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甘え嬢ズ  作者: あさまる
77/88

24ー1

啖呵を切ったものの、美姫はたった一人で上級生の教室に向かうのを躊躇っていた。

歳上ばかりだと萎縮してしまう。

それに、これから会いに行くのは苦手な雨乃だ。

しかし、そうも言ってられない。


今日、この時を逃せばズルズルと後へ延びていくだろう。

そうなれば、余計に切り出せなくなる。

美姫は気合いを入れるのであった。


階段を上っていく。

自分が緊張しているのが美姫にはすぐに分かった。


周囲の視線が痛い。

自意識過剰なのかもしれない。

しかし、皆が美姫自身を見ているように思えて仕方がなかった。

そして、何かを呟いているようにも思えた。


生意気な下級生だ。

何の用だ。

そんなことを言っているのかもしれない。

後悔する美姫であった。


もちろん彼女に対する反応は、彼女自身が思い描いているようなものではなかった。

歳下ながらに溢れ出る色気に、皆釘付けであった。

スカートの中からスラリと伸びたカモシカのような足、大き過ぎず、小さくもない胸、服の上からでも分かるくびれ。

そして極めつけはその整った顔であった。

そこは、芸能人が来たと錯覚するほどに騒がしくなっていた。


その騒がしさ、異変は雨乃の耳にも届いた。

クラスに馴染んでいるわけではない。

しかし、クラス内に友達が出来た雨乃。

今は彼女らと教室内で昼食を食べていた。

その友達というのは、以前一緒にカラオケに行った者達だ。


「……なんか廊下が騒がしいね。」

雨乃とともに昼食をとっていたクラスメイトの言葉。


「そうだね。不良の喧嘩とかだったら嫌だなぁ……。」

雨乃の呟き。


「いや、不良って……あんたがそれ言うかね。」

ビシッ。

鋭いツッコミが雨乃へ浴びせられる。


「え、そ、そうかな?」

ションボリ。


「いや、嘘!嘘だよ!ごめんね!」


「そうだよ!姫川さんは不良じゃないよ!」


すぐさま雨乃を慰めた。

彼女らは、他の生徒達と同様に、彼女のことを見た目や雰囲気だけで判断していた。

しかし、そんな雨乃と話すようになってから、なぜこんな可愛らしい子を、今まで自分達は恐がっていたのだろう。

そう思うのであった。

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