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129 希望の光

 ニニンドの肖像画はすでに完成し、複製も二枚できた。これから複製は何枚も作られて、地方だけでなく、各国の宮廷に送られることになっている。

 新王太子ニニンド殿下は東洋のテキスタイルで作られた濃紺色の長い上着に、腰には銀色の帯を巻いている。


「ハヤッタよ、これは全てそなたのおかげである。すべて、妹のクリオリネがニニンドを産んでくれていたことを発見し、異国まで探しに行き、連れ帰ってくれたことによる。どのように、感謝したら良いものだろうか」


「ニニンド様がここに来て下さったのには、別の偶然が働きました。ニニンド様は決して この国には来ては下さらないだろうと私は諦めていました。そして、サディナーレ姫に、希望を託したのでした」


「ニニンドは元気で生きていて、この国に来てくれた。当初は何を言ってもY国に帰ると言い張っていたのに、今では養子になることも、跡を継ぐことも、私の望みは全て聞き入れてくれた。どんなにしても床から起き上がることができなかった辛い日々を思えば、夢を見ているのかと思うことがある」

「まことに」


「ニニンドの出した条件はふたつ」

「サララさんのことでございましょうか」

「そうなのだ。どうしても、サララを妃にしたいそうだ。もうひとつの条件は、サララを縛りつけないこと」

「それで、陛下はなんと」

「もちろん、承諾した。他に、選択があるか」

「考えつきません」

「愛の勝利ということかな。うらやましいことである」

「まことに。ニニンド様はご立派でございます。サララ様はなんと幸せなお方でございましょうか」


 もし自分にもニニンドのような強い覚悟があったなら、愛する人と別れることはなかっただろうかとハヤッタは思った。


「サララは強くて、賢い。この国の国民は手先が器用だから、その特性を生かした製品を作るようにニニンドに勧めたようだ。ある意味、幸せなのはニニンドの方かもしれない」

「はあ、そういうことになりますね。そう考えてくださる陛下がいて、おふたりは幸せでございます」

「重い責任ばかり負わされて、ふたりが幸せかどうかはわからぬが、ふたりのおかげで、私にも、この国にも希望がある」

 

 ハヤッタは思う。ニニンド様を見たその時から、国王は変わられた。人は希望を見た時、変わることができる。国王はこの私が思っている以上に、ことが見えているお方なのかもしれない。私の知らないところで、あの時から今の今まで、何をどのように画策なさってこられたのだろうか。


「それにしても、この肖像画はよく描かれています。国民がニニンド王太子殿下のこのお姿を見たなら、その心に希望の光を持つことでしょう」

「私もそう考える」

 とグレトタリム王は満足そうな笑みを浮かべた。


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