲冑に盾と剣を持ち、馬に跨り飛び道具としては弓かボウガン、それに魔法詠唱による遠距離射撃と魔法力を活用した大砲があります。ただ、この世界には魔法という概念が定着しているので、魔力による武具は21世紀の地球科学よりも優れた部分もあります。
例えば弓矢が全て追尾型になったり、斬りつけた者を凍りつかせるアイスソードや燃やし尽くすフレイムソードなどが当たり前の戦争になります。魔法による物理障壁のバリアや魔法による遠距離通信、転位魔法陣を発動させて物資や人を一瞬で何十キロ先に跳ばしたりと、高度な魔法であればあるほど凄まじい効果があります。尚、この世界では当たり前の魔法については後ほど説明しましょう。
世界には勇者の血統と云われる四大王家がいて、その王家に連なる貴族が治める領土が、人類が所有権を主張する地上の8割以上を占めています。魔族領に近い位置にあり、最も肥沃で生産性の高い土地に古くから君臨する人類最強の軍事国家と謳われるレイアート帝国の首都ロードロンには、始まりの聖地と呼ばれる土地があり、そこには勇者が住むの聖宮があります。
それはとても奇妙な建物で、内部の構造も特殊です。何かとてつもない秘密が隠された建物ですがここでは言えません。勇者も実はとても可愛そうな子です。詳しくは物語の中で確かめて下さいね!
次は召喚と魔法について説明します。
イラスト:大魔王ゾーダの素顔
Ⅱ、召喚と魔法
この世界には魔法があります。
魔族は一般的に人間よりも魔法特性に優れていて、たくさんの魔力を持っています。しかし、全く魔力を持たず魔法の使えない種族もいます。妖魔系の魔族は魔力の代わりに妖力を持っており、両方兼ね備えた種族を自ら優良種と呼んで魔王などを多く産出して来ました。妖狐、天狗などはその代表格でしたが、現在は魔王を引退して隠居中です。
魔王は現在12名で、大魔王ゾーダを含めた13名が魔族のトップとして君臨します。しかし、能力や強さは実にまちまちで基準になる強さはありません。魔王の刻印というアザを体の何処かに持つ者が魔王であり、その数も時代により変化して安定しません。
魔王の代表者であるゾーダを除外し、最も危険で強い魔王は竜王バハムルトと蛇王ヨムルだと言われています。竜王は龍神の末裔であり、蛇王はこの世界が産まれた時から存在する最古の魔族で呪力という回避不可能な力を使います。この二名は魔王にあって特に特別な存在ですが、それよりもっと特殊な魔王がいます。
その名を猿王孫悟空といい、なぜかこの世界に彼以外の同じ姿をした魔族はいません。マイペースで協調性がなく、自分が強いと認めた者としか拳を交えたりしませんが、遙か昔に存在した伝説の勇者との戦闘記録を見る限り、とてつもない想像を絶した強さを持つ事は間違いない事でした。
イラストは最近描いた孫悟空(猿王バージョン)
猿王拳という強力無比な超絶格闘術を使い、不死身であり、不死であり、いったいどれ程の年月を生きているのか全く不明な『武術の神』と呼ばれる漢です。戦争には無関心で、ゾーダの招集にも気が向いた時にしか従いません。人類側も海王とは別の意味で猿王孫悟空には関わろうとせず、最終兵器『イカれた勇者』ですら闘いを挑む馬鹿はしないと言ったとか言わないとか?
とにかく
魔族側にも人類側にも召喚という方法で異世界から助っ人を呼び寄せる習慣があります。魔族側の異世界召喚は10年周期で行われ、人類側には決まった周期がありません。
異世界召喚で魔族側に呼ばれた者を、男性なら『アダム』女性なら『イヴ』と呼びます。人類側は性別に関係なく全て『勇者』と呼びます。彼らは共通に歳をとらず、基本的には不死身ですが、肉体は不死でも精神(魂)は死んでしまい、入れ物の肉体だけが残る事もあるようです。
召喚システムは魔法という技術が確立する前から存在していて、その起源は分かっていません。この世界の成り立ちを知ると言われる『大賢者』が、秘密の鍵を持ち出したまま現在行方不明の状態です。『森の賢者・ハイエルフ』とは別の存在です。ヒロインゆかりに『賢者の心臓』の事を教えた人物であり、物語の終盤へと近付いた頃に出て来て何かするみたいです。
この物語にはものすごく沢山の伏線が敷いてあります。伏線のまま終わるケースもありますが、ほとんど後で絡んで来る予定です。まあ、長編小説なので作者自身忘れてしまって埋もれてしまうのもあるかも知れませんが、栗本薫氏の『グイン・サーガ』みたいな感じだと思って読み進めて頂けると幸いです。
とりあえずの解説書はここまでですが、第二弾、第三弾も書く予定でいますので気長にお待ち下さい。ではラストに少しイラスト掲載します。
ラヴェイド温泉郷編より:運命の娘アリス
深海のアダム編より:リトルジッターポニ
時の旅人編より:時間城と八醒の戦士たち