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32・脱出2




そのころ王都では。



「レオナルド様、私もなにかさせてください。

 カレンが心配なのです」


「君はたしか同じ学園の生徒だったか?

 令嬢にできることはない。家でおとなしくしていろ」


「カレンとはお友達なのです」


涙で瞳を潤ませたローズマリーが言い募る。


「君とカレンが一緒にいるところをみたことがないが」


「放課後にお話をしていたのです」


(美少女ヒロインが泣いているんだから、攻略対象なら優しくしなさいよ!)


少し考え込んだレオナルドが話し出す。


「それでは、カレンと最後に会ったのはいつだ?」


「カレンが行方不明になった日の放課後です」


「なに?どこでだ?」


「放課後、カレンといつものようにお話しようと探していたら、カレンがきょろきょろしながら中庭に走って行ってました。

 忙しいのかと思い、声はかけませんでしたが。あの時声をかけていれば・・・・・」


また涙ぐむ。


「それでは最後にカレンに会ったのは君ということだな。

 取り調べに協力してくれ。理事長室でアレクが担当している。

 そこの騎士、彼女を取調室に案内してくれ」


(レオナルド様と仲良くなりたかったけど、アレクシス様と仲良くなるチャンスかしら。)


「そういえば、ダニエル様とキリアン様の姿が見えませんが。家に帰られたのですか?」


(カレンなんかほっておけばいいのよね。)


「ダニエルは捜索隊を率いている。彼らが見つけてくれれば良いのだが」


(攻略対象が全員、カレンを探しているなんておかしいわ!悪豚のくせに。)


そう思ったが、そんなことをいうわけにもいかず、ローズマリーはおとなしく騎士の後に続いた。





「キリアン、どう思う?」


「モルガン嬢ですか。あれは何か知っていそうだな。本気で心配している感じがしない。

 前から、俺たちにベタベタして気持ち悪かったし」


「中庭に走っていくところを見たといっていたが、何故中庭だと思ったんだ?

 中庭を抜けたら、図書館などもあるというのに。

 彼女に監視をつけろ」


「かしこまりました」




「カレンの髪が焼けていた。火傷を負っている可能性が高い。早く見つけて手当しなければ」









「アレクシス様、カレンが心配で、胸が張り裂けそうですわ」


理事長室ではローズマリーが瞳を潤ませ、アレクシスに訴えていた。

両手は彼の片腕に絡ませている。


「落ち着いてください。ローズマリー・モルガン伯爵令嬢」


「まあ、そんな堅苦しい呼び名でなく、ローズマリーとお呼びください」


「ああ、わかったローズマリー嬢。それと手を放してくれないか」


「少しだけこのままでいさせてください。とても怖いのです」


怖いと言っているが、顔色はとてもよく、元気そうである。



(ヒロインが怖いって甘えているんだから、肩くらい抱き寄せて慰めるのが普通でしょう?)



攻略対象とやっと向き合って話ができるようになったのに、誰もローズマリーに優しくしてくれない。特別扱いもしてくれない。ローズマリーはとても不満だった。


「カレンは人目を気にして、何度も後ろを振り返っていましたの。誰か、人に知られたくない人と会っていたのかしら」


「カレンが会いそうな人物に心当たりがあるのですか?」


「いえ、でもカレンは男性と仲良くするのが得意でしたから」


「カレンに男性の友人がたくさんいたと言うことですか?」


「カレンの話の中に、男性の名前がたくさん出てきていたので。多すぎて覚えていませんが」


「おかしいですね、カレン嬢は学園ではいつも、レオナルドとダニエルと一緒にいたはずですが」


「カレンがどこで男性と知り合うのかは知りませんわ。私は話を聞いていただけですし」


「カレン嬢は複数の男性の友人がいたということで間違いありませんか?」


「確かではありませんが、カレンの話を聞いているとそんな感じでした。

 それよりアレクシス様は、どこでカレンと仲良くなったのですか?」


アレクシスが少しむっとした。


「それは今、重要な話ではありません」



ローズマリーの聞き取り調査はこんな感じで、ほとんど成果がなかった。







街中でも捜査が行われていた。



人を隠せそうな空き家やスラムの奥、貴族たちの家の地下室までひそかに捜索されていたが収穫はなかった。


今はごろつき達の尋問を強化している。


そして、カレンらしき令嬢を拉致したと思われる三名をみつけだした。



更に、カレンがマッコスという村で発見されたと報告が入った。



カレン捜索隊の一行は喜びにつつまれた。




ありがとうございます。

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