22ー2
「……あの、何してるんですか?」
「い、いやぁ……こうすれば静かになってくれるなぁーって……。それで、あわよくば冷静になってくれればと思ってね……あはは……。」
顔を仄かに赤くしながら苦笑いする雨乃。
そんな雨乃が、今行っている行為。
それが二人の戸惑いの原因であった。
雨乃が、紅葉を自身の胸元で抱き締めていた。
咄嗟のことで、対応が出来なかった紅葉。
されるがままに雨乃の胸元に顔を埋めていた。
「ま、まぁ、落ち着きました……。」
「そりゃ良かった。」
ドキンドキンと、心臓がうるさい雨乃。
何分も無言な二人。
さて、ここからどうしようか。
雨乃は再び困っていた。
「先輩って、不良なのに滅茶苦茶優しいですよね……。もしかして私のこと狙ってます?」
ため息をつく雨乃。
「そんな冗談言えるなら大丈夫だね。……てか不良じゃないんだけど……。」
そんなことを言う彼女の顔は、やや不満げだった。
「でも注意した先生とか病院送りにしたんですよね?」
「するわけないでしょ!?確かに生徒指導の先生に怒られるけど、走って逃げてるしっ!捕まったことないんだからね!?」
「いや、誇れることじゃないでしょ、それ!足が速いんですね!それは凄いですね!」
紅葉は我慢出来ず、思わずタメ口でつっこんでしまった。
「……そもそもなんでそんな格好してるんですか?」
素朴な疑問。
恐らく、皆が思っていたことであろう質問をした。
言いずらそうな雨乃。
頬を染め、その頬をポリポリとかいている。
目を逸らし、恥ずかしそうだった。
「……え、えーっと、言わなきゃ駄目……?」
可愛い。
「可愛い。」
思わず溢れた心の声。
じゃなくて……。
「教えて下さいよ!力になれるかもしれないですよ!」
ずいっ。
力強く雨乃に詰め寄る紅葉。
彼女の圧に負けた雨乃。
「う、うん……。分かった。話すよ、話す。恐いよぉ……。」




