第15話 ユリウスと言う男〜シド視点〜
ワシの名はシドじゃ。
普段は魔獄の森の西にある山脈で暮らしておる。
そんなある日、森の中央で強い魔力反応があった。
ワシは害あるものであれば排除せねばと思いその日の夜にマーノから貰っている転移石で向かうことにした。
最初は一人でいくつもりじゃったが曾孫のシルバー・レオガーとその幼馴染のブラック・ブラッティータイガーにせがまれ一緒に行くことになったのじゃ。
森の中央に転移した時、湖の近くに家が建っていた。作りはジャシアーノ皇国の作りに似ておるかのう。ワシらは森の中で家の様子をうかがっておったんじゃが中から二人の男が出てきた。
一人は全身黒尽くめの衣装を着て帽子をしており腰には刀を装備しておった。見るからに中年の男の様じゃが魔力的にこやつか。
ワシはスキル【聖獣眼】を使って鑑定してみたのじゃ。コヤツもワシに鑑定ワシにしたからのう。
名前:ユリウス・グレイベン
種族:人間
性別:男性
年齢:39歳
職業:調停者
スキル:【鑑定眼】【分解魔法】【再生魔法】【闘気法】【刀剣術】【抜刀術】【体術】【瞬歩】【神速】【気配察知】【言語翻訳】【隠蔽】【魔力回復】
称号:女神アクアジーネの使徒
加護:女神アクアジーネの加護
何とコヤツはアクアジーネ様の加護持ちじゃった。かなり強い者じゃと思う。格好からして異世界人じゃろうな。それにしても調停者か…それにこの魂は…
少し【聖獣覇気】を出してみるともう一人の男は跪くように苦しんでるがコヤツは少し震えるぐらいで涼しい顔をしておるわ。面白い。
少し試してやるとコヤツは欲が食欲しかないと言い切りよって実に面白い男じゃと思っておったらコヤツの料理を食べる羽目になるとは…食は食べれれば何でも良いのじゃがのう…
違った。ワシが間違えておったわ。コヤツの料理は今まで食べたことのないものじゃった。それぐらい美味かった。
そんなこんなでワシはユリウスの料理に惚れ込み、ここに住むことにしたのじゃ。ワシの曾孫達も名をもらい上機嫌じゃ。キッドとノワールは相当ユリウスの事を気に入っておる様子。
それにもう一人の男レオナルドという男、聖獣眼で見てみると風の女神フリージア様から加護を貰っておる。今はまだそこまで強くないが鍛えれば相当な強者となるじゃろ。
日本酒とやらの異世界の酒を飲みながらレオナルドと談笑しておると意気投合し、レオと言うようになった。レオはワシの名を知らんので自己紹介をした。職業が聖獣といった時驚いておったがのう。
レオは雷魔法を持っており、ワシも雷魔法を使えるので修行をつけることとなった。この男強くなることに貪欲じゃ!話していて良く分かったわい。まぁ悪い事ではないしのう。
一晩過ごし翌朝ユリウスから着物を貰った。
それは白色の生地に背中に金色の獅子が刺繍された物じゃ。着物はジャシアーノ皇国で作られておるので知っておったがこんな上等な物は見たこともない。
一緒に渡されたレオの装備もクラッシャー・ベアーを使った革鎧じゃった。これも相当丈夫で高位の冒険者じゃないと手に入れることができん代物じゃ。
レオに渡した時もかなり驚いておったわ。
こんな物は一晩で出来る物ではないんじゃがどうやって作ったんじゃ?謎が残るのう…
その日の午前はレオに雷魔法を修行してやり昼になったので休憩にする。レオの修行内容は雷魔法を身体に纏い身体の動きを早くする事を主にやっておった。
慣れない性か酷く疲れておったわ。魔力も身体も使うからのう、疲れて当たり前じゃ。
休憩の為にユリウス達と合流しようとしたら懐かしい奴がここに来よった。
其奴はクロエ、昔ワシ同様とある方に仕えておった過去を持つがその方が居なくなり当時仕えておった者はワシの妻以外散り散りになっておったからのう。
クロエは魔獄の森の東の方で暮らしておったようじゃが会うのは久方ぶりじゃ。
そんなクロエじゃがユリウスの魔力を感知してここまで来たようじゃ。ワシと同様、気になっていたようじゃ。
クロエも最初は警戒しておったがワシが素性を伝えるとユリウスに怒られてしまったがクロエも警戒を少しといて、クロエの素性もユリウスに伝えるとまた怒られてしもうた。
ワシはそんなに口が軽くないわい!
ワシの事をなんじゃと思っておる。聖獣じゃぞ!
そんなにぞんざいに扱うでないわい!
そして家で食事をしながら話そうという事になり調理をクロエが手伝うと申し出て昼食が短時間で出来上がったわい。
流石元料理番のクロエじゃ。
料理を食べたクロエが驚いた顔をしておったのでユリウスの事を誇ってみると皆に責められてしもうた。なんでじゃ?
食事を終えクロエがユリウスに調理の弟子にしてくれと申し出た。ユリウスは渋っておったが開拓にも役に立つと伝えると調理の手伝いならと了承してくたわい。
午後もレオの修行に付き合ってやる。
コヤツめ少しじゃがコツを掴みよったわい。もう少し時間がかかると思っておったがやりおるわい。もう少し厳し目にいくかのう。
レオの魔力が尽きるギリギリまで修行をしてやるとレオもクタクタになっておる。じゃがその方が魔力量も増えるから苦しいじゃろうが我慢してくれ。
日暮れになったんで今日の所はこれぐらいにして終わろうとした時懐かしい奴の魔力反応がユリウス達の近くであったので急いで行ってみる。
すると其奴はユリウスに殺気を向けて殺すとまで言いよった。ワシはユリウスの味方につくと伝えるとクロエもこちら側であった。
ユリウスの事情を聞こうとしておったがワシらが其奴にユリウスの料理が美味いと伝えると興味を持ったのか先ずは料理を食ってからとなった。
コヤツの名はマーノ・グレーデン。コヤツもワシとクロエの元同僚じゃ。今は世界各国を飛び回り魔法の研究をしている大賢者で【7英傑】の一人じゃ。
マーノはハルハンド新帝国に召喚された一人で召喚された直後、ハルハンド新帝国に洗脳されワシらとは敵対関係じゃったがあの方が救い出し真実を伝えると泣きながらハルハンド新帝国に仕えていた事を悔いておったわ。
まぁマーノもまだ15歳じゃったからのう。泣くのも当然じゃましてや敵だと思って殺した者が善良な市民じゃと知って後悔するのも分かる。
まぁこの話はここまでとしてユリウスの料理を食べて驚いたようじゃがそれは昔似たような味を食べたことがあるからじゃった。
しかもそれを作ったのがユリウスの師匠だとは世間は狭いのう。驚いてしまったわい。それは皆同じじゃった様じゃがのう。
食事を終えユリウスの依頼とやらの話を聞くと怒りに震えたわい!これから2年後また勇者召喚をするじゃと?それも大量の犠牲者を出してじゃと?
これで冷静になれと言うのが無理じゃ!
怒りが爆発しそうじゃ!あの国は懲りておらんようじゃのう!あの国はどこの国とも交易をしておらんかったから情報が回ってこんかったが…
まさかこのようなことを考えておったとは碌でもないのう。あの国がその様な事を考えていることを早くしれて僥倖じゃ!
召喚をなかったことには出来ぬらしいが邪魔することは出来ると聞きワシはユリウスに協力することに決めたんじゃ!
ユリウスが拗ねて2階に行きレオは流石に疲れたのか広間で寝ておる。ワシらは囲炉裏の前でそれぞれ酒を持ちながら昔話をしながら飲んでおるとマーノがワインを飲みながら真面目な顔で話し始める。
「で?あなた達が彼を信用する本当の理由は?」
「何のことじゃ?ワシはただ単にユリウスの料理が美味かったからじゃよ」
「はい!私もユリウスさんの料理を覚えたくて弟子入しました!」
「とぼけないで頂戴!」
ガンッとグラスが割れない強さで床に置き前かがみになるマーノ。
「こっちはやっとの思いで【クリスティーナ】姉さんを見つけたの!どうせあなた達もそれ絡みでしょ?」
「何っ!?それは本当か?」
「確証は無いけど…絶対そうよ!」
「フム…そうか…ならば隠しても仕方ないのう!ユリウスの魂があのお方と似ておる…」
「おそらくあのお方だと私も思います!魔法が似たような魔法だったので…」
「なるほどね~あの子の予言が的中した訳ね」
「姫のは予言ではない!未来視じゃ!じゃが本当に実現するとはのう」
「えぇ。本当にお二人が生まれ変わるなんてこんなに嬉しいことはありません!」
「本当よね〜!待った甲斐があったわ!」
『それはどういう意味でしょうか?』
「「「何じゃ?(何?)」」」
突然広間に声が響き渡る。
周りを見渡すと誰もおらなんだ。
するとワインボトルの上にコバエが止まりそこから声が聞こえてくるようじゃ。
『驚かせてすみません!愚主がやっと寝たのとあなた方様が興味深い話をしていたものでつい話に入ってしまいました』
「お主は何者じゃ?」
『私は愚主…いえ…主ユリウスに仕えるAIです!分かりやすく言うと人工的に作り出された好性能なゴーレムと思っていただけたらと!名はクリシュナと言います。以後お見知り置きを』
なんじゃ?訳が分からん!昨日今日と驚きが多すぎるわい!
そん事を思考している時マーノが質問をしたんじゃ。
「やっぱり!あなた達は高度な文明の人達で彼は地球人ではないわ!そうでしょう?」
『上から許可を得ておりますので話せる範囲で話しますし、主があなた方様に話していない情報も話します!その代わり2つの事をお願いします!先ず主を裏切らないでいただき協力を要請します!2つ目はあなた方様達の知っている情報を全てお話していただきたいのです!』
「ふ~ん。そっちは話せないことがあるのにこっちは全てねぇ~!強欲ね!協力は良いけどこっちが裏切らない保証もないわよ?」
『こちらにも制約があるのです。王族にも秘伝と言うものがあるのでは?こちらにもそういう機密事項は部外者に…それも文明の低い星の者に話せるわけがありません!理不尽を言っている事は重々承知です!その代わりマーノ様を地球に返すことも出来ますよ?』
「そう…魅力的ね…でも今更戻っても私の事なんて忘れてるわよ…」
マーノの顔は哀愁が漂っておった。
帰りたいが帰っても…と思っておるんじゃろなぁ。
ここはワシが一肌脱ごうかのう。
「じゃあ、ワシが喋るのでマーノの帰還をお願いしたいんじゃが」
「ちょっとシド!何言ってるの?」
「良いんじゃ!これでマーノが帰れるなら良い!それにユリウスの話では24年経っておるらしいが遅くはないはずじゃ!マーノの家族は生きておるのか?」
「シド…」
『調べてもらった結果マーノ様のご家族は今日本の東京で暮らしています。マーノ様の事は今でも生きていると思って生活をしていますよ』
「そうか…それだけ分かれば良い!それでは全て話そう!マーノも納得してくれ!」
「…分かったわよ…」
ワシは全てをクリシュナとやらに話す。
クリシュナとやらも話せるだけ話してくれた。
『なるほど…これは我々銀河連邦も他人事ではなくなりますね…』
「そんなにか?宇宙とは関係ないと思うんじゃがのう」
『愚主の魂がどうのは正直関係無いのですが今の話に出てきた古代の代物が銀河連邦の中枢を揺らがせるものになります。勿論その姫もかなり重要人物です。上に判断してもらわなければ』
「そんなにか…ワシ等にとっては神殺しも重要何じゃが…」
『そこは大丈夫でしょう!後は愚主が仲間を作れるかどうかですね』
「それはユリウス次第じゃのう!まぁワシらも協力するのでのう!」
『ありがとう御座います。近々連絡用の物を愚主から渡せますのでサポートはお任せ下さい!後これまでの話は内密にお願いします!愚主には来るべき時に知るべきですので!』
「分かったのじゃ!」
『最後に今を生きるユリウスとして見てあげて下さい!皆様の気持ちは分かりますが今を生きるユリウスを私は大事したいのです!』
「分かったのじゃ!」
「分かりました!」
「分かったわよ!」
こうしてコバエに扮したクリシュナ殿は何処かへ消えていった。
「これは大事になって来たのう…まさか神殺しとはのう…」
「そうですね…話が大きすぎて付いていけませんよ…」
「そうね…思ったよりスケールがデカすぎて私ではどうすることもできないわね…」
「そこでじゃ!今できる事…ユリウスをワシは支えていこうと思うんじゃが…どうじゃ?」
「そうですね!私はユリウスさんを支えたいと思います!」
「そうね!私は私に出来る事をするわ!」
こうしてワシらの長い1日は終わるのじゃった。




