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部屋からキッチンまでは近い。
料理を始める前に、家族が食事をする部屋の暖炉に火をつけ薪をくべる。パチパチと音を立てながら、薪が燃えていく。
ゆらゆらと火が揺れる。
すっかり冷えてしまった身体に感じる熱が心地よい。
窓ガラスは結露して曇ってはいるが、先程より空が明るくなっているのだろう。窓の外は橙色だ。
もう少し暖炉の温もりを感じていたい気持ちをぐっと抑えて急いで朝食の準備にとりかかる。何せ、冬という季節はまだ暗いからと安心していても、時間は思いのほか過ぎているものだからだ。
食材庫から使う材料を取り出す。食材庫といっても、比較的涼しい場所に食材を保管しているだけである。
水瓶から少し水をボウルに汲み、レタスの葉を軽く水洗いをして丸い平皿の上にのせる。コンロに火をつけ、フライパンで塩漬けにしてある肉を焼く。肉の脂が溶けだし、辺りには肉の焼ける香ばしい匂いが広がる。塩漬け肉をお皿にだし、肉の脂で目玉焼きを焼いてこれもお皿にきれいに盛り付けパンを添える。
朝食を作り終え、テーブルにセットしていると廊下が少し騒がしくなったかと思うと、部屋のドアが開いた。