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世界墓場―ワールドグレイブヤード―  作者: 秋坂行志
第三章:再来のダンジョン
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6:森の中のはぐれコボルト 2/3

 ティティスは森の茂みの奥から慧介とコボルトの戦いを見守っていた。


 先日手に入れたばかりの魔法の杖――風遊びの杖”ヴィンフガール”――の杖頭には、いつでも魔法を放てるように魔力がこめられている。


 何かおかしいとはすぐに気づいた。

 どうやら外れを引いてしまったのかもしれない。

 コボルトの動きが、慧介に比べて余りにも良すぎるように思われた。


 この近辺に生息するコボルトの平均レベルは2~3。高くてもせいぜい5というのがギルドの発表している最新データである。


 慧介のレベルは現在4だから、仮にレベル5のコボルトと遭遇しても大した危険はないと考えていた。


(ケイよりだいぶレベルが高い……?)


 ティティスには敵のレベルを見ることはできない。その雰囲気や動きからなんとなく直感的に察するしかない。


 しかし、これまでに〈エレメンタラー〉、〈ハンター〉、〈メイジ〉の三職について、合計レベルが八十を越えているティティスからすると、慧介もコボルトもレベルが低すぎていまいち判然としないのである。これはある意味強者故の弱点とも言えた。


(いや、まずいな……。これは、致命の一打が出れば、〈シールダー〉の防御を易々と破るか……?)


 ティティスは迷っていた。


 今すぐに助けに入るべきか、それとももう少し様子を見るべきか。


 恐らくキアならば、コボルトが慧介に棍棒を投げつけた直後、地を這うように四つ足で駆け寄っていった瞬間に、その巨大な戦斧を投げつけていたのだろう。


 だが、あまり過保護にしてしまえば慧介から成長のチャンスを奪うことになる。


(ここはあと少し、ケイを信じよう……)


 慧介の闘志は未だ消えてはいない。


 自分が手を出すのはまだ早い。


 ティティスは手に持った杖をぐっと握りしめた。


 危険と判断したらすぐさまコボルトを倒せるように、精神を研ぎ澄まして集中を高めていった。

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