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自称日本人の異世界放浪記  作者: sayi
第一章 出会い編
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第10話 金獅子


「何ニヤニヤ笑っとうと?気持ち悪か!」

「ハハッ、ついな。それがユリウスの素なんだと思ってな」

「あっ!わ、悪かったねぇ〜こっちが楽なもんやけんつい出てしまったばい…」


 つい感情的になり我を忘れ話し出してしまったが今更元に戻すのも面倒くさい。それにどれぐらい信用されているのかわからないがレオナルドが自分の過去を話してくれた。


 鑑定眼で裏切られた過去は分かっていたが会ったばかりの人間にここまで心を打ち明けて居るのだ多少は自分の素を見せても構わないだろう。


 そうでないと相手に失礼だしユリウスは人を裏切るような人間にはなりたくないと言う信念で生きている。


 だがユリウスが他人を信用することは別だ。多少は砕けていても心の底から他人を信じていない。


 その中で百合花様を含め数人には多少信用しているが素直になれない性格の性でぶっきらぼうに扱うようになってしまう。


「いや。謝らくて良い!そっちの喋り方のほうが親しみやすくて嬉しいんだ!」

「そっか、良かったばい!さぁ!飲みんしゃい!」


 ユリウスはビールの瓶をレオナルドに向けグラスにそそぎいれる。


「ありがとう。親しい人には俺のことをレオと呼んでいるからレオと呼んでくれ!」

「嫌!断る!そこまで親しくなった覚えはなか」

「ハハハ、そこまでは流石に無理か…」


 レオナルド新たらためレオは苦笑いを浮かべ考えていた事をユリウスに告げる。


「ユリウス。改めてなんだがここで俺の事を鍛えてくれないか?昼間ユリウスが使っていた技も覚えてみたい!」

「闘気の事か…フム…覚えられるか分からんしそんなに簡単な事やなかよ?本人の才能と努力次第やしね」

「それでも構わない!強くなれるのなら努力は惜しまない!」


 街には転移装置を設置すればいつでも帰れるのだし闘気は生半可な覚悟で会得できるものではない。そのうち飽きるだろうと考えるユリウス。


「分かった。無理そうだったら街に送るから」

「そうならないようにするし必ず会得してみせる!」

「すっごい意気込みやね…いつまで持つか…」


 最後の言葉は聞こえないようにつぶやくユリウス。

 その時、ユリウスの魔力感知と気配察知が突如現れたものに反応する。


『愚主。森側に3つの魔力反応です。内一つは魔力を少量に抑えていますが身体内の魔力量は相当なものと予想されます。偵察機の情報では魔物だと思われます』

(了解)

「ユリウス!ここの付近に今いきなり魔力を感じたんだが、気づいたか?」

「あぁ。3つかな?とりあえずオレは行ってくるばい」

「俺もついて行く!役に立つかわからないがな…」


 ユリウスは月光を装備し臨戦態勢に入りながら外に飛び出す。レオも後を追うように外に出る。


 相手は気配を隠す気はないらしく森の中からこちらをうかがっているようだ。昼間のクラッシャー・ベアーと違い知性がある様にユリウスは思い声を掛ける。


「隠れてないで出てくれば良いんじゃないか?」


 声をかけ森から全長7m程度はあるだろか月明かりでも分かる金色の獅子が出てきてそれの後を追うように全長3mぐらいの銀色の獅子の様な魔物と同じぐらいか少し小さめの全身黒色の虎のような魔物を姿を現す。


「ほ〜う!儂らに気づくとは少しはやるようじゃのう〜」

「あんたは隠せるみたいだが後ろの2体はダダ漏れだったぞ」

「そうじゃのう。後で修行のやり直しじゃな」


 後ろの2体は修行と聞きションボリする。

 レオは目の前の金色の獅子が喋ったのが驚いた。魔物が喋るとは思わなかったのだ。

 すかさず鑑定眼を使うユリウス。


 名前:シド

 種族:金獅子

 年齢:1076歳

 職業:聖獣

 スキル:不明

 詳細:不明


 スキルと詳細が不明とは初めての事、このシドと言う金獅子はユリウスより強いという証明となる。ユリウスに緊張が走り警戒を強めた。


「ウム?お主今ワシに鑑定を使ったな?初対面の相手にそれは失礼なのではないかの」


 するとユリウス、レオに威圧のようなものが放たられる。レオは耐えきれず地面に膝をつく。

 ユリウスは、平然としてるように見えるが若干震えが襲うが冷静に対応する。


「覇気か…それの相当な物だな!」


 覇気は何もシドだけが使えるものではない。ユリウスの上司達も使うので慣れているしそれに比べればシドのは可愛いもの。


 だが今のユリウスにはシドの覇気は相当なもので耐えるので精一杯、今の義体(からだ)ではそれが限界だった。


「鑑定したことは詫びる!だが!よく言うぜ!あんたも俺の事を鑑定したくせに何が失礼だよ!」

「ほ〜う。見破るか、流石にアクアジーネ様から加護を持っておるものよ!わしも失礼したの〜」

「隠蔽を看破するとはなぁ」

「お主の鑑定眼には劣るがそれなりのスキルがあるのじゃよ。それよりお主…その衣装といい家もじゃがこれらはこの世界の物ではないな…異世界人か?家の作りからして日ノ本か?」

「へぇ〜、日ノ本ねぇ〜詳しいな!そうだ異世界から来た。あんたは?いきなり現れたがどこからきたんだ」

「魔獄の西に山があってのう。そこから転移石できたんじゃ!日暮れに強い魔力を感じてのう、気になって様子を見に来たわけじゃ」


 レオはユリウスと金色の獅子のやりとりを聞いて驚きを隠せない。

 

 ユリウスは鑑定をもっているとか女神アクアジーネの加護を授かっていたのかと思っていたがユリウスが異世界から来たと聞いてそれが一番の驚きだ。


 だがユリウスが異世界から来たと聞いて納得する部分もある。異世界人は強い者が多いと伝承があるしあのアイテムボックスや常識や価値観が違う所があり腑に落ちた。


「お主はこの世界で何もするつもりじゃ!」


 シドがさらに威圧を強め質問する。

 レオはそれを受けさらに冷や汗を描き緊張が走る。ユリウスはそれでも平然とした態度でシドに答えを告げる。


「何も。強いて言うならのんびり畑を耕したり冒険者もしてみたいねぇ〜この星の食材で美味しい料理を作ったりして楽しみたいね」

「ハァ?お主には使命とかあるんじゃないのか?」

「使命?あぁ~依頼のことか…確かにアクアジーネから依頼は受けた」

「ならそれを優先するべきじゃろう」


 ハァ〜とユリウスは溜め息をつき淡々と話し始める。


「あんなぁ〜。そんな根詰めてやると楽しくないやろ?実際アクアジーネからは楽しんでくれって言われとる!せっかくの異世界や楽しまんでどげんする!俺は色んな魔法を知りたい!それに…」

「…」

「依頼は面倒くさいが完璧にこなす!その為には今のままでは情報が少なすぎるしこの星のことを知らなすぎる!まず知ることから始めておる所たい!拠点が必要やけんこの森を中心に拠点作りばする!文句があれば聞くばい?」


 感情が高ぶってつい素の状態で話すユリウス。

 それをシドは黙って聞いていたがユリウスは言い終わると覇気の威圧をとき始めた。


「…楽しくないか…それに情報収集に拠点か…大事じゃな。実に理にかなっておる。お主はそれだけの力を持っているんじゃこの森で王になってみる気はないか?」

「興味ないし面倒くさい!誰が好き好んで王とかやるんよ。少なくとも俺はなりたくないね!そんな器じゃなか!贅沢言うなら働きたくなかね、俺はのんびり暮らしたいの!」

「興味がないか…それに働きたくなくのんびりと暮らしたいか、欲がない人間じゃな!」

「欲ならあるぞ美味い飯作って食う。タバコ吸ったり酒のんで楽しむとかね!後はあんたより強くなることやね!」


 ユリウスの言葉にキョトンとなるが少し警戒を強め再び覇気の威圧を放つシド。

 

「それ以上強くなってどうするつもりじゃ?」

「どうもせんよ〜。ただ面倒くさい事に強い者には挑みたくなる性分が有るらしくてね〜上司達の教えが身体に染み付いとるみたい!恐ろしいことやわ~」


 上司達を思い出し身震いするユリウス。

 それを見たシドは警戒を弱め威圧を完全に解く。


「クハハハ!実に面白いな。お主も相当苦労してそうじゃのう〜。それに欲が只の食欲とはのう〜。それは生きるのに必要な事じゃ!欲とは言わん」

「何?バカにしとうと?良し!分かった!!その喧嘩買うばい!」


 と言うと家に向かって走り出すユリウス。

 残されたレオ、シド、そして2体の魔物はなんと言っていいのかわからない状態になっている。


「いや。ワシは当たり前の事しか言っておらんし喧嘩を売った覚えはないんじゃがのう…」

「多分ああなったら止まらないタイプだと思うぞ。実際食ったから分かるがこの世界で食べる物とは比べれるものでは無いくらいだ」

「そんなにか?そんな大袈裟な!食べ物は食せれば良いんじゃがのう…ムッ?この匂いは!?」


 レオとシドが話していると呑水を持ったユリウスがやって来る。

 呑水から香る匂いでシドと2体の魔物は腹が減る。それぐらい食欲をそそられる匂いだ。


 ユリウスはシドの元に歩み寄り呑水をシドに突き出す。


「ユリウス!それじゃ小さすぎて食えないだろ?」

「あっ!ヤベェ、夢中になりすぎて忘れとった!鍋ごと持ってくれば良かったばい」

「いや。問題なしじゃ」


 と言うとシドは光だし、ユリウスとレオは眩しさに片目を閉じる。

 光が収まるとそこには白色短髪で白色の衣装を着た身長180 cmを超える初老の男性が立っていた。


「これで問題なしじゃろ?」


 人型になったシドはユリウスが突き出した呑水を受け取り匂いをかぎスープを一口飲む。

 

 その瞬間、シドに電流が走る。美味い、美味すぎる長く生きているがこんなに美味すぎるスープは飲んだことはない。


「な、なんじゃ…こ、これは何なんじゃ!こんな美味いスープは飲んだことがないわ!」

「だろうね。本当は鶏を使って出汁から作りたかったが短時間で作ったからそんな物やね!もっと美味い物を作れるし、俺の師匠はもっと美味く作れるはずばい!はい、フォークね」


 ユリウスは白玉からフォークを取り出しシドに手渡す。フォークを受け取り我慢できず具材を食べだす。


「クハハハ!ワシの負けじゃ!すまんかった。こんなに美味いとは思わなんだ!スープの出汁が染みていて野菜もとても美味い!それにしてもこれより美味いものが出来るとはぜひ食べてみたいものじゃ!」


 自分の認識が間違っていたと認め謝罪をするシド。それを見守っていた2体の魔物が我慢できずシドの持つ呑水に顔を近づける。


「じいさまだけずるい!」

「ズルイ」

「これこれ。そう慌てるでないわ!のうユリウスとやら、未だあるかのう?」

「未だあるが…家に来るね?と言ってもその2体が入れるわけがなかね…持ってくるばい!」

「いや。大丈夫じゃ!2人ともこれを食いたければ小さくなるのじゃ」

「わかった!」

「ウン!」


 すると2体の魔物はどんどん小さくなっていき子獅子と小虎サイズになった。良くできましたと2体を撫でるシド。


「これでお邪魔してよいじゃろうか?」

「あ、あぁ。良かばい」


 ユリウスは、いきなり小さくなったの驚きながらもレオとシド達と共に家に戻るのだった。

 



 

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