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17ー4
「……ね、ねぇ、美姫?」
先ほどまでの声色とは違うもの。
甘い蕩けるようなものではなく、固く真剣な声。
それはやや震えていた。
「うん?なぁに?」
こちらは相変わらず蕩けに蕩けている。
耳を通り、優香の脳を溶かそうとしているのではないかという甘いものだ。
「今週末さ……。」
「今週末?」
何かあっただろうか?
あまり働かない頭で美姫は考えた。
しかし、何も心当たりがなかった。
「……お、お泊まり会しない?」
それは、美姫にとってあまりにも甘美な誘いだった。
「え、お、おおおお泊まり会っ!?」
一気に美姫の脳が覚醒する。
跳び上がり、優香の胸元から離れるのであった。
「うん、私の家でお泊まり会。」
「うん……行くぅ……えへへ。」
再び蕩ける美姫。
最早、美姫には拒否など出来るわけがなかった。




