2ー1
「ひ、姫川……さん?」
「うん?」
「ひっ!?」
とある高校の二年生の教室。
その教室には一人、周囲とは逸脱した存在の女子生徒がいた。
姫川雨乃。
校則違反の金髪に、耳にいくつものピアス。
下着が見えるほど胸元を広く開け、短いスカートを履いている。
制服の原型が分からなくなるほどに着崩している。
典型的な不良生徒だ。
朝、宿題を集める為、係となった生徒が果敢にも雨乃に声をかけた。
しかし、彼女のたった一文字に気圧されてしまった。
しかし、周囲は誰も責められない。
むしろ、彼らは、そんな彼女に声をかけれたことを称賛すべきとすら思えていた。
「何?」
恐怖に立ちすくむクラスメイトに雨乃が目も合わせずに言う。
「あ、いや、その、しゅ、しゅしゅしゅ宿題を……その……。」
声と足が震え、目には涙を浮かべている。
「あー……ちょい待ってて。」
雨乃はクラスメイトをじっと見つめる。
そして、机横のフックにかけてあるスクールバッグを漁る。
「いや、その、ごめんなさいっ!」
そう言いすぐさま雨乃の傍から逃げるように駆け出して行った。
「宿題……やってきたのに……。」
雨乃は、それを提出することが出来なかった。
授業が終わり、皆がいそいそと教室を出ていく。
今日、雨乃が口を開いたのは、今朝の一件の際に発したもののみであった。
彼女と関わるのが恐ろしかったのだ。
教師ですら、彼女に注意することが出来ない。
それは、ある噂が広まっているからだ。
彼女を怒らせたらただではすまない。
馬鹿らしい。
そんなことあるはずがない。
何人かの教師が彼女の生活態度を改めようと指導したことがある。
しかし、その後日、彼らは例外なく大怪我をしている。
中には入院した者もいた。
そんなことがあってから、彼女の周りには人が寄りつかなくなってしまっていた。
「友達ってどうすれば出来るんだっけ……。」
誰もいない教室で雨乃はぽつりと呟いた。
次章2ー2
2018年 8月 11日
投稿予定。




