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「え、えぇ……。」
つい困惑の声が雨乃の口から漏れてしまった。
「はぁ……私の美姫たん……。私だけの美姫たんだったのにぃ……。」
ぽん。
紅葉の肩を叩く雨乃。
「……現実逃避止めよう。」
この際呼び方については不問にしよう。
「……はい。」
「ついでに部屋の写真も捨てよう。」
一種のトラウマになってしまった紅葉の部屋。
それを少しでもまともにしよう。
そう思っての発言であった。
「……。」
無言。
目も合わせようとしない。
「おい。」
「……ぜ、善処します……。」
「私も手伝うから。……ね?」
「……。」
無言。
しかし、先ほどとは違い、コクンと頷いた。
結論。
美姫と優香は友達ではなくなった。
しかし、それは絶縁したというわけではない。
より親密になったということだ。
親友。
そう呼ぶには近すぎる。
それでも、恋人と呼ぶのも違うだろう。
それはきっと、二人にも呼び名を決められないだろう。
しかし、それでも良かった。
二人のにとってはそ、んなものは瑣末なことであったのだ。
「ほら、二人が待ってるからもう行こう。」
「うん!」
二人の元へと駆けていく美姫と優香であった。




