第3話 異世界ですか。私は再び科学の道を歩めるのだろうか
言いたいことはたくさんある。まずその変身はどうやったのか。科学で証明したいところだ。そしてこっちの世界では見た目は個人固有のものではないのか。そして何故それほど美しいのか。おっとそれはただの私の趣味ではないか。
思考を巡らせていると、そこに立った怪物だったもの、つまり美少女が話し始めた。
「地球という世界では…いや、地球に限らないのだがAの保有量に比例して飛ばされた先のAを増幅させられる。簡単に言うと異世界での技能を決めてもらう。これは地球の物理法則を無視したものでも可能だ。だが向き不向きが存在し、できることに制限が生じる場合がある。『全知全能の力をくれ』だとかはできない。例外として全知全能に近しい能力の者がその願いをした場合にのみ可能となる。君の望ましい能力とは何かね」
私の望ましい能力。当然科学ができる何かだ。これは欲張りかもしれない。私に見合ってないかもしれない。だがこれしかない！
「すべての化学物質を生成し、自由に原子を結合させる能力が欲しいです！」
「実に効率的に行使できるAだ。地球のAギリギリではあるが要望には応えることが出来る」
ほ、本当か！？これで研究が捗ると言うものだ！暗黒物質の生成も可能と言うことか！？これなら観測の仕方もわかるかもしれない！！異世界に行くのが楽しみだ！！
「それでは転移させる。目を瞑れ」
転移。今の姿のままで異世界に行くと言うことか。どこに転移するのだろう。どういう原理で転移が可能となるのだろう。私をデータ化してそれを電波のように飛ばして向こうで出現させるのだろうか。
私は思考を巡らせながら静かに目を閉じた。
「ヒュゥ〜」
「風？さっきまでの空間にそんなものあったか？」
目を開けた。するとそこに広がっていたのは、澄み渡る空気の中に広がる綺麗な緑色をした野原である。
「ここが異世界か！！世界が全く異なっていて空が赤かったり太陽が２つあったりするのかと思ったが案外地球そっくりなのだな」
ついに異世界に来ましたね！
ここから冒険が始まります！
