25ー2
大きく透き通るような瞳、長い睫毛。
きめ細やかな肌。
腹が立つほどに美少女。
それが雨乃の脳裏に浮かんだ正直な気持ちであった。
「ちょ、近いよ……。」
思わず目を逸らしてしまう。
それがいけなかった。
「あっ!やっぱ何かあるんじゃないですか!?」
「いやっ、違うって!」
オロオロ。
両手を顔の前でバタバタと振る。
魔性の女。
まさに彼女のことだろう。
一体彼女のこのような仕草に何人が勘違いをさせられてきたのだろう。
「でも目を逸らしたじゃないですかっ!それって何か隠してるんじゃないですか!?」
ガシッ!
雨乃の顔を掴む。
「ちょっ!?」
両頬に感じる美姫の手のひらの感触が雨乃の顔を熱くさせる。
目線を逸らしてもその先へ美姫が顔を移動してしまう。
それから目線を外そうとしてもまた美姫が移動する。
何度かそんなやりとりをしていくうちに徐々に二人の顔は近づいていった。
「こらっ!逃げないで下さい!」
今にも二人の鼻がぶつかってしまいそうなほどに両者の顔が近づく。
「わ、分かったって!言う!言うからっ!」
「もう、最初から素直になって下さいよー。」
スーッと離れていく。
距離が離れても美少女だと分かるな。
そんな無駄なことを思っていた雨乃であった。
「もうちょっと自分の可愛さ気づいた方が良いよ……。」
はぁ、とため息をつく。
「なっ!?ちょっ、急に口説かないで下さい!私には優香ちゃんがいるんです!」
「口説いてないよ、馬鹿。……というか雨井さんは友達じゃないの?」
「……誰にも言わないで下さいね?」
「……え?」
しまった。
数秒の思考停止の後止めようとしたが、遅かった。
「その……セクハラされるのは嫌だったけど優香ちゃんなら好きだし良いかなって……。なんか身体が熱くなって嬉しくなってきて……。」
爆弾発言。
モジモジ。
嬉し恥ずかしな様子の美姫。
内容はともかく、その姿はさながら恋する乙女であった。




