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甘え嬢ズ  作者: あさまる
56/88

18ー1

「それで……その、どこに行くんですか?」

そわそわ。


「カラオケでもどうかな?私歌うの好きなんだー。空宮さんはどう?」

ニコニコ。


校舎を出た雨乃と紅葉。

二人は住宅街を歩いている。

二人の雰囲気は全く別のものであった。



「あっ、そう言えば、空宮さんお金持ってる?」

何気なく言った雨乃の言葉。


「え?あ、は、はい……も、持ってます。」

紅葉はおずおずと答えた。


金のことを聞かれ、紅葉の心臓が、ドキンと跳ねた。

どういうことなのだろうか。

まさか、奢らされるのだろうか。


今日の目的はそれか?



「良かったー、私おこづかい今日あんまり持ってきてないから自分の分しか払えそうないからさ……。」

あはは。

笑いながら雨乃が言った。


良かった。

ふう。

安堵から紅葉は、ため息をついた。


彼女と話すようになり、紅葉の中で雨乃の印象はがらりと変わった。

しかし、そんな今でも、失礼だと思いつつ、紅葉は雨乃のことを不良だという認識であった。



数分歩いた。

ここはどこだろう。

見たことのない道を何度か曲がって今いる場所へ来た。


紅葉は、キョロキョロと周りを見渡す。

心配から、たらりと汗が額を伝う。

それでもお構いなく、雨乃は、ずんずんと歩を進めていた。


しかし、少しして、雨乃は足を止めた。


どうしたのだろう。

前を歩いていた雨乃の背中を見た紅葉が疑問に思った。


「あの……残念なお知らせがあります……。」

前を見たままの雨乃。


振り返らずにそう言っていた雨乃。

その為、紅葉には、自分に向けた言葉なのか分からなかった。



「空宮さん……。残念なお知らせがあります。」

再度の雨乃の言葉。

ボソボソ。

小さな声。


なぜ敬語になったのだろう。

「あっ、私ですか。」



振り返る雨乃。

その顔は、雪のように真っ白であった。


これは、嫌な予感がする。

紅葉は身構えた。



「……道に……迷ってしまいました……。」

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