13ー1
「気に食わない……。」
雨乃達と別れた後、美姫達は気まずさを感じながら教室へ戻ったのであった。
そして、時は進み、放課後。
ブスッとする優香が呟いた。
美姫の誤解も解け、彼女に対する自身のもやもやも晴れた。
それは良かった。
そう、それは良かったのだ。
しかし、新たなしこりが現れた。
紅葉だ。
彼女に対し、不満があった。
思えば、最初の定期テストの時から彼女はおかしかった。
視線を感じ、振り向くと、睨み付ける紅葉。
そんなことが度々あったのだ。
優香も、始めこそ何かしてしまったのだろうかと思っていた。
何かしらの行動を起こすだろう。
そう考えて彼女が何かしないかと待っていた。
しかし、それが何日も続くだけであった。
いい加減しびれを切らした優香。
そんな態度の彼女に直接訊ねに行ったが、無視される始末であった。
あぁ、この人に嫌われているのだな。
理由は分からなかったが、恐らくそうなのだろう。
この際だ。
この際全てぶちまけ、ぶちまけられよう。
席を立つ優香。
それと同時に紅葉も席を立っていた。
二人の視線が合う。
同じことを考えているな。
優香にはそれが分かった。
「ねぇ。」
先制は、優香であった。
「うん、体育館裏で良い?」
「不良のたまり場じゃん、恐いよー。私喧嘩したことないから空宮さんと掴み合いになったら恐いなぁ。」
「ならあの不良の先輩連れてこれば?」
にやっと意地の悪い笑みを浮かべる紅葉。
「……は?」
相手も同じことを考えているだろう。
目の前の者とは絶対に仲良くなどなれない。
二人は、チラリと美姫の方を見る。
昼の一件以来、彼女の周りにはいつにも増してクラスメイト達の塊が出来ていた。
皆の興味は雨乃と何があったのかということの一点であった。
気の毒だが彼女にはクラスメイト達の相手をしてもらおう。
二人は、スクールバックを持たずに教室を出て行った。