15ー2
「ゆ、優香ちゃん、はい私のハンバーグあげるっ!あーん。」
赤面しながらも、積極的に優香に関わろうとする美姫。
「え、え!?う、うん。あーん。美味しいよ、ありがとう。……えへへ。」
戸惑いながらも美姫を受け入れている優香。
満更でもないようで、にやけていた。
「あ……あぁ……あああ……あっあぁあっあ。」
二人の気に当てられたせいか、他の要因があるのか。
この世の終わりのような表情の紅葉。
三人が全く違う表情をしている。
マイナスな感情の少女。
そして、プラスに全振りの感情を持っている少女。
こうもぱっかりと分かれるものかと関心すらしてしまう雨乃であった。
「えぇ……。なにこれ……。」
困惑を隠せない雨乃。
本当に何が起きたのだ。
昨日、美姫は自分に優香のことを好きだと言った。
それから何かあったのか。
それとも、同時進行で何か起きていたのか。
例えば、帰ってから彼女が心の内を優香に吐露したのだろうか。
例えば二人が盗み聞きしたのだろうか。
どちらにせよ、美姫がきっかけなのだろうな。
自然とため息が溢れる雨乃。
優香と関り、クラスメイトの一部とも話せるようになった。
また、放課後に遊びに行ったこともある。
しかし、その反動というべきか、美姫関連で厄介なことに巻き込まれている。
「貴女疫病神……?」
「え、それ喧嘩売ってます……?」
スッと優香の影に隠れる美姫。
高身長な彼女が、小柄な優香に隠れることは不可能であった。
彼女の身体の大半が、雨乃から見えている。
「いや、止めてよ。私が悪いみたいじゃん……。」
「え、ごめんなさい。」
こいつ反省してないな。
内心ため息をつく雨乃。
この時、雨乃は美姫のことが苦手になっていた。
そうだ。
会話に入ってこない紅葉はどうしたのだろうか。
雨乃は、さりげなく紅葉の方を見た。
「……。」
そこには、既に口を閉じ、弁当も片付けてその場に座るだけの存在があった。
瞳は一点を見つめ、微動だにしていない。
なんてことだ。
彼女の話も聞く必要があるのだろうな。
窓の外を見ながら雨乃が思った。




