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自称日本人の異世界放浪記  作者: sayi
第一章 出会い編
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第8話 魔力


 2人とも黙って歩き続けること十数分。漸く目的の湖に着く。周りは木ばかりの中に大きな湖が有り大きさ的に日本の十和田湖ぐらいに匹敵する。


「大きいな〜」

「あぁ。大きい…この魔獄でこのような場所があるとは…」

「さて…湖の近くに家を建てますかね!」

「ハァ!?家があるんじゃないのか?」

「いや。ないよ!俺も初めて来たし」

「ハァ〜…何者なんだよあんたは!」

「只の中年ですが何か?」


 レオナルドは溜め息しかでない。何を言っても答えを出してもらうことは無いと思い、問いただすのをやめる。レオナルドも話していない事があるし、ユリウスが聞かれるのを嫌がるタイプだと判断する。


 付き合いは短いが、今までの会話や態度でレオナルドはユリウスが人付き合いが苦手というか避けているような感じがした。


 2人は更に木々をくり抜け湖の水辺まで歩き続け2人は立ち止まる。

 ユリウスは、ポッケからタバコいっしきを取り出し火をつけ吸いだす。


「ふぅ~一服すると気分が良いねぇ~!吸うか?」

「紙煙草か?高価な物を吸うだな…遠慮しておく!俺は煙草より酒派なんでね!」

「そんなに高いのか?」

「あぁ。紙自体が高いんだ…ってそんな事も知らないのか?」

「うん。知らん!」


 レオナルドは、何度目かの溜め息とともに疑問に思ったことを聴く。


「それはどこで手に入れたんだ?」

「手作り?」

「ハァ〜なんで疑問形なんだ…まぁいい…で?これから何をする?」


 ユリウスは嘘は言っていない。素材が有れば船という名の宇宙船で作れるからだ。だが地球に寄った時は地球産のタバコを大量に購入している。

 

 特に日本産のタバコを好んで吸っている。

 因みにライターは、ジッポライターを使っている。オイルも船で作れる。


 レオナルドが疑問を投げかけたその時、今まで黙っていたクリシュナが声を掛ける


『愚主!偵察機の情報とレオナルド様との会話でこの星の言語を解析し理解しました』

(了解!この付近に街があったと?)

『はい、愚主。東南に行ったところに街と砦を発見し情報を収集しています。これからこの森全体と付近の情報収集を引き続き行います』

(わかったばい。後で偵察機でも持ち運べる転移装置も用意しとくけん設置もお願い!)

『街に行くためですね?森にはどうしますか?』

(どうせこの森広いんやろ?)

『はい、その通りです愚主。ざっと見た感じこの数十分で森の付近に街と砦を発見していますが、森全体を把握するには偵察機の量が足りません。あと100機追加でお願いします』

(了解!後で偵察機を追加しとくけん!情報収集と転移装置設置宜しく!)

『了解しました』

「おい!聞いてるか?」


 クリシュナとの会話でレオナルドを後回しにしすぎて催促が来てしまう。

 ユリウスはこれからの方針を告げる。


「あ、あぁ〜すまん!これからこの付近の木々をこの斧で切っていく」


 左手の黒玉から鉄の斧を2つ取り出しレオナルドに渡す。

 レオナルドは驚きながらも受け取る。


「あんたと居ると驚きや呆れがつきないな」

「暫くしたら君を街に送ってあげるからそれまでの辛抱ってことで!さぁ木々を切っていくぞ!」

「街に行けるのか…あぁ、分かった!」


 2人は木々の採伐をし始める。

 ユリウスは闘気を纏って続々と切って行きながならレオナルドにバレないように、クリシュナに頼まれていたものと転移装置を取り出し野に放つ。

 

 レオナルドはというと、魔法で身体強化しているが1本切るのもやっとだ。それぐらい魔獄の森の木は丈夫ということ。ユリウスが異常なのだ。


「ハァ、ハァ…結構疲れるな…それにしてもあの人はすごいな。30分も立たないのにもう5本も切っているなんて」


 そこにユリウスがレオナルドの元にやってくる。


「ここいらで休憩をしようか?疲れてるやろうし」

「あぁ。ありがたい!ちょうど腹が減っていたんたが荷物をなくしてしまってあいにく食べ物がないんだ」

「それは大丈夫。オレが準備する」


 ユリウスは白玉からカセットコンロとポット、カップにコーヒーパック2つを取り出し、更に白皿にサンドイッチが乗ったものを2つ取り出し一つをレオナルドに渡す。


 サンドイッチは具が卵とツナのいたってシンプルなものだが食にうるさいユリウスがパンから具まで手製で作っている。これは非常用に作っていたものだ。異空間収納は時間停止が施されている。


 コンロに火をつけポットに湖の水を入れてコンロの上に置く。湖の水はついて早々ユリウスが味見しているので安全は確認している。


 暫くしてポットの水が沸騰してカップにコーヒーパックをセットしてお湯を淹れていく。淹れたてのコーヒーをユリウスはレオナルドに渡して休憩に入る。


 2人は地面に座りながらコーヒーとサンドイッチの皿を地面に置き食事をしだす。


「白パンのサンドイッチか…また高価な物を…」

「小さい事は気にすんな!食ってから文句言え!言えるものならな!」

「では黄色い具材のサンドイッチから…う、う、美味い!これは卵に胡椒が入っているのか…これは文句も言えない上手さだな!これはもしかして…あんたが作ったのか?」

「そうだ!料理には人一倍力を入れてるからね〜そんじょそこらの料理人には負ける気がしないね!」

「だろうな。貴族でも中々食えないだろ…それぐらい美味い!」


 そこでレオナルドは口休めにコーヒーの入ったカップを手に取る。見た目は黒色の液体だが香りが良くユリウスも飲んでいるため意を決し口につけ一口飲む。


「苦いが…香りが良くて癖になりそうな茶だな」

「コーヒーな!だろう?コーヒーは人を選ぶからな…砂糖いるか?」

「いや。このままで良い!このままを味わいたい」

「そっか」


 ズズズっとコーヒーを飲むユリウス。

 レオナルドも飲んだ後最後のサンドイッチを食す。


「これは…食ったことのない具材だな」

「それはツナだ!海魚の身をほぐしたものだな」

「海魚だと?ここは内陸何だがな…だが美味い!海魚がこんなに美味いなんて思いもよらなかった」

『愚主。この森を北に行くと海が有ります』

「どうやらこの森の北に行けば海があるらしいぞ」

「どうやらって…そうか海があるのか…この森の北か…行くには遠そうだな」

「さぁ!日没までに木を切り倒しますかね!」

「あ、あぁ体が持てばいいが…」


 ユリウスはやる気満々だがレオナルドは諦め顔になるしか無い。途方もないと思ってしまう程の木があるからだ。


 それから2時間黙々と木を切り倒し続け2人合わせて20本もの木を切り倒した。主にユリウスだが…レオナルドは、3本がやっとだった。


 ユリウスは切った木を都度紫玉に収納し、後は木の幹だけが残った状態だ。レオナルドの切った木もユリウスが収納し漸く家が建てられる広さとなる。


 ユリウスはその場でタバコに火をつけ吸い出す。そこにレオナルドが近寄ってくる。


「ふぅ~労働の後の一服は格別だな〜」

「魔獄の森だというのに呑気なものだな。残った幹はどうするんだ?もう日暮れだぞ?」

「大丈夫!ふぅ~さてやりますかね!」


 ユリウスは、携帯灰皿にタバコを消し、ポッケにしまう。

 すると体内の魔力に集中し残った幹全てに狙いを定めるように辺りを見渡し右手を上げいっきに魔力解き放ち「分解」と言って魔法を使用する


 すると付近の森に魔力がいきわたり魔法が放たれ幹だけ全てが塵になり地面が平坦になる。


「す、すごい魔力量だ…それになんて魔法だあんなにあった幹が一瞬でちりになった」


 レオナルドは驚き、あんなにあった幹を一瞬で塵にしてしまったユリウスの力とそれを行える魔力量に畏怖を覚える。


「グッ!」


 一気に魔力を使ったためか膝を地面に付けるユリウス。倦怠感が一気に襲ってくる。


『愚主!』

「ユリウス!大丈夫か!?」

「あ、あぁ。ヤバいな…こんなにきついのか」

『体内の魔力が一気に減っています!愚主いきなり無茶をしないで頂きたいです!』

「それはそうだ!あんな魔力量を一気に魔法で放つんだ意識を保つだけでもすごいことだぞ!」


 ユリウスは地面に寝そべりポッケからタバコを取り出し火をつけ吸い出す。タバコを吸いながら反省をしつつこれは改良が必要だなと思案する。


 魔力という新たな力を手に入れたとはいえまだ未知の存在、制御もそう簡単ではない。慎重にいくべきだとクリシュナは言うがユリウスは何となくできるだろうという意気込みでやってしまう。


 その結果がこれだからクリシュナの言う通り慎重に動くべきかと今更ながら思う。


「ふぅ~。参ったね…暫くは動けそうにないね!と言っても数分かな?これだけ魔素があるんだ!魔力に変換すれば回復できるやろうし」

『そういう問題ではありません!死ぬ気ですか?死にたいんですか?』

「ハァ〜、楽観し過ぎじゃないか?一歩間違えば死んでいたぞ?」

「2人とも大袈裟やね!そんな簡単に死なんよ!」

「2人?それにそのしゃべり方…人は魔力が尽きれば寝込んだり、下手すれば死ぬぞ!俺も死にかけたわけだし」

「いや!忘れてくれ!そっか…死ぬこともあるのか気をつけないとな」


 ユリウスは魔力の使いすぎの危険性を知る。改めてこの星の情報と魔力について早急に詳しく知る必要がある。その時【魔力回復】というスキルを覚えた。


 タバコを吸い終わり、携帯灰皿にしまうとさっきより身体が少し楽になったことを感じ立ち上がり若干ふらつきながらも平坦になった場所に行く。


「おい!もう起き歩いて大丈夫なのか?」

「あぁ、大丈夫だ。早く家を建てないとな」

「今からか!?さすがに無理だろ…」


 ユリウスは左手首にあるブレスレットの赤玉に触れあるものを取り出す。

 それは見た目は日本の昔ながらの二階建ての一軒家。これは仕事上惑星でユリウスが寝泊まりする時用のものである。


 レオナルドは何度目かの驚きで言葉も出ないしこんな家屋見たこともない。こんな物まで収納出来るなんてどれ程の容量なのだろうと思う。


 少なくともレオナルドが知っている限りこれほどの容量のアイテムボックスは知らない。

 さっきの魔法といいアイテムボックスといい本当にユリウスという人物は何者なんだろうと改めて思うのだった。



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