表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/132

117 スノピオニの憤慨

 スノピオニがふたりの子供を連れて、王宮正面の前庭に出た。広いところに出たので、うれしくなったルルピオニははしゃいで走り回り、弟のカイリンが母親の手を放して、とことこと姉を追いかけた。

 

 スノピオニは天を仰いだ。追い詰められたこの気持ちを何も知らないほど、空は青い。

 ここに、マグナカリがここにいたら、カイリンが走っているのを見て、どんなに喜んだことだろう。

 マグナカリがいたら、私がこんなひどい目には遭うことがなかったはず。


 国王を初めとして、誰もが、私が欲のためにマグナカリを利用したと思っていることだろう。

 マグナカリがどれほど私を愛し、私が真心でどのように応えたのか、誰も知らないし、信じないし、考えてみたくもないだろう。


 ブルフログはマグナカリの分身。マグナカリの声はブルフログの声なのだ。だから、その分身と子供を作ったとして、マグナカリの子ではないか。


 もう、こんな国に住み続けることはできない。一刻も早く、立ち去らなくてはならない。しかし、財宝をどのようにして、どこに持ち出せばよいのか。それはブルフログが考えてくれるに違いない。これまでのように。


 ブルフログよ、早く助けに来ておくれ。私たちのことは見守っていると言ったけれど、私が一番困っている時に、どこにいるのか。

 私が宮廷で、どんな屈辱を受けたのかを語ったら、彼は黙ってはいないだろう。これまでのように、私に少しでも不快や屈辱を与えた者には罰と死を。誰も彼も、殺してほしい。


 庭を一頭のロバがゆっくりと通り過ぎようとした。リクイとしてはもう少し時間稼ぎをしなくてはならないから、スマンの登場になったのだ。


「ロバさん」

 とルルピオニが指をさして追いかけた。

  スマンはルルピオニを振り返り、親しげのある目で、こっちにおいでおいでと首を振りながら、ゆっくりと歩いた。ルルピオニがスマンを追いかけて行くと、柱の陰から家来が二人駆け出て、子供を捕まえようとした。


「汚い手で子供に触るではない。そう言っただろうが」

  スノピオニが大声で叫んで、駆け寄った。

 しかし、家来がルルビオニを抱き抱えようとした時、彼が突然、悲鳴をあげて地面に倒れ、続いてもうひとりも倒れた。

 何があったのだと控えていた者たちが見回すと、屋根にひとつの黒い影が見隠れした。


「あそこだ」

 とひとりが屋根を指をさした。

「矢が飛んでくるから、気をつけろ」

 

 宮中が騒いでいる間に、スノピオニはふたりの子を抱いて、門外に出た。しかし、待たせてあったはずの馬車がないし、お伴がひとりもいない。


「私が馬車を用意しましたから、どうぞ」

 とリクイが馬車を引いてきた。

 スノピオニに選択はなかった。親子三人が乗ると、リクイが馬車の助手席に座った。


「おまえも来るのか。なぜついて来るのだ」

 スノピオニはリクイの背中を見て叫び、馬車の窓を叩いた。

 しかし、誰も答えないし、馬車の扉も開きはしない。緊迫した様子を感じて、カイリンが泣き出した。


「お母さま、わたし、こわい」

 ルルピオニが心配そうな瞳をした。

「大丈夫ですよ」

 スノピオニが子供たちをしっかりと抱いた。

「これまでも、ずうっと大丈夫だったでしょう。さあ、おうちに帰りましょう。おうちに帰れば、こわいことなど、何もありませんよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ