Aそれは──
「この世界は平等じゃない」
雨の降る路地裏に倒れた少女がたまたま通りかかったあしながおじさんに助けられた時、隣の街の橋の下で生まれたての私は捨られた。
生まれた時から仲良しな幼馴染同士が遂にやっと恋人になれた時、愛を知らない私はゴミ箱を漁っていた。
そんな時、
「貴女、私と一緒にこの世界から抜け出さない?」
これが、あの人との出会いだった。
今、僕が生きているこの世界は2469年に隕石が中国に落下し、
その隕石が運んできたミューテーションウイルスが世界中に蔓延していた。しかし、Mウイルスは感染力が非常に弱かった。
そのウイルスに効く薬は既に開発されているのだが、感染した人の中にその薬を使おうとするものは少なかった。
なぜなら、そのウイルスに感染すると人間とは思えない肉体能力を得る者や、超能力が使えるようになった物もいるからだ。
しかし、次第に感染者の多くがその力を犯罪に使ってしまうようになった。これを危険視した世界機関が対感染者用兵器を開発したがこの兵器は人間の体の一部分を切り取り、その部分と同じ形の例えば切り取った部分が手なら義手のような形で取り付けるタイプの武器なのだ。しかも成功確率が0.001%以下の確率であり、そのサイボーグも日本だけで500名程度しかいない。
そんなサイボーグ戦士たちのお陰で平和になりつつある世界に住んでいる至って普通の大学生がこの僕、キムラ・モミジだ。