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間違い
悠里を送り届けた後、俺は学校へ向かった。正直学校へ行きたい気分ではなかったのと、ほぼ遅刻なのが理由からノロノロと自転車を漕いでいた。普段みたいに周りの景色をボーっと見ながら登校していたら駅前で一人の男性が目に入った。
その男性は明らかに道に迷っていた。だが道に迷っているだけでなくガタガタと震え、何かに怯えているかのように見えた。
俺はとりあえず話しかけた。
「おはようございます。何かお困りのようですが、お力をお貸ししましょうか?」
男性は俺の言葉に驚き虚ろな目で一番近い高校の場所を訪ねた。新しく赴任してきた教師ということだった。俺は緊張から怯えているのだと自分で納得した。男性に悠里の学校を伝えた。男性は礼を言い歩いていった。
この男性と会話したことが……悠里の通う学校を教えた事が俺の人生の最大の間違いだった。