17ー3
優香が近寄ると、膝立ちになり、美姫の頭の位置が下がる。
それにより、美姫の顔が優香の胸元に来た。
自然と彼女の頭を両手で優しく包み込む優香。
「さっきはありがとね、庇ってくれて……。」
ぽつり。
美姫の頭を撫でながら呟いた。
「……んぇ?」
夢見心地であった美姫。
優香が何と言ったのか、分からなかった。
「ふふ、なんでもないよ。」
「そっかぁ……あっ、そこそこぉ……そこ優しく撫でて……あっ、ひっ、良いぃ……。」
腑抜けた声。
その声は、優香の黒い欲情を高めた。
「優香ちゃん……しゅき……。」
「ふふ……うふふ……美姫ぃ……。」
「撫でてぇ……もっと撫でて……。」
「もちろんだよ。ほぉら、なでなでぇ……。」
「あっ、あぁ……あああっ……。」
優香に触れられた箇所からじわじわと美姫の脳へと刺激が伝わっていく。
そして、脳が溶けるような感覚。
多幸感に包まれる。
「……ふふ。なでなで……。」
一方の優香も、美姫の頭を撫でることで、彼女の艶やかな髪に触れて手から美姫を感じることが出来た。
そして、仄かに香る彼女の髪の匂いが優香の鼻孔をくすぐる。
互いに互いを誘惑しあっているような桃色な淫靡な空間。
それは、侵しがたいものであった。
そして、それと同時に、二人が作り出した空間は、まるで絵画のような美しさがあった。
いつか、美姫は自分の元から去ってしまう日が来てしまうのだろうか。
今は、美姫の気持ちは自分に向いている。
しかし、紅葉や雨乃、その他のクラスメイト達。
彼女の周りには様々な人間がいる。
そんな中で、人気者な美姫がいつまでも今のような関係で接してくれるだろうか。
ふと、そんなことが優香の脳裏によぎった。
「……優香ちゃん?どうしたの?」
不思議そうに優香を見上げる美姫。
それは、優香が彼女の頭を撫でる手を止めたことに対しての疑問であった。
しかし、その後に返ってきた彼女の言葉は、予想外なものであった。




