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自称日本人の異世界放浪記  作者: sayi
第一章 出会い編
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第14話 大賢者


 威圧と共にすごい殺気を放ってくるマーノ。

 ユリウスはやり合えば今の自分では敵わないと思い素直に話すことにしようとしたがクロエが間に入る。


「待ってください!あなたはこの場の皆を敵に回すつもりですか?」

「えっ?」


 クロエに促され周りを見渡すとレオにシド、キッドとノワールがいた。

 特にキッドとノワールは威嚇をしていていつでも襲う気満々だ。


「久しぶりじゃのう、マーノ!じゃがユリウスを殺す気ならワシも相手になるぞ!」

「勿論私もユリウスさんを守りますよ!」

「2人とも?そんなにコイツが信用出来るわけなの?何で?」

「「料理が美味いからじゃ(です)」」

「料理?クロエは分かるけど…料理に無沈着のシドが料理ですって?」


 信じられない顔をするマーノ。自分の知っているシドは料理は食えれば何でも良い様な人物だった。だがマーノを敵に回してもユリウスを守ると言うシドは本気だ。


 こうまで人を変えるなんて思いもよらず逆に気になった。


「分かったわ!どれほどの物か試してあげるわ!」

「いや…俺は別に話しても良いんだがな…」

「それはそれ!それとは別にあんたの料理に興味が湧いたわ!」

「ハァ…分かった!家に案内するよ」


 ユリウスは、諦めて皆を引き連れ家に向かう。

 家の中に入るとマーノは驚いた。昨日今日で出来る訳じゃない立派な家の作りに何者かと考えるマーノ。


 キッチンには()()()()()()()()()()が置いてあり、外観は古い日本家屋なのにキッチンは近代の文明が取り入られいて更に謎が深まるがアクアジーネ様の特典ではないと直ぐ様考える。


 明らかにこの男が何か隠し事をしていると考えるがそこで思考するのを止める。どうせ考えても答えは出ないとマーノはは思った。


 居間では、レオとシドがコーヒーを飲みながら談笑をし、キッドとノワールはキッチンの隅で待機している。


 マーノはレオが淹れてくれたコーヒーを立ったまま飲みながらキッド達と同じ様にキッチンの隅でユリウス達の行動を見ていた。


 ユリウスの行動はスムーズで洗練された動きで調理をしておりマーノは料理はしないが一流のコックの動きに似ており期待ができると思っていた。


 ユリウスはジャイアント・ファングボアのロースをミンサーでミンチにし卵とケチャップ、みじん切りにした玉ねぎをきつね色までに炒めた物、ニンニクのみじん切りなどを混ぜる。


 混ぜたものを楕円形にして左右手で交互に投げながら空気を抜き形を整えていくそれをフライパンで焼いていく。


 今日はボア肉だけのハンバーグにする。本当は牛肉も使いたい所だが今日は我慢する。


 付け合せのサラダを作り味噌汁を作ろうとするユリウス。ご飯は炊飯ジャーで炊いている。味噌汁を作りながらフライパンで表裏に焼き色をつけてハンバーグをオーブンに入れて焼く。


 時間をかけゆっくりオーブンで焼きそれを大量に作り上げていく。ハンバーグの中にチーズを入れたものも同時に焼きオーブンに入れていく。


 出来上がったハンバーグをサラダが盛り付けされている皿に置き特製のジャポネソースをかけていく。


 出来上がった料理を居間へとクロエと共に持っていき夕飯をする準備に取り掛かる2人。

 マーノはユリウスが調理を終えて直ぐに居間へと移動し囲炉裏の前の席に座っている。


 夕飯の支度を終え皆席につき手を合わせる。

 

「いただきます」

「「「「「「いただきます(イタダキマス)」」」」」」


 全員で食前の言葉を言いそれぞれ食事をし始める。


「これおいしいよ!にくじるがあふれてくるよ」

「コレナニ?ナカニ、トロトロナノガアル」

「チーズやね!」

「チーズ!オイシイ!」

「ぼくもたべる!どれだろう…これだ!」


 とても楽しそうに食べる2匹。

 マーノも2匹の反応を見てワクワクしながら箸で食べる。

 食べた瞬間マーノは思った以上に美味しくて驚いていた。


「驚いたわ!こんなに美味しいハンバーグなんて700年以上振りだわ!これはプロの味ね!これが牛だったら最高ね!これはこれで良いんだけど…」

「なんじゃ?マーノの口には合わんかったか?」

「これと同等なのは10代の時に高級レストランで味わった事があるソースよ。そこの味に似てたから驚いただけよ!美味しいに決まってるじゃない!」

「それはどの国の店じゃ?今度行ってみたいのう」

()()()()()()ないわよ!」

「マーノさんはもしかして…」

「そうよ!私も()()()()()でこっちの世界に来たのよ!でも本当に驚いたわ!あんたの料理、福岡で味わった【プレミアム】ってお店で料理長が作ったハンバーグソースと味が似てるんだもの!でも…そこの料理長の方が美味しいわね!」


 それを聞いた瞬間ユリウスは立ち上がりマーノに近づき勢いよく聞く。


「貴方が召喚された年は?そこの料理長の名は?」

「な、何よ?た、確か2001年だったわよ!料理長の名は確か…つきなみ?つきかみ?だったかしら…」

「【月影正宗】では?」

「そうよ!それ!月影さん!」

「やっぱり…敵わないはずだよ…」


 そう言うと一人で納得して自分の席に戻り座る。

 周りは納得出来ずレオが代表してユリウスに聞く。


「一人で納得してないで教えてくれ」

「いや…大した事じゃないんやけど…その人俺の()()なんよ!」

「「「「えっ?」」」」


 キッドとノワールは我関せずで食事をしていたがそれ以外は驚き食事どころではなかった。

 こんな偶然があるとは誰も思いもしなかった。


「今は独立してその店で働いておらんけど…その年ならまだ働いていたはずばい!」

「こんな偶然があるとは…」

「納得出来るのう…まさかマーノが食べた料理をユリウスの師匠が作っていたとはのう…」

「驚きですが、納得出来ますね!」

「同感ね!どうりで似てるはずよ!」


 そんな驚きな食事をし終え全員でビールや日本酒、ワイン等を飲み談笑しているとマーノが雰囲気を変え本題を話し出す。


「で?話してくれるのよね?」

「あぁ。話せる範囲だけ話すがそれでいいか?」

「本当は全部話して欲しいけど…良いわよ!話せる範囲で!」

「先ずは俺がアクアジーネに召喚されたのは知ってると思うが…それは依頼をされたからだ!」

「依頼?」


 マーノが皆を代表してユリウスに聞く。

 ユリウスが頷き続きを話す。


「そう!依頼!その依頼内容はこの先2年後にハルハンド新帝国で100人規模で勇者召喚が行われる!その召喚で犠牲になる人たちを減らす事!ハルハンド新帝国の陰謀を邪魔する事!それ以外は好きに過ごして良いらしい!」


 ユリウスの話を聞き特にシド、クロエ、マーノが怒りに震えていた。


「勇者召喚?それって禁止されてるじゃ?それも2年後?訳が分からん!」

「あの国は!!まだ懲りておらんようじゃのう!」

「無垢の民を犠牲にするとは…本当に碌な事をしないですね!」

「ふ~ん!またするのね…召喚を!また悲劇をあの国は繰り返すのね!で?その召喚自体をなくす事はできないの?」


 マーノが質問するとビールを飲んで居たユリウスがタバコに火をつけ吸い出し一息つく。


「ふぅ~。それは無理だ!実際に召喚は行われる!これは事実だ!俺は無理くり2年前である今に送られているから出来るのは犠牲者を減らす事。召喚される者を減らすことしか出来ない!すまない…」


 それを聞いた者たちの反応はそれぞれだ。

 レオは現状を理解できずに思案し、シドは別にユリウスが謝ることではないしこれからの事を考えるとユリウスにだけ頼む事は出来ない。


 出来るならユリウスと共にその依頼を行いたいとシドとクロエは考えていた。


「別にあんたが謝る必要はないわよ!それよりあんたはあの国をどうするつもり?」

「今この星の情報を収集している所だ!動くのはその後だな!」

「妥当ね!情報収集は大事だわ!動くにしても今のあんたじゃ一人で相手に出来る程甘くはない国よ?」

「それは当たり前だ!取り敢えず拠点作りの為の森開拓と農地の確保、魔法を学び強くなる事それをするしかない!」

「分かったわ!魔法に関しては私に任せなさい!教えてあげるわ!」


 ユリウスは灰皿にタバコを消し、マーノに頭を下げる。


「頼む」

「任せなさい!あんたを強くしてみせるわ!」


 ユリウスとマーノがやり取りをしている時、思案し終え答えが纏まったレオがユリウスに話しかける。


「現状をあまり理解してないが、俺は俺に出来る事をする!先ずは強くなる!それからユリウスに付いて行く!」

「レオナルドには関係なかろ?あまりにも危険すぎるばい!」

「それでもだ!危険だからこそ強くなる必要がある!俺には関係なくても何も知らない人が犠牲になるのは嫌だ!」

「そうか。なら勝手にしい!後のことはどうなってもオレは知らん!」


 あぁとレオが頷くとシドとクロエが続く。


「じゃあ〜、ワシも勝手にユリウスについて行くかのう!」

「私も勝手にユリウスさんについて行きます!勝手にするのですから構いませんよね?」

「シドさんにクロエさんまで…も〜う!勝手しい!クロエさんとマーノさんは2階の手前にある部屋を使って!俺は自分部屋に戻る!」


 と言うとユリウスは2階へと上がって行くのであった。

 ユリウスは自分の部屋に入り船へと続く扉を開け作業室に入っていく。

 作業室には空間拡張が施されておりますかなりの広さがあり様々な設備が置いてある。


 それこそ家を何軒建てても余裕があるほどの広さである。


「も〜う!なんなんよあの人たちは!」

『愚主。モテモテでよかったですね~』

「モテモテちゃうわ!一人でのんびりやるつもりやったのに…」

『御三方とも今の愚主より強いですし心強いのでは?』

「強いのは分かるばってん!見ず知らずの人を巻き込むのもどうかしとるやろ!ハァ…」


 溜め息をつきながら一つの設備をを使い作業に移る。

 魔獄の森で採取した材木を設備に投入していく。


『それに現地の協力者がいれば一人でやるよりか捗るかと!』

「そりゃそうやろうけど…」

『信用出来ない!ですか…いつまでも臆病者なのですね!少しはあの方達の事は信用しても良いのではないですか?』

「ウッ!で、でもさぁ〜…」

『ウジウジ考えてないで少しは前に進む努力をしたらどうですか?このままだと孤独死しますよ』


 このまま人を信用しないのは自分にとっていけない事ぐらい重々承知しているが裏切られることを恐れている為、あと一歩踏み出す勇気が出ないのだ。


 そんな事を思案しながら作業をし続け1時間で終え船から自分の部屋へと戻るとベットの上にキッドとノワールが待っていた。


「あ〜ユリウスにいちゃんがもどってきた!きょうはいっしょにねよ!」

「ウン!ノワールトネル」

「分かった、分かった!一緒に寝ようかね!」

「ねるまでおはなししよう!」

「ウン!オハナシ、キカセテ!」


 ベットの上に上がり横になりながら右にキッド、左にノワールに挟まれ話をしながら二匹が寝るのを見守り二匹に癒やされながらユリウスも就寝するのだった。




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