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甘え嬢ズ  作者: あさまる
86/88

27ー2

「え、えぇ……。」

つい困惑の声が雨乃の口から漏れてしまった。


「はぁ……私の美姫たん……。私だけの美姫たんだったのにぃ……。」


ぽん。

紅葉の肩を叩く雨乃。

「……現実逃避止めよう。」

この際呼び方については不問にしよう。


「……はい。」


「ついでに部屋の写真も捨てよう。」

一種のトラウマになってしまった紅葉の部屋。

それを少しでもまともにしよう。

そう思っての発言であった。


「……。」

無言。

目も合わせようとしない。


「おい。」


「……ぜ、善処します……。」


「私も手伝うから。……ね?」


「……。」

無言。

しかし、先ほどとは違い、コクンと頷いた。



結論。

美姫と優香は友達ではなくなった。

しかし、それは絶縁したというわけではない。

より親密になったということだ。


親友。

そう呼ぶには近すぎる。

それでも、恋人と呼ぶのも違うだろう。


それはきっと、二人にも呼び名を決められないだろう。

しかし、それでも良かった。

二人のにとってはそ、んなものは瑣末なことであったのだ。



「ほら、二人が待ってるからもう行こう。」


「うん!」


二人の元へと駆けていく美姫と優香であった。

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