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88 夜旭町へ

「王弟殿下はブルフログの手引きで行かれるようになったようですが、そこにブルフログの女がいるらしいです。実は私も、二人ほど家来を調査に送ってみたのですが、ああいうところの女性は口が堅いですからね、何の収穫もありません。というか、相手にもしてもらえませんでした。でも、ますます臭いがします。あそこにブルフログが隠れているのではと私は思います」

 

 ナガノの報告を聞いて、ニニンドは下を向きしばらく考えて、今度は天井を見上げた。

「わかりました」

「若さま、何がおわかりに」

「それでは、私が行って探ってきましょう」


「若さま、何をおっしゃられます」

「今は一刻も早く、ブルフログを見つけなくてはならないのですよ。他に、どんな方法があるというのですか」

 ナガノが腐ったかぼちゃのような苦い顔をした。


「その仕事は、他に誰ができると思いますか。ハヤッタ様にできると思いますか」

「いいえ、それは無理。あのお方は何にでも秀でた方ですが、こういうことは別、絶対に無理です」

「ナガノ、そうだろう。私が行くしかないではないか」

 ナガノはニニンドに優しい声で言われると、すぐに丸めこまれてしまうのだ。


「花街って、何ですか」

 とリクイが訊いた。


「リクイは知らなくていい。庭園ではないのだから」

「なぜ、そんな言い方をするんだい。ぼくは、知りたい」

「あそこは、化粧をしたきれいな女性がたくさんいるところだよ。私はああいうところの姉さん達からはもてるので、話が聞けるかもしれない」

 

 そして「あっ、しまった」という顔をして、ナガノに顔を近づけた。

「今言ったことを、他言してはだめだからな」

「どうしてそんなことを。私が言うわけがございません」


「その他言してだめな人って、サララ姉さんのことじゃないですか」

「サララも含めて、という話だ」

「サララ姉さんが怖いんですか」

「そんなことがあるはずがない。ただ羞恥心がないと呼ばれたくないだけだよ」


「ぼくも、その夜旭町へ行きます」

「何を言っているんだい」

 ニニンドがとんでもないという顔をした。


「リクイはお兄さんが見つかるかもしれないんだから、ここにいたほうがよい」

「そんなこと、ニニンドは本気で言っているのかい」

「万一ということがある」


「きみが行けて、なぜぼくが行ってはいけないんだい」

「リクイはそこがどんな場所なのか、知らない」

「きみは知っているというのかい」

「私は道端で踊っていただけではないんだよ。ああいう場所にも呼ばれて踊っていたんだ。世の中には、知らなくて、いいことがある」

「知らなくていいことなんかない。そういうことがあるなら、ぼくはますます知りたい」


「リクイ、悪いことは言わないから、ここにいてほしい」

「そうですよ。リクイさまは行ってはなりません」

 ナガノがリクイをおいたわしいという目をしていた。


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