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甘え嬢ズ  作者: あさまる
62/88

20ー1

「えーっとまず何から話せば良いのか……なんですけど……。」


「そ、そう……だね……。」


場所を移動した紅葉と雨乃。

その場所というのが、紅葉の自室であった。


美姫の写真が無数に壁に貼られた部屋。

雨乃は、とてもこんな場所では話を聞けるような心境でいられない。


どれも視線の合ってないものや、ピントの合ってないものだ。

それなのに、それら全てから見られているような錯覚があった。



「その……凄い言いずらいんだけどさ……。」


「はい?」


「ここだと空宮さんのお話集中して聞けないからやっぱリビングに戻らない?」


「あ、えっと……ここ、じゃ駄目ですか?」

言いずらそうな紅葉。


「駄目……ってわけじゃないけど……その、ね?ほら……。」

紅葉のおどおどした言葉が移ったのか、雨乃も言い淀む。


「うぅ……その、お母さん帰ってきたら話しずらいですから出来れば私の部屋でお話したいんですけど……。」



なるほど。

確かに言われてみればそうだ。

自分が帰宅したら娘が友人とクラスメイトのストーカーし、盗撮写真を自室のそこかしこに貼っている話をしている。

そんな状況考えたくもない。


ここは自分が我慢すべきところなのだろう。

仕方ない。

雨乃は腹を括った。


雨乃は、なるべく周りの美姫を見ないようにしようとした。

目を瞑りながら話す。

それは、話している相手、つまり紅葉に対して失礼だと思い、選択肢から消えた。

その為、彼女の取るべき行動は一つしかなかった。



「あ、あのぉ……姫川先輩?」


「なに?」


「その……そんなに見られると話しずらいんですけど……。」

目を逸らす紅葉。

顔も逸らした彼女の耳が雨乃にチラリと見えた。

茹でダコのような色であった。


「あ、あはは……。ほら、人と話す時はね、そのぉ目を見て話せって言われたからね……。」



変な空気になった。

雨乃もそれに気がつき、頬を染めてしまった。

そして、無意識に目を逸らす。

自然と視界に入る美姫達。

先ほどと違う気まずさを感じた雨乃であった。

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