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甘え嬢ズ  作者: あさまる
41/88

13ー3

教室に戻った二人。

美姫に話かけるべく彼女の元へと行こうとする。

しかし、既に彼女は彼女自身の席にはいなかった。


「あー、天江さん?帰ったんじゃないかな?……ほら。」


優香達二人に、雷が打たれたような衝撃が走る。

確かに、美姫の席にはスクールバックがなくなっていた。


二人は、美姫をどちらが遊びに誘えるか勝負していたのだ。

しかし、当の本人が不在なのである。


「……そんなぁ……美姫ぃ……。」

ぐにゃあ。

膝をつく紅葉。


可哀相に。

同情し、生暖かい目で紅葉を見つめる優香。

しかし、そんな彼女にも悲劇が待っていた。


「あ、あああ!あああああああ!?」

突然の大声。

それは、優香から発せられたものであった。


再びの衝撃。

雷に打たれたようなショックが優香を襲う。

なぜこんなことになってしまったのだろう。

聞けるタイミングなど、いくらでもあったはずだ。

それなのに。

それなのに、なぜだ。


「私……美姫の本人への連絡先知らない……。」

紅葉同様に膝をつく優香であった。



不在でありながら二人をノックアウトさせた美姫。

そんな彼女は、実は帰宅したわけではなかった。



「す、凄い!本物だ!本物の天江さんだ!可愛い!綺麗!顔小さーい!」


「いや、お昼にも見たでしょ。」

冷静な雨乃のツッコミを、クラスメイトへする。


美姫は、現在雨乃のいる教室にいた。

つまり、上級生の教室に、単騎で突撃もとい、一人で来たのだ。


「……その、今良いですか?二人で話したいんですけど……。」


何しに来たのだろうか。

目の前にいる美姫を見て、雨乃が思う。

先ほど特大の修羅場を終えたばかりだ。


その為、今は彼女の姿を見たくない。

それが、雨乃の正直な感想であった。


しかし、美姫の弱々しい姿を見ていると、どこか放っとけないという気持ちもあった。

どちらにすべきか。

どちらにしたいか。

自身の中で気持ちが揺れる雨乃。



「駄目……ですか……?」

美姫の渾身の上目遣いが炸裂する。


「いや、駄目ではないよ。うん、良いよ。」

美姫のその駄目押しに、総崩れ。

雨乃は、彼女の話を聞くことになってしまった。


こうやって優香も堕とされたのだろうな。

雨乃はそのことを、身をもって理解した。



二人きりになれる場所。

どこだろうか。

いや、あそこしかないだろう。

雨乃と美姫は歩き出した。

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