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この世界でのプロローグ


「さて、今日のランチは何にするかね…」


目の前には、今朝届けられた食材が並んでいる。

真っ赤な色をした茄子のような、ジャガイモのような野菜に、目が三つある魚。

鮮やかな色をした花に、餅のように丸くて水色の物体。

それと一緒に並ぶのは、普通の玉ねぎやニンジンなどのお馴染みの食材だ。


「これだと、フカンツのあんかけにホーリーのスープが妥当じゃない?」

「いや、それはあっちの分だろうが。今はこっちのって…また入り込んだのか、ユラ」

「だって、また厨房から唸り声が聞こえて来たから、ここは大人の魅力溢れるユラ様の出番かな?って思っちゃって」


肩にしな垂れ掛かりながら、食材を覗き込むユラの胸は、俺の背中にペッタリと貼り付けられている。


「これが中身ロリ娘じゃなきゃなー…」


ペイっと纏わり付いていたユラを放り捨てると、先ずはフカンツと呼ばれた魚の下処理を始める。

水色の物体は温めた鍋に放り込んで、溶かし始める。

その間にホーリーと呼ばれる花の茎を切り、溢れる液体を鍋で温める。

そこに、ナンジャという芋のような茄子のような、こちらの世界ではトマトに近い野菜を刻んで鍋に入れて、最後にホーリーの花を刻んで入れれば、スープの完成だ。

水色の物体が溶けて、少しとろみが出て来たら火を止める。

あとは、下拵えの済んだフカンツを揚げて、水色の物体、所謂スライムのあんをかければ完成となる。


「さて、次はこちら用なんだが…おい、ユラ。今日は何が食べたい?」

「そうだね~今日はオムライスが食べたい!」

「じゃあ、簡単だしそうするかな。おい、つまみ食いするなら、表の看板出して来い。店、開けるぞ」

「は~い!ユウゴって何だかんだ言って、私の事好きよね~」


いつも通りの掛け合いを交わすと、言動には似つかわしくない悪女系の美女が、表に看板を出しに行く。

そして、店の奥に引っ込むユウゴを確認し、ユラと呼ばれた美女は看板にそっとキスをする。


「『異界の門を潜りし者には、真実を写す障壁となれ。この世界に存在を固定されし者には、偽りの姿を写したまえ』」


一瞬、細かな蜘蛛の巣のような線の煌きを確認すると、ユラは店内に戻って行く。


今日も、転生者には異世界の料理を振舞うカフェ&バー『アルディラ』は平和な時間を紡ぎ出したのだった。

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