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自称日本人の異世界放浪記  作者: sayi
第一章 出会い編
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第27話 目覚め


 ジャックが居なくなり戦場で負傷したハルハンドの兵も次々と転移魔法で居なくなっていた。その場に残っのはハルハンドの兵の死体とドクトリウム兵とキントレス兵、ユリウス達の味方のみとなる。


 一仕事終えその場で横になりポッケに入っていたタバコをおもむろに取り出し一本口に咥え火を付ける。


「ふぅ~。何とかなったばってん今の状態ではジャックに勝てんね!精進せんば。ふぅ~」


 汗だくの状態で独り言を呟く。月光はというと力を使い今は眠りについている。


 戦場ではドクトリウム辺境伯爵が勝鬨をあげ兵が勝てたことに盛り上がっていた。この戦いユリウスの再生魔法が無ければ勝てなかった。


 後半はユリウスの覇気に敵兵が恐怖状態に陥っていたので何とか勝てた。こちらには負傷した者は居るが死者はいない。


 横になっているユリウスの元にシド達がやってきてクロエがユリウスに膝枕をする。焦るユリウスだったが今の状態では振り払うのも無理だ。


「なんばしようと()()()中年の男には恥ずかしかばい!止めんね!」

「止めません!こんな状態になってまで戦うなんて…魔力も尽きかけていますし生命力も少なくなっていますよ!今は休んでください」

「まぁ…今出せる本気を使ったけんね…無理もなか…ヤバッ…いし…き…」

「「「「「ユリウス(さん)(様)」」」」」


 そこで気を失うユリウスだが皆心配でたまらない。そこでクリシュナが皆に応える。


『愚主なら大丈夫です!刀へ代償の反動とまだ不慣れな魔力や覇気を使ったのです体が耐えれず気を失ってるだけです!暫くしたら生命力も回復し起きるでしょう!』

「そうじゃったか…これは今後のために鍛錬が必要じゃな!」

「あの〜。この刀危険じゃないんですか?」

「そうよクリシュナ!この刀何?ただの魔刀じゃないでしょう?」

「喋る武器なんて初めて見たねぇ!」

『その月光は日本で長い年月時間をかけて【妖怪】と戦い続けた結果意志を持ち強い力を持った妖刀ですよ!』

「えっ!?日本に妖怪なんて実在してたの?」

『はい!実在しますよ!裏で妖怪ハンターが始末してましたから!普通の日本人や他の国の地球人はほとんど知りません!知ってるのはハンターやその一族、国の上層部くらいでしょうか』

「へ〜。そうなのね!知らなかったわ」


 そんな話をしている合間にレオやキッド達だけでなくエルネシア達やドクトリウム辺境伯爵がユリウスの元にやってくる。


 何故かエルネシア一行にフランクがいつの間にか加わっている。実は城壁で見ていたフランクは勝てると思った直後戦闘に加わっていた。


 そんな事してもやった事は帳消しにはならないのだがこの男実に図々しいのだ。


 そんなフランクを無視しレオがシド達に話しかける。


「ユリウスはどうしたんだ?」

「力を使いすぎたようじゃ。今は休んでおる」

「ほんとう?」

「ウソジャナイ?」

「本当じゃ!暫くは安静が必要じゃろう」


 2匹は小型化しユリウスの元を離れようとしない。それぐらい心配なのだ。

 そこでドクトリウム辺境伯爵が声を掛ける。


「ここではゆっくり休めんだろう!ここはキントレスの城を貸してもらおうではないか」

「それは…」

「良かろう?リリム嬢」

「はい!我が領の危機を救っていただいた方ですので是非!」

「ですが、姉上!」

「フランクは黙っていなさい!勝てると判断してノコノコやって来た腑抜けに拒否権などありません!」


 反対を示すフランクであったが姉のリリムに言われ何も言えなくなってしまう。


 一同はユリウスを抱えキントレス城へと戻り戦場の後始末は兵達に任せルグルズの戦いは幕を閉じるのであった。






「う〜ん。いつの間にか気を失っとたばい。うん?」


 気づけばどこかのベットの上だった。枕元にはキッドとノワールが寝ておりユリウスの左手は誰かにつながれている様な感触があった。


 誰がと思い見てみるとベットの横にはエルネシアが椅子に座りユリウスの手を握って目をつぶっていた。ユリウスが目を覚ますと気配で気付いたエルネシアが目を開ける。


 ハッと気づき繋いでいた手を勢い良く離し何事もなかったように話しかける。


「気付いたかユリウス殿、1日中寝ていたのだぞ!それくらい疲労したのだ、まだゆっくり休んだ方が良い」

「1日も寝てたか〜皆の飯作っておらんばい!アチャ〜大変やなかった?姫さん」


 目覚めた直後にそんな事かと面を食らったが思わず笑みがこぼれてしまう。思わず昨日のキッド達の騒ぐわいを思い出してしまう。


「昨日は大変だったぞ。ユリウス殿の食事を食べてる者がこの城の食事では満足出来ずクロエ殿が作った物で渋々だったがその子達は満足出来ず駄々をこねていたぞ。プフ」

「それは目に浮かぶばい!それは大変やったやろうね…」


 ユリウスがエルネシアと話しているとキッドとノワールが目を覚ましユリウスに擦り寄る2匹。


「ユリウスにいちゃん!げんきになった?」

「ニイニ!ゲンキ?」

「あぁ!大丈夫ばい。腹減ったやろ?今から作るばい!」

「やった!」

「ヤッタ!」


 そう言いながら2匹をなで上げ立ち上がろうとするがエルネシアが止める。


「待ってくれ、病み上がりなのに無茶をする事ないぞ!」

「大丈夫ばい!俺が作らんと暴れ出したらたまったもんやないばい!」


 そう言いながら時間を確かめるため腕時計を見るとちょうど昼になる前だった。これなら昼メシに間に合うと判断して服装を確認するとコートと上着が脱がされていた。


 服は壁に掛けてありコートのポッケからタバコを取り出し吸い出す。


 その時部屋のドアから人が続々と入ってくる。


「何やレオ達か〜。ビックリさせんでよ!ふぅ~」

『死にかけがよく言いますね』

「クリシュナの言うことは辛辣だがもう少しゆっくりしたらどうだ?」

「回復力には自信があるけん大丈夫!それよりも皆の飯を作らんばやろ?1日寝とったし昨日の戦いの分労わないかんけんね」


 ここでタバコを吸い一息つき携帯灰皿で消ししまい体をほぐしてから上着やコートを持ち収納魔法にしまいベットの横にある月光を脇に装備する。


「ワシらには良いことじゃが本当に大丈夫か?」

「そうですよ。ゆっくりしてください!料理は私がしますから!」

「そうよ。剣王と死闘をやったんだからもっとゆっくりするべきだわ!」

「ありがとね!気持ちだけ受けとくばい。それに捕まえた奴はまだ情報を話しとらんちゃろ?」


 ユリウスが皆に気遣ってくれたことに素直に感謝して捕まえた者が情報を吐いたか聞くがそれにはエルネシアが応える。


「マーノ様が捕らえてくれたゲイリー・デン・ビッツヘルンは無関係を主張し執事に関しては黙秘を貫いている。今ドクトリウム卿監視のもとフランクが拷問して聞き出しているが効果はないようだ…」

「あのバカのことだ。ここで情報を吐かせ手柄を揚げるつもりだろうが中々上手く言っていないようだ」

「ワシも見に行ってみたがゲイリーとやらには貴族位が上だからと見逃せと言われ戸惑っておたぞ」


 その話を聞きユリウスはフランクにとことんバカだなと内心ため息をつくが先ずは腹ごしらえからだと思い皆に無理言って調理場に向かう。


 そこでもキントレス辺境伯爵のお抱え料理長に素人にはとか言われたがエルネシアが許可を出しそこにユリウスの体調を心配した王太子まで来た。


 来てそうそう昨日の戦いは見事だったと褒め称えユリウスの料理を食べたくなった王太子は料理長に王族命令でユリウスに場所を貸すように指示を出す。


 今日は昨日頑張ってくれた皆にジャイアント・ファングボアの生姜焼きとホーンカウのロースステーキ、ホーンカウのレバーを使った料理やホルンを使った料理等をクロエ、シノ、イザベラと作っていく。


 ステーキのソースにジャポネソースだけでなくデミグラスソースやワサビと岩塩を用意し後は食べる本人に任せる形となった。


 サラダもポテトサラダやホーレンソウを使ったサラダなどを作る。ホーレンソウのサラダの上には薄力粉で作った餃子の皮を使い油で揚げたものをのっけて食感を出す。


 スープはコーンポタージュでパンを焼き、米も炊いて昼飯の準備をする。


 準備をし終え食事をするため食事をする広間に通されるとそこにはすでに料理長が作った物を食しているキントレス辺境伯爵が居た。


 そこには渋々食べる王太子とエルネシアの姿がありドクトリウム辺境伯爵は何も手につかず目をつむり何かを待っている様子。


 ユリウスが料理を持って入るとドクトリウム辺境伯爵は待ってましたと言わんばかりに目を開け笑顔で迎え入れる。


「待っておったぞ、ユリウス!貴殿の作る料理を心待ちにしておったのだ!」

「大袈裟やね、リチャードのおっさん。飯はどこにも逃げんよ!」

「貴様!ドクトリウム閣下に対して失礼だぞ!平民の分際が!」


 また喚くフランクを無視しドクトリウム辺境伯爵と別のテーブルにいるレオ達に配膳していく。

 ドクトリウム辺境伯爵はフランクに対してそれを手で静止する。


「ユリウスには戦場で助けてもらった。どこかの勝ち馬に乗るような真似をする者と違いユリウスはあの剣王の魔剣事右腕を斬った男なのだ。それぐらいの呼び名などなんてことはない!むしろ喜ばしいことだ!」

「クッ…!」


 ドクトリウム辺境伯爵の言うことも事実であり否定は出来ないので黙るしかなくなるフランク。


 それぞれの前に料理が並び予め少量しか頼んでいなかった王太子とエルネシアにもユリウスの料理が行き渡りそこにリリムも自分もと準備してもらう。


 それぞれに行き渡り食事をし始めるがキントレス辺境伯爵は断固としてユリウスの料理には手を触れずそれを見たフランクも手にしようしなかった。


 ドクトリウム辺境伯爵とエルネシアはもちろんの事王太子やリリムと言った初めて口にする者たちはこれまで食べたことがないと言いながら食べる。


 それを見たキントレス辺境伯爵はいい気持ちがせず終始苦虫を噛んだ表情で食事をしていたのだが王太子に「お前も食ってみよ」と言われ渋々一口だけ食べてみる事に。


 するとこれまで食べた料理の中で美味しくまだ食べたい思いが出るがプライドがそれを許さなかった。素材がいいだけと自分に言い聞かせる。


 ドクトリウム辺境伯爵は食事をしながらふとこれらの料理が魔獄の森の魔物を狩った物とエルネシアから聞いていた。


 それを思い出しユリウスに話を持ちかける事にする。


「ところでユリウスよ。これらの肉は魔獄の森の魔物を狩ったものだと聞いたが売ってくれんか?」

「魔獄の魔物なのですね!それならいい値で良いので私も欲しいです!良いですよね、父上?」


 ここでリリムも言い出すが本音はユリウスと友好関係を築いていきたいという思いが強い。肉事態はついでとしか思っていない。


 リリムは剣王を退けたユリウスの力に同じ武人として憧れが強く芽生えており自分も強くなりたいと思っている。


 将来キントレス辺境伯爵を継ぐのは今回の件でリリムが継承権が強くなっていると王太子自ら伝えられた。


 将来を考えるのであればドクトリウム辺境伯爵と今は関係が悪いが自分の代で友好関係を築いておきたい。


 今回の件でギルレア公国が不穏に思えてならないので念には念を入れておきたいし、いざというときユリウスやドクトリウム辺境伯爵の力を借りれたらという思惑があるのであった。




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