19話 魔王って倒せないだろ
「ふう、やっぱりこの服ね」
俺が全財産を使って買った代物を着てきたコイツは俺に感想を言ってきた
「感想かよ・・・」
この服はコイツ以外、似合わなそうだな
俺は調子に乗って、五億と言ったが、それはデスヘイムで暮らしたのとグレイルドラゴンを倒した合計の金額なので、俺は現在一円も持っていない
そういえば、イスの人に「忘れないわよ!」と言われた。忘れないって惚れでもしたんだろうか。それに宗教団体にも見られていた。
「あっ、」
「どうしたの?」
「まだ冒険者になってなかったな」
そう言うと、アステはハッと何かを思い出したような顔になり
「そうよ!魔王を倒せば神の座が元に戻るのよ!さあ!早く倒しなさい!」
「は? 無理だろどう見ても、俺が知ってる限りでは幹部も公爵級悪魔とか言うメッチャ強そうだし、魔王自身も元々人間が魔王をどうこうする以前の問題だよ、ていうか俺をこの世界に送る前にアナタにそんな力は無いって言ってただろ」
「そ、そんなこと言ったかなあ・・・・」
本当に知らない人は知らんって言うぞ
「魔王と戦うなんて無理無理、出会った瞬間消し炭にされるのがオチ」
「そんなあ・・・」
落ち込んでいるな、だが背中のほうに視線を感じるな、誰だろう
俺はうしろを見てみ―――
「ま、まあ、倒す気は無いが冒険者にはなったほうが良いよな」
うしろで俺を待っていたのは、住民たちキツイの視線でした。




