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甘え嬢ズ  作者: あさまる
47/88

15ー1

寝不足でふらふら美姫。

顔が茹でダコのように真っ赤な優香。

マリアナ海溝の底のようなどす黒いオーラを身に纏い、魂が抜けているようなアホ面を晒す紅葉。

三者三様。



昼休みになるまで、三人が交流することはなかった。

ただただ授業を受け、放課になれば、次の授業の準備をするだけ。

ただそれだけをしていた三人であった。


美姫には話しかけるクラスメイトがいた。

しかし、それに対し、適当な相槌しか出来なかった。



昼休みになった。


どうすべきだろう。

三人がそう思う。


優香と紅葉。

彼女らは、美姫と昼食をとるべきか否かを考えていた。


「優香ちゃん!空宮さん!一緒にお昼食べよう?」

三人の内、最初に口を開いたのは、美姫だった。


複雑な気持ちの二人。

それは、昨日の美姫の言葉が原因でもあるが、彼女の表情と視線が問題だった。


平然を装おっているが、頬が紅に若干染まっている。

そして、必要以上に優香に意識がいっている。


優香と目が合うと、美姫は目を逸らす。

しかし、彼女が優香を見ている回数と長さは、紅葉へ向けられたものとは比べ物にならなかった。


「あぁ……うん。」

空返事の紅葉。

今は何を言われてもあまり反応出来ないだろう。


「へ?あ、うん……そ、そそそそだね、そうだね。うん、一緒に食べよう、皆で。皆でね、皆で。」

赤面し、両手をばたつかせる優香。


昨日の告白を聞いたからだろうか。

優香の瞳には、美姫はいつも以上に愛おしい存在に見えた。



「あの……私を巻き込まないでほしいな……。」

苦笑いの雨乃。


三人は、雨乃がいつも昼食を食べている屋上前の階段へと来ていた。

提案者は、美姫だ。


「いやいや、皆で食べましょうよ?」

美姫が、笑いながら雨乃へ言った。

その笑顔は、明らかに何かを隠していたり、誤魔化しているようなものであった。

端的に言えば、胡散臭い。


ジト目で美姫を見る雨乃。

依然として笑っている。

しかし、それは次第に苦笑いになっていった。


やはり何かあるのだな。

雨乃がそう思うのは当然であった。



これはまた面倒なことになりそうだ。

雨乃のその考えは、確信があった。


美姫を含め、彼女らの様子がおかしかったのだ。

目の下に隈、優香をチラチラと見ている美姫。

真っ赤な顔であたふたしている優香。

俯き負のオーラを纏っている顔面蒼白な紅葉。

地獄絵図。



なにがあった?

紙パックの飲み物をズズズと飲み干す雨乃。


今日も長くなりそうだな。

雨乃の目目に映る空は、今の彼女の心情とは裏腹に、快晴だった。

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