表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話

   

 ことわざの「二度あることは三度ある」みたいに、さらに次の日も、帰りの電車の中で同じ夢を見た。

 いや「さらに次の日も」どころの話ではない。座れなかった場合や座っても居眠りしなかった場合を例外として、電車で眠ると必ず「目が覚めたら無人駅で、殺人鬼と遭遇」という夢を見るようになってしまった。

 もちろん細部は少し異なるものの、林の中で殺人鬼を見かけて、その男に刺されそうになるところまでは同じ。雨が降り出した途端に夢から覚めるのも共通だった。


 どうせ夢ならば疲れることもないのだから、たまには山に登ってみようか。そう考えて一度、雑木林ではなく反対側の山へ向かってみたのだが……。

 山道を上り始めて五分もしないうちに、いつもの男と遭遇。その足元には、やはり女性の死体らしきものが転がっていた。

 どうやら殺人鬼は「林の中にいる」というわけではなく、私の行き先に現れるよう設定されているようだ。

 この時も男はナイフを持ってこちらへ駆け寄るが、私のところに辿り着く直前、雨が降ってきて夢は終わりとなるのだった。


 なお現実の電車内で目覚める(たび)に、いつも私はトイレに行きたい状態だった。とはいえ、小さな子供でもあるまいし「怖い夢を見たからオシッコしたくなる」という話ではないだろう。

 むしろ逆に「トイレに行きたい」という気持ちの方が夢の内容に影響しているのではないか、と私は想像している。

 例えば小さな子供がオネショする際、水に(ちな)んだ夢を見る……みたいな話があったはず。ならば私のこの夢の場合、夢の中で終わりの合図として降り出す雨が、現実の尿意を象徴しているのではないだろうか。

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ