表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘え嬢ズ  作者: あさまる
38/88

12ー4

ぎゃーぎゃーわーわー。

優香と紅葉が言い争いを始めてしまった。


呆気に取られる美姫。

そして、自分が無力だと立ち尽くす雨乃。



「姫川さんっ!」

突如聞こえる大声。

それは、少し離れたところから雨乃を呼ぶ声であった。


今度は誰だろう。

そう思うと同時に、雨乃は呑気なことを思っていた。

今日は皆よく声を張り上げるな。



三人いた。

三人とも女子生徒用の制服を着た華奢な姿であった。

その為、辛うじて女子生徒分かる。

しかし、その顔と頭を覆う物、そして手に持つ物がおかしかった。


フルフェイスのヘルメット。

そして、竹刀と、アイスホッケーのスティック、そして、ラクロスのクロスを各々持っている。


一言でいえば不審者だ。

しかし、その声に、雨乃は心当たりがあった。


ぎょっとする美姫達三人。

それに対峙する不審者三人。

その間に挟まれる雨乃。

とても奇妙な状況であった。


「姫川さんの大声聞いて駆けつけたよ!どっかのカチコミ!?殴り込み!?鉄砲玉っ!?」


落ち着いてくれ。

雨乃は目の前で素振りする不審者三人組を見て思った。



チャイムが鳴り、昼休みの終わりが間もなくやってくる。

彼女らの乱入により、話し合いは流れてしまった。


安堵からか、雨乃の口から自然とため息が溢れる。

彼女の人生で、一番長く、そして最も苦労した昼休みだった。



「ごめんね、早とちりしちゃったぁー。」

あははと笑い、雨乃を見る。


「ま、まぁ間違いは誰にでもあるし……。」

苦笑いする雨乃。


雨乃は、教室へ向かう途中、先ほど武装していた不審者三人と歩いていた。

もちろん今はヘルメットを被っていない。

また、武器になるような物も持っていない。


彼女らの正体。

それは、以前雨乃とカラオケへ遊びに行ったクラスメイト達であった。


雨乃の声が、彼女らがいた教室まで届いた。

最近では、その恐い見た目から繰り出される可愛らしい表情が人気になっていた。

所謂ギャップ萌えというやつである。

しかし、怒鳴り声が聞こえ、やはり喧嘩をするような生徒だった。

そのような言葉で教室内が騒然となったのだ。


「教室そんなことになってたんだ……。」

驚く雨乃。


自分のせいで皆を騒がせてしまった。

そんな罪悪感があったのだ。


「でも喧嘩じゃなくて良かったよー。」


「うんうん。怪我してなさそうでなりよりだよ。」


「カチコミじゃーって思ってたけど良かったよ。あ、あと私あんな近くで天江さん見たことなかったから嬉しかったー。」


三人が各々好きなことを言う。


喧嘩だとは思っていたのか。

苦笑いの雨乃であった。

しかし、それと同時に喧嘩だと思っても来てくれたのだなとも、思ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ