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鬼姫夜叉奇譚  作者: 櫻華
第二部 《天秤祭》と《言霊の典災》【10月頃】
11/12

#10



──〈自由都市イワフネ〉を八月末に旅立ち…九月中は〈ザントリーフ半島〉の上空を〈鷲獅子グリフォン〉でゆっくりと旋回したり、山中へと巡回する為に分け入ったりして、〈緑小鬼ゴブリン〉の残党がいないかを十分に確認しながら…夜櫻達は、比較的ゆっくりとした旅路を歩んでいた。




〈大地人〉の村や町には必要最低限の消耗品や食材の補給の為に寄る位で…基本的には中に立ち寄らずに通り過ぎる様にしていた。

しかし、〈大地人〉の村や町をただ通り過ぎるのではなく…遠巻きに〈緑小鬼ゴブリン〉による被害が及んでいないかを確認し、被害が無ければそのまま通り過ぎ…被害が少しでもあれば、夜櫻がアキバの知り合いへと復興支援要請を行う様にしていた。



その〈アキバの街〉へ向かう旅の道中では、夜櫻が色々な知り合いに念話を掛けている姿が何度も見受けられた。




また、旅の途中で困っている〈大地人〉がいれば…夜櫻達は快く頼み事を聞いて助ける事もあった。




◇◇◇




──季節は秋頃…日付は十月へと入り、アキバまで残り約十数日位という辺りまで辿り着いた…ある日の夜営の夕食後のゆっくりとした時間を過ごしていた時に、夜櫻が経過報告をした際に妹から聞いた〈天秤祭〉の話題を出してきた。




「「〈天秤祭〉??」」

「そう。今、アキバでは〈天秤祭〉っていう街全体をあげてのお祭りの準備中なんだって」


聞き慣れない言葉に疑問顔のスズカとアオバの二人の様子を…微笑ましそうに眺めながら、夜櫻はそのまま説明を続ける。


「元々は、〈冒険者〉の生産職の人達の『折角だから各々の研究成果を発表する小さな発表会を開こうか』…というのが始まりだったんだけどね。

そこに、『自分達も、参加したい!』…っていう希望者が多く集まり出しただけでなくて、『だったら、自分達も!』っていう〈大地人〉の人達まで現れてね……『それだったら、いっそのこと〈アキバの街〉全体挙げてのお祭りを開催してしまおう』って事になって〈天秤祭〉が開催される運びになった訳だよ」


夜櫻のその説明を聞いて…フェイディット達、ベテラン組が苦笑いを浮かべている。


タクヤ達、新人組に関しては…〈天秤祭〉でどんな催しがあるのかを想像しながら、〈アキバの街〉への帰還を楽しみにしている。


スズカとアオバに関しては…夜櫻の話から知った〈冒険者〉の新たな一面に驚いていた。


「今まで、〈冒険者〉って…ただ戦うだけの存在なのかと思っていたけど……」

「〈冒険者〉にも、面白い発想をされる方もいらっしゃるんですね」

「〈冒険者〉は自由だからね!

大規模戦闘(戦い)上等!!』って考え方の人も居れば、『物作り(生産)が楽しい!』って人も居るし、『放浪()をしたい』って人だって居るからね。〈冒険者〉も、色々と個性豊かなんだよ!」


夜櫻のその言葉に、スズカとアオバからは思わず笑みが溢れる。


「それを言ったら、所長が〈冒険者〉で一番の“自由人”じゃないですか」


そう言って、瑞穂がキッパリと断言する。

フェイディット達、ベテラン組はその言葉に同意する様に一斉に頷く。


「どういう意味ですか?」


瑞穂の言葉の意味を、疑問に思ったスズカが率直に聞いてくる。

スズカの疑問への返答は、ベテラン組全員から返ってきた。


「今でこそ、ヤマトの地に留まり続けてますけど…〈大災害〉前だったら、間違いなく世界(セルデシア)中を旅して回ってますよ」


──とは、フェイディットの言。


「所長は、一ヶ所に縛られるのは嫌いみたいですね。数々のギルドに所属しては脱退していますし」

「だから二つ名に、〈渡り姫ワンダー・マジェスティ〉や〈さすらいの桜姫〉っていうのがある位だからな」


──とは、蒲公英と土方歳三の言。


「所長は~、よく“風の様な人物”って~皆さんから例えられるんですよ~」

「所長は自由人ですからね。自分のしたい事を、自分のしたい様にする…という感じです」


──とは、フルートと瑞穂の言。


「でも、親しい人の頼み事は余程の事が無い限りは快く引き受けてますね。

クラスティとか、アイザックとか、ウィリアムとか、ソウジロウとか、シロエとか、朝霧さんとか……」

「所長は、自分の存在が誰かの助けになる事を良しとしている節がありますね」


──とは、ガブリエルとアルセントの言。


「だが、そんな夜櫻の思い切りの良さや他者を思いやれる人柄が、多くの者に好まれているのは事実だな。

今現在でも、〈冒険者〉だけで無く〈大地人〉にも夜櫻を慕う奴はいるからな」

「〈冒険者〉としての実力も、認められていますしね。〈円卓会議〉発足後には、武力による鎮圧が必要な幾つかの事案を任されていましたし」

「昔は、多くの海外の〈冒険者〉の方々からも助力を請われる事が御座いましたわ。その度に、厳しい戦局を覆して勝利へと導いたとも聞き及んでいますわ」


──とは、ホークと北斗とアイシアの言。


「罪深き咎人に罰を与える事もあるが…ただ罰するだけで無く、時には咎人に自らが犯した罪を償う贖罪の機会も与えている。

彼女は、鬼神の様な苛烈さと聖母の様な慈悲深さを併せ持つ女性だ」


──とは、シークの言。


ベテラン組、皆の言葉に…聞いていた当の夜櫻は、複雑な心境なのか…何処か困った様な表情を浮かべている。


「つまり、夜櫻殿は〈冒険者〉の中でも規格外な存在…という事なんだな」

「多くの〈大地人〉や〈古来種(同胞)〉の方々の間でよく語られている様な“英雄”と呼ぶに相応しい人物なのですね」


ベテラン組の返答を聞いて、スズカとアオバは自分達なりに“夜櫻という人物について”考えたのだろう…自分達なりの答えを口に出す。

それを聞いた夜櫻とベテラン組は、思わず苦笑いを浮かべていたのだった……。




◇◇◇




──ごうごうと…〈イズモの街〉で紅々とした炎が燃え盛り、激しい業火が街全体へと拡がっていき、徐々に激しく燃える炎に飲み込まれていこうとしている……




「我らが宿敵、〈典災ジーニアス〉を討ち倒せ!!」



何処かで、〈古来種(仲間)〉の誰かがそう叫ぶ声が聞こえてくる……



「……愚かな者達。貴方達の存在は偽り。

貴方達の歴史も、貴方達の記憶も、貴方達の思いも……全ては、作られた“偽りのもの”でしかないわ。

偽物の歴史を、偽物の記憶を、偽物の思いを…その身を守る〈共感子エンパシオム〉を我々に全て差し出し、全てのタイムラインを停止させなさい。

貴方達は、所詮しょせん傀儡くぐつ。人格ソフトウェアに過ぎないのだから」



まるで踊る様に、次々と〈古来種(仲間)〉を殺め…深紅のドレスを纏う少女の様な姿をした〈典災ジーニアス〉が、まるで歌うかの様におぞましき“死の呪言”を紡いでいる……



『スズカ。〈古来種()〉の事、ヤマトの大地の事、このセルデシア(世界)命運(未来)を……頼んだわ』



儚げな微笑みを浮かべながら…アリシャートが〈典災ジーニアス〉と共に〈妖精の門フェアリー・ゲート〉の中へと消えていく……



「スズカ、アオバ……君達は、まだ若い。未来溢れる君達を、このまま無駄に命を散らさせて死なす訳にはいかないんです。

アリシャートさんが、若い君達を生かす為に、自らの命を懸けたその意味…よく考えて下さい」

「若者であるスズカとアオバの両名を生かし、未来を守るのは先輩である我々の役目」

「スズカ、アオバ。わたし達の思い…無駄にはしないで下さいね」



闇の森ブラック・フォレスト〉で、穏やかな笑みを浮かべながら…三人の〈古来種(仲間)〉達が声を掛けてくる……



『貴女は、無力。貴女は、無価値。貴女は、無意味。

虚無から生まれた貴女には、誰も救えない。

偽りの存在である貴女には、誰も守れない。

貴女は誰も守れず、誰も救えず、大切な存在を失い続けるのよ』



自分に向けて〈典災ジーニアス〉が、心を凍てつかせる様な恐ろしい“言霊ことだま”を放ってくる……





──それらの光景が、まるでフラッシュバックの様に次々と目の前を駆け巡っていく。






しばらくして……いつの間にか周囲が深い闇に包まれ、その中で…一人、スズカが立ち尽くしている。


よく見ると、少し離れた位置に見知った〈古来種(同胞)〉達がゆっくりと歩く後ろ姿が見える。


それを追い掛けようとスズカは駆け出すのだが…何故か、皆との距離が一向に縮まらない。




「……待ってよ。皆、行かないで!」



スズカが懸命に手を伸ばす先…〈イズモ騎士団〉の仲間や見知った他の〈古来種(同胞)〉達が、ゆっくりと先の見えない深い深い漆黒の闇に向かって歩いて行っている……




──その中には…母の様に、姉の様に慕うアリシャートや〈オウウ地方〉への旅路を共にしたヴァミリオン,クロガネ,エメルラの三人、何度か言葉を交わした事のある〈赤枝の騎士団〉のエリアス=ハックブレード、数少ない同性の友人でもある〈ウェンの守り手ウェン・キーパー〉のアステルの後ろ姿があった……。




「待って!!……お願い!そっちへ行かないで!!!」



必死に叫び続け、懸命に伸ばす手は…誰の元にも届かず、全員が深い闇の中へと消えていってしまう。




──スズカは、たった一人…深い闇の中に残されてしまう。




「嫌ぁぁぁあああああ!!!」




──スズカの上げる悲痛な絶叫が…闇の中で、こだましていた……。




◇◇◇




「ーーーーーーっ!!!」


声にならない悲鳴を上げながら…飛び起きるかの様にスズカは目を覚ます。


「……ハァ、ハァ、ハァ……」


全身をびっしょりと汗で濡らし、バクバクと早鐘を打つ心臓を宥めつつ、激しく乱れている息を何度も落ち着ける様に深くゆっくりと呼吸しながらも…ぐるりと自分の周辺を軽く見渡してみる。




──昨日は赤々と力強く燃えていた焚き火の火は、今は消えそうな位に小さくなっていて…その周辺では、〈冒険者〉であるフェイディット達が毛布を纏って静かに眠っていた。




それらを確認したスズカは、此処が〈アーブ高地〉に程近い林である事を思い出した。


「……さっきのは、夢……だったんだ」


スズカは弱々しく呟く様に言葉を口にし、深く安堵の息を吐き出す。

びっしょりと額を濡らす冷や汗を袖で拭っていると…すぐ傍で横になっていたアオバが声を掛けてくる。


「スズカ、どうしたんだ?」


心配そうな声音で掛けられた言葉を聞いて…スズカは、アオバの方に顔を向ける。


「……ちょっと、怖い悪夢を見て……」


そう言葉を口にするスズカの様子がただ事では無いと感じたアオバは身体を起こしてスズカの話をしっかりと聞く姿勢を見せる。

その姿勢に内心感謝しながらも、スズカはアオバにゆっくりと先程見た悪夢の内容を語り出した。


悪夢の内容を語る間のスズカは終始、真っ青な顔をしたまま身体を小刻みに震わせていた。




──それはまるで、悪夢に怯える子供の様な弱々しい姿だった……。




「──という感じで、最後は暗闇の中に一人残されたところで目が覚めたの」


そう語り終えたスズカに、アオバはニコリと笑みを見せる。


「……そっか。確かに、それは凄く怖い悪夢だな。けど、安心しろよ。

俺は、何があっても絶対にスズカを一人にしたりしないからな!」

「アオバ……」


アオバのその言葉と気持ちが嬉しくて、スズカは思わず涙ぐむ。


「……ありがとう、アオバ。その気持ちが嬉しいよ」

「お、おお……」


目を潤ませて笑顔を見せるスズカに、気恥ずかしさと見惚れていた事もあり…アオバは頬を赤らめながら、照れくさそうな返事を返す。

アオバのその反応に急に恥ずかしくなったスズカは、同じ様に頬を赤らめて俯く。



しばらくの間、沈黙が続いたのだが…アオバが気恥ずかしさの余り、誤魔化す為に周囲を何気無い風を装って見渡していた時、夜櫻の姿だけが無い事に気が付いた。


「……あれ?夜櫻殿だけが何故か居ないぜ」


アオバにそう指摘されて初めて、スズカも夜櫻が居ない事に気が付く。


「……本当だ、夜櫻殿だけが居ない。一体、何処に?」

「さあな。少し、周辺を探してみるか?」

「そうだね。あんな悪夢を見た後じゃ、とてもじゃないけど眠れそうに無いし…少し探してみようかな?」

「じゃあ、決まりだな!」


小声でのやり取りを終え…未だに眠っている周りを起こさない様に細心の注意を払いつつ、スズカとアオバは野営地から音を立てない様にゆっくりと離れる。




◇◇◇




──アオバの鋭い五感を頼りに気配のする方へとやって来たスズカ達は、ようやく夜櫻の姿を見つけ…そして、見つけた時のその姿に思わず見惚れていた。



そこでは、夜櫻が打ち刀を無心で振るっていた。


その動きは…まるで研ぎ澄まされた刃の様に洗練され、風が流れるかの様に軽やかで、剣舞を舞っているかの様に美しかった。


一通り打ち刀を振るい終わると、腰に差したもう一振りの打ち刀を抜いて剣舞を舞う様に振るい出す。

それが終わると武器を打ち刀から大太刀へと持ち変えて、今度は大太刀を力強く振るい出す。

大太刀が終わると長槍へと持ち変えて流れる様に振るい、長槍を終えると棍棒へと持ち変えて流れる様に振るい、そんな風に数々の武器をまるで自分の手足の様に振るっていた夜櫻だったが…最後は、無手の状態で足や拳を武器代わりに縦横無尽に動きながらも…その動きに一切の無駄は無く、迷いの無い力強いその動きは、正に“冒険者(英雄)”と呼ぶに相応しい貫禄を感じさせた。




──その見事な動きに…無言のまま見惚れていたスズカとアオバだったが、深くゆっくりと息を吐き出しながら構えを解く夜櫻に声を掛けられた事で、正気を取り戻す事となった。




「スズカちゃん、アオバ君。アタシに何か用かな?」


夜櫻から突然声を掛けられた事に思い切り驚いた二人は、ワタワタと慌てながらも事情説明と質問をする。


「目が覚めたら、夜櫻殿の姿が何処にも無くて…だから、探しに来たんだ」

「そうしたら、夜櫻殿が武器を振るっている姿を見つけて…その洗練された動きの見事さに思わず見惚れてしまいました。

ところで……夜櫻殿は何故、お一人で先程の行動をされていたのですか?」


スズカからの問い掛けに、夜櫻は笑みを浮かべながら答えた。


「ああ、あれはね…亡き師範の教えを守って、日課の鍛練を行っていたんだよ」

「師範の教えを遵守しての日課……ですか?」

「そ。武術っていうのはね…常に心身の修練を積み、研鑽を怠らず、日々の積み重ねを行う事でしっかりと身に付くものなんだよ」


そうスズカ達に語り掛けながら、夜櫻は遠い目をする。


「アタシが武術を習い始めたのは九歳の頃で…始めた動機は『世の理不尽な出来事から妹や弟を守るんだ!!』っていう強い思いがあったんだけど、今は……」


そこまで言って夜櫻は一旦、言葉を区切る。

そして、真剣な眼差しで静かに言葉を続ける。


「『アタシの救いの手が届く限りの範囲で…アタシに出来る方法で、苦しみ…助けを求める誰かを助けられる人で在りたい』っていう自らに立てた誓いを守り、実行する為に…その為の実力を十全に発揮出来る様になるには、自らの潜在能力ちからをきちんと理解してきちんと扱える必要があると思うんだ。

そして、それは…〈古来種〉であるスズカちゃんとアオバ君にも当てはまる事なんだよ」


そう言って、ニコリと二人に優しい微笑みを向ける。


「俺達……」

「私達にも……ですか?」

「そうだよ。確かに、〈古来種〉は〈冒険者〉に匹敵する程の優れた能力ちからを持っているよ。

でもね…潜在能力それを深く理解し、どうすれば上手く扱える様になるのか、どうしたら十全に発揮出来る様になるのか…その事を知る為の努力とその為の研鑽を積み重ねなければ、その力が本当に必要な場面で充分に発揮する事が出来ない…っていう事態になりかねないんだよ?

だから、二人共。アキバに着いても、自身を鍛える修練を怠っちゃ駄目だからね?

……“大切な誰かを守れなかった”って後悔しない為にもね」


夜櫻のその言葉に、二人はハッとする。



──先程の言葉には、自分達が誰かを守れずに後悔を抱えている事を感付いているのを示唆していた。



「どうして……」

「何時、気が付いたんだ!!」


困惑する二人を落ちつかせる為に微笑み掛けながら、夜櫻が言葉を続ける。


「アタシの近くにね…今の貴女達と同じ様な雰囲気くうきを纏っていた人が居たんだ……。

『母親なのに…この世に生まれてくるその時まで、きちんと守ってあげられなかった』…ってね。

あの子のせいじゃないのに、自分自身を責めて…深く悲しんでいた。

その時のあの子が纏っていた雰囲気くうきと同じものを纏っていたからさ、もしかしたらそうなんじゃないのかな?…ってね」


夜櫻のその言葉に…同じ様な思いを抱いていたスズカとアオバは、辛そうで悲しげな表情を見せる。

また…それを理解わかっていたからこそ、今の自分達に一番必要な事が何であるのかを教えてくれているのだと…理解する事が出来た。


そして…語り掛けてくる夜櫻の言葉の端々からは、自分達と同じ様な辛い思いを抱いた者を気遣う様に…自分達に対しても、同じ様に気遣ってくれている事も感じ取る事が出来る。



──そんな…優しい夜櫻の人柄を言動から理解したスズカとアオバは彼女の事を知った上で…たとえ、話す事でどんな厄介事に巻き込まれたり、どんな困難に見舞われる事になろうとも…彼女を信じて〈古来種〉に─〈全界十三騎士団〉に、一体何が起こったのかを正直に話そうという覚悟を決めた。




「夜櫻殿、少し話をしたいのだが…良いだろうか?」

「ん?別に構わないよ。で?話って、一体何かな?」


スズカとアオバの二人の雰囲気が変わった事に気付いた夜櫻は、彼女達を真っ直ぐに見つめながらも先を促す。


「夜櫻殿は今まで、俺達の事情を無理矢理聞こうとはしなかった」

「そんな夜櫻殿の人柄を信じて、私達〈イズモ騎士団〉に何があったのかを正直に話します」




──そう言ってスズカとアオバは…五月頃に〈イズモの街〉で起こった出来事をゆっくりと語り始めた。

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