23ー1
「……と、言うわけで力を貸してください。」
翌日の教室。
朝の早い時間帯。
そこで、紅葉が美姫に頭を下げていた。
「うーん……。」
悩む美姫。
「……駄目?」
なぜ悩むのだろう。
疑問に思う紅葉。
「いやぁ、駄目ってわけじゃないけどね……。」
何か言いずらそうな顔をしている。
その姿すら、魅力的であった。
今の彼女の表情を写真に収め、閉じ込めておけたのなら、どれだけ良いことだろうか。
紅葉は、そんな邪で危険な考えを抱きつつ、なんとかして協力してくれないかと考えていた。
周囲を魅了する、圧倒的な美貌の持ち主の美姫。
不良と恐れられながらも、たまに見せるギャップが可愛らしい雨乃。
二人とも、紅葉から見ても、美人であると断言できる。
しかし、そんな二人の境遇は、正反対なものである。
どちらも魅力的で、誰からも愛されるポテンシャルを持っている。
にも関わらず、雨乃は今までクラスでは、一人ぼっちだったのだ。
「まぁ、色々言いたいことはあるんだけど、肝心の姫川先輩が、何を真似てるのかとかが分からないからなんとも言えないんだよね……。」
魔法少女アップルガールというアニメだ。
そして、それに出てくるキャラクターの真似をしているのだ。
そう言うことが出来れば、どれだけ楽に話が進むだろう。
「魔法少女アップルガールって小さい女の子が見るアニメだよー。姫川先輩はそれに出てるキャラの真似してるんだって。」
「えー?姫川先輩そんなの見てるのー?引くわー。そんな人と一緒に遊んだのー?……空宮さんも引くわー。」
なんとも言えない苦い顔をする美姫。
「空宮さん酷い!天江さんにバラしたのね!?」
紅葉にビンタする雨乃。
駄目だ。
言えない。
バッドエンド直行だ。
「……ご、ごめん。それは言えないかな。」
「そっか……。」
そりゃあそうか。
そう言いたそうな美姫であった。