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自称日本人の異世界放浪記  作者: sayi
第一章 出会い編
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第24話 馬鹿親子


 話し合いは日暮れ前まで続きノアとシノ、バル、イザベラ、アレックスを呼び他の者達は明日に呼ぶと約束しドクトリウム辺境伯に今日はこの城に泊まってほしいと頼まれた。


 最初は渋っていたものの自分たちの食事は自分達で作ると言い了承を得て泊まる事になった。


 ドクトリウム辺境伯は食事に凄い執念を持つユリウスに疑問があったがエルネシアに「彼が作った料理は王宮でも食べれないくらい美味」と聞き儂に作ってくれと言い出した。


 これに待ったをかけたのが辺境伯の抱える料理長だ。何処の馬の骨とも分からない者に作らせるわけには行かないと言い出した。


 終いには勝負しろとまで言い出しシンプルに卵を使ったオムレツを作ることになる。材料は揃えてあったが調味料だけユリウスが自前で用意した。


 審判は料理長の右腕の副料理長と言うことになってしまった。初めから勝たせるつもりはなかったらしい。


 結界は料理長が勝利したのだが、ユリウスの料理を食べた副料理長は驚愕し美味いと心から思ったがプライドが許さなかった。


 そうして自分たちの分だけ作るということだけは料理長から許されユリウス、クロエ、シノ、イザベラは料理にかかる。


 今日の夕飯はジャイアント・ファングボアのヒレ肉を使ったヒレカツだ。材料は自前で用意して作り始める。


 ヒレ肉を切り調理用肉ハンマーで薄く叩くようにシノに指示しその間クロエとイザベラにサラダの準備に取り掛かる。


 ユリウスはその間土鍋に白米を入れ炊いていく。それが終わったらシノと共にヒレ肉を伸ばし小麦粉、卵、パン粉の順に作業をしていく。


 パン粉を付けたヒレカツをフライパンで焼いていき仕上げはチーズを乗せてオーブンで焼くだけ。


 調理場にオーブンがあったのでそこだけ貸し出しを許可してもらった。オーブンで焼いている間だにトマトソースを作る。


 ソースはバジルとニンニク、たまねぎをみじん切りにしたもの味付けはユリウス特製の香辛料が混ぜてある塩とブラックペッパーを使用。


 ソースはあらかじめ作っていたのでそれを温める。サラダの準備が終わったクロエ達にジャガイモを使ったポタージュを作るように指示していた。


 作り方は以前にも作ったことがクロエにはあったためクロエ主導のもと作業に入っていた。


 それを見ていた料理長はいくら良い道具を揃え素材が良くても作る人間がプロでなければ台無しだと思っていた。


 クロエから無理やり料理長に試食として渡されたチーズヒレカツを一口食べた瞬間己の未熟さを知る羽目になる。


 幸いドクトリウム辺境伯やエルネシア達に出す食事は作り終えていたので良かったが作っている最中なら料理に影響が出ていた。


 それぞれの料理を出しドクトリウム辺境伯達が料理を食べているとユリウス達が食べているものが気になってしょうがなかった。


「ユリウス殿少し食べさせてくれんか?」

「い、いけません、閣下!閣下が口にするような料理ではありません!」


 そこで副料理長が応える。そんなの自分達のプライドが許さない。すると料理長が諦めた表情で副料理長に言う。


「もう良いのですよ、副料理長」

「ですが、料理長!」

「彼が作ったのは紛れもなくプロの味でした。それも私たちを凌駕したものです。あなたも分かっているのでは?」

「それは…ですが…」

「私たちのプライド等どうでも良いのです。閣下に美味しものを食べてもらうのが私たちの仕事なのです」

「料理長…」


 料理長達が言いあいをしている頃ユリウスは多めに作っていたチーズカツレツをドクトリウム辺境伯とエルネシア達の分を用意してメイドと共に持って来る。


 持ってきた物を食べるとドクトリウム辺境伯は大変喜び勢い良く完食していた。


「ユリウス殿このレシピ譲ってくれぬか?」

「私も教えて貰いたい!王宮の料理長に作らせたいのだ!」


 是非教えて貰いたいドクトリウム辺境伯とエルネシアだった。その場に居た料理長たちも期待した表情でユリウスを見る


 それを冷めた表情で料理長達を見ながら応える。


「閣下、姫様料理人のレシピは命に等しい物だ。それを弟子でもないものにやすやすと教えるものじゃないんだ!武道の奥義を初対面の人間に教えるか?普通ならしない!料理人なら分かるな?最初は見て学ぶことから始める!それが基礎のはずだ」

「確かに…そうだな…貴殿の言う通りだ…奥義もそうやすやすと教えたりなどはしない」

「ドクトリウム卿の言う通りだな…私が間違っていた。すまない、ユリウス殿!」


 ユリウスの言葉を聞き納得する2人。料理長達も初心に帰り1から学ぼうと思うのだった。


 そんな食事も終え用意された客室でそれぞれ一夜を過ごすことに。因みにユリウスはキッド、ノワール、アレックスと共に寝るのだった。


 日が昇る前にユリウスは目覚め中庭で刀の鍛錬していた。集中しすぎて日が昇っており中庭には数人集まって居た。


 一通りの鍛錬こなし汗を流しているとそこにマルクスがやって来る。


「おはようございます。実に見事な鍛錬でした。誰かと戦っているように見えました」

「あぁ、上司を想定して鍛錬しているからな。アンタは確かゼファードさんのお兄さんだったか?」

「えぇ。マルクス・デン・ドクトリウムと言います。弟を助けてくださりありがとうございます」

「気にすんな!たまたま助けただけだ」

「それでもです」


 そんなやり取りをしているとエルネシアがやって来る。それ見てマルクスがエルネシアに最敬礼をする。


「おはよう。ユリウス殿、マルクス殿」

「おはよう。姫様」

「おはようございます。姫殿下」

「今日はよろしく頼む!」

「姫様。いきなりだがプランを変更する必要がある」

「そうか…残念だが気を取り直していくしかあるまいな」

「だな」


 会話をし終えユリウスは厨房へ向かう。

 そこにはクロエ、シノ、イザベラがおり朝食の準備に取り掛かる。


 昨夜の件もあり料理長達はユリウス指示のもと作業をし始め学んでいる。


 朝食はサンダーバードのソテーやだし巻き卵パンやサンダーバードのガラから出汁を取ったスープ等を皆で食した。


 朝食を終えそれぞれが支度をしていた時マーノが努めて冷静な表情をしているが心中では呆れていてユリウスの泊まっている客室に報告をしに来た。


「ユリウス!例の林に行ってきたんだけどキントレスの兵が占拠していたわ!」

「そうなるばいね…あのバカが…」


 そこにエルネシア達とドクトリウム辺境伯、レオ達もやってくる。


「ユリウス殿マーノ様から報告を受けた。我々の策がこのままでは…」

「どうするつもりだ!ユリウス殿!」

「まぁ落ち着いて。そろそろトゥエンテに向かおう。そろそろ王太子殿下が着くころだ」

「そうだな。ここで焦っても仕方のないことだな」

「そうですな。兵はどうされるかな?」

「ルグルズ平原につながるトゥエンテの城壁の門前に転移させ待機してもらおう」

「承知した」


 全員が深刻な表情をしている中一人だけほくそ笑むのだった。

 それを見たユリウスは不敵に笑みを浮かべ通信機を使い脳内で通信を行う。


『全員昨晩の作戦通りにお願いするばい』


 通信を行うとそれぞれ返事が返ってくる。


 それぞれが支度をし終え、城の中の訓練場に兵やドクトリウム辺境伯、エルネシア達が集まりマーノが転移をする。


 マーノがルグルズ平原に繋がる城壁の門前に一旦飛び兵を待機させエルネシア一行とドクトリウム辺境伯、ユリウス、マーノでトゥエンテの領主の城前へと飛ぶ。


 勿論キッドやノワールもユリウスに付いて来ておりアレックスだけ森の家でお留守番だ。


 城前に飛ぶと兵が待っていたかのようにエルネシア一行とドクトリウム辺境伯、ユリウス達を城の中へと案内する。


 城内の応接室に向かい入るといかにも貴族といった装飾された部屋で中には豪華な衣装や宝石を身に着けた中年の男と執事が横に並び立ってエルネシア達を迎え入れた。


 部屋にはソファーに一見で王族に見える二十代後半の男性とその後ろに護衛が立って並んでいる。


「これはこれは姫殿下にドクトリウム卿遠路はるばるようこそ!」

「キントレス卿歓迎感謝する。それよりもラインハルト兄上ご無事で何より!」


 キントレス辺境伯爵はそっけない態度のエルネシアに対して嫌そうな顔をするがそれは一瞬で直ぐ様笑みを浮かべる。

 

 ラインハルトと呼ばれた男性は立ち上がりエルネシアを笑顔で歓迎する。


「我が妹よ!大変だったな!もう安心だ!それよりもだらしないぞドクトリウムそんな何処の馬の骨ともわからん者に騙されよって!!」


 そうラインハルトが言うとフランクが抜剣しユリウスに向ける。そこで外で待機していた兵が数名なだれ込みユリウスとマーノ、ドクトリウム辺境伯爵を囲むように取り囲む。全員抜剣して。


 フランクは嫌な笑みを浮かべ、父親であるキントレス辺境伯も同様な笑みを浮かべエルネシアに言う。


「姫殿下騙されてはいけませんぞ!息子から話を聞きました。その男が自作自演で姫殿下を助けドクトリウムと共謀し我が領を攻めるとは!落ちたものよドクトリウム!」


 自信満々に応えるキントレス辺境伯。

 それにドクトリウム辺境伯は溜め息を付きながら呆れた表情でそれに応える。


「ハァ〜。やはりユリウス殿の言う通りになっな」

「バカの親は大馬鹿者だったということだ。ドクトリウム卿」


 ユリウスが言い終えるとフランクを除いたエルネシアの護衛であるゼフ達が抜剣しキントレス辺境伯とフランクに向けていた。


 執事はディランが取り押さえダインとペティーが逃げないように厳重に監視している。


「これはどういうことなのだ、フランク!」

「私にも分かりません父上!」


 キントレス親子は混乱していた。何も合図無しに連携が取れた行動に驚きがついえない。


「それにしてもラインハルト王太子殿下。演技が上手なことで」

「それほどでもないさ、ユリウス。うまくいくかドキドキしたものだ」

「どういうことですか!王太子殿下!」


 さっきの態度と一変してユリウスに親しげに話しかけるラインハルトに混乱し説明を求めるキントレス辺境伯。


 その声にキントレス辺境伯に顔を向けソファーに座り直し話す。その表情は冷酷だ。


「昨日の晩、エルネシアとユリウスが俺のテントに来てな。一昨日起きたことを話してもらったんでな。最初は疑ったがエルネシアを助けられたこと、デッケン・デン・ハイマンの証言映像、キントレス卿とそこの執事のやり取り映像を見せられたら信じるしかない。よくもこの俺を騙そうとしてくれたな!」

「え、映像?」


 映像と聞き心当たりがあるのか顔が青くなるキントレス辺境伯とフランク。


 そこでユリウスがかけている眼鏡の縁を触り空中に透明で大きな画面が現れそこに映像が流れ出す。


『先ほど息子から通信晶で連絡があった。エルネシア王女殿下が襲われそれを行ったのがハイマン家の者でハルハンド神帝国と繋がっていて明日王太子殿下を襲うため5000のハルハンド兵が友好国であるギルレア公国のフリをして我が領を襲うそうだ』

『そうですか…信じるのですか?』

『バカバカしい!そんな与太話信じるものか!息子も信じてないようだ!それはそうだ平民からの情報等信じるに値しない!アクアジーネ様が降臨されたらしいがそれもおかしい!たかだか平民風情の為に最高神様が訪れるわけがない何かの間違いだ!!』

『降臨!?それは真ですか?』

『あぁ。息子がアクアジーネ様に叱責されたそうだ!平民にではなく高貴な私の息子に対してだ!こんな屈辱あってたまるものか!私は許さない!平民とドクトリウムのやつを貶めてやるわ!!』


 そこで映像が終わる。これはこの世界のアクアジーネに対する冒涜でもある。許されることではない。


 この映像を見られキントレス親子は力なく崩れ落ち震えるのだった。




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