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第5話

   

「おいおい、またか……」

 翌日の帰りも電車の中で眠ってしまい、目が覚めたら同じ無人駅だった。

 いや正確には「目が覚めたら」ではなく、そういう夢の中なのだろう。

 見知らぬ無人駅に連れて行かれて、殺人鬼と遭遇する――。内容を簡単にまとめれば怖い夢であり、いわゆる悪夢というやつだ。

 しかし夢だと承知している以上、恐怖心は全く感じなかった。むしろこの悪夢を楽しんでやろうという余裕の気持ちで、前夜と同じ雑木林に入っていく。


「なまじ昨日わざわざネットで調べたりしたせいで、類似の都市伝説の話が頭に残って……。それで二日連続、同じ夢になったのだろうな」

 分析を口にしながら、林の小道を歩く。起きた(あと)でなく、まだ夢の中にいるにもかかわらず「何故このような夢を」と分析するのは、なかなか珍しい体験だ。

 そう考えると、思わず笑みが浮かんでくる。ちょうどそのタイミングで、前方に人影が現れた。

 昨日と同様のポーズだ。注意深く目を()らせば、特にライトを向けたりせずとも、足元に転がっている被害者の姿を視認できた。

「おーい! 殺人鬼くん!」

 煽るつもりはなかったはずなのに、ちょっとした悪戯心(いたずらごころ)から、そんな言葉で呼びかけてしまう。

 男が動揺したらしいのは、薄暗い中でも見てとれた。

 続いて、突然の雷鳴と稲光(いなびかり)

「貴様……!」

 憎悪の言葉を吐き出しながら、悪鬼のような表情を浮かべて、男は私に向かって走ってくる。当然のように、血塗(ちまみ)れのナイフを手にした状態だ。

 どうせ夢なのだから、刺されても痛くないだろう。そう思って()けずに立っていたのだが……。

 男が私のところまで辿り着く前にザーッと雨が降り出し、そこで夢は終了するのだった。

   

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