表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

プロローグ

「先生! 起きて下さい! 出番がやって来ましたよ!」


 荒川は朝が弱い。

 と言うか、まだ午前6時少し前。この時刻から全力で動けるなら今頃こんなところにいないだろうと思いつつ、少々興奮気味に飛び込んできた少年に目をやる。

 彼は反応の鈍い荒川につかつかと歩み寄ると、神妙な面持ちで耳打ちした。


「事件ですよ先生、これはもしかすると今までで最も大きなヤマになるかもしれません。皆さんもう1階(した)でお待ちかねです」


 ――ヤマってなんだよ。

 

 と言いたい気持ちを抑え、荒川は渋々起き上がった。 



「昨夜の局地的豪雨で土砂崩れがあったらしいんです。ふもとに通じる一本道が塞がれてしまって、警察もすぐには来られないそうです」


 ――またか。

 

 こうなっては荒川に抗う術はない。多分、既に、きっと、十中八九、全てのお膳立ては済んでいるのだ。事件の関係者をどう丸め込んでいるのかは特殊な交渉術によるらしく定かではないが、全てを解決するまで荒川に自由がないことだけは決定事項である。

 




 時折吹く風が、激しかった昨夜の雨を抱えた木々を揺らし、ばらばらと水滴を散らす。 


 D県の山間(やまあい)にある観光牧場『もふもふファーム』では、この日の早朝、牧場主夫人の遺体が発見された。

 発見場所は羊たちが夜間過ごす羊舎に隣接する『毛刈り場』である。宿泊客の医師により死因は『アナフィラキシーショック』と診断され、事件性はないと思われた。

 しかし、事故と思われたこの一件。偶然居合わせた彼らの活躍により、意外な真実が解き明かされたのだが……この二人、決して探偵などではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ