26・ヒロインの執着
お昼時に王子たちに囲まれる、眩しく美しい針のむしろはなくなったけど。
今日の放課後のストレス案件からは逃げられません。
お昼ご飯は無事、王女様たちと食べられました。が。
放課後・・・・。
「あんた、自分さえ良ければいい人なのね!
ヒロインの立場を乗っ取るために、あそこまでするなんて。
ちょっとは遠慮しなさいよ!悪豚のくせに!」
またまた中庭のベンチです。
「王女まで味方につけるなんて、どこまで計算高いのかしら。
せっかくの素敵なストーリーがめちゃくちゃじゃない!
アレクシス様とダニエル様の出会いイベントを邪魔したんだから、二人に紹介しなさいよ」
ヒロインには立場的に遠慮しなくてもいいよね?
「あなたの思うとおりになったら、私は修道院おくりでしょ?
ちっとも素敵なストーリーじゃないわよ」
「もう悪豚役やらなくていいみたいだから、私が幸せになっても、あんた修道院送りじゃないじゃない。
邪魔しなければいいだけだと思うんだけど。
そんなにヒロインになりたいの!
あんたはダニエル様が愛する私を手に入れて、幸せになるストーリーを邪魔しているだけなんだからね。
悪豚より達が悪いわ。あんあたなんて、ただのバグなのよ!」
キレイな顔が起こると迫力があります。
でも私にも、私の事情がある。
「ヒロインになんて、なる気はないわ。
でも、幸せにはなりたいの。
攻略対象四人に囲まれているのは、私が頑張ってこの世界で生きてきた結果そうなっているだけ。
全員に愛されたいなんて思っていない。私は誰にも愛されていないもの、ヒロインとは違うの」
寂しいけどね。
「でもあんたが全部邪魔しているじゃない!邪魔するのくらい止められるでしょ!
まだ、レオナルド様とキリアン様の出会いイベントは残ってる。二人を侍らせられたら、あとの二人ともうまく仲良くなれるはずよ。邪魔しないで!!!」
「ここはゲームの世界にそっくりだけど、ゲームとは違うの。侍らせるなんておかしいわ。
普通に一人と恋愛すればいいじゃない。レオナルド様とダニエル様はクラスメイトだし、アレクシス様とも顔見知りになったでしょ。話くらいできるでしょう?」
ローズマリーがイライラしているのが伝わってくる。
もしかして、私が悪かったのかな?
イベント潰さなければ良かったのかな?
好き放題しすぎたのかな?
でも、王女様を美しくして、レオナルド様と知り合った。
王女様は毎日きれいな顔で楽しそうに過ごしている。
キレイにして良かったと思っている。
宰相のハゲを治して、アレクシス様と仲良くなった。
宰相も穏やかな顔で、生き生きと過ごしている。
剥げたままにしておけば良かったの?
できることがあるなら、私はしたい。
ダニエル様はもとから幼馴染で、あちらから積極的に仲良くしてくれたのだ。
「話しかけても、話が弾まないのよ!ゲームみたいに甘い雰囲気にならないのよ!
あんたばっかりズルいじゃない!あんたが全部悪いのよ!!」
「そうかもしれない。私のせいで、簡単に甘い雰囲気にならないかもしれない。
でも、それが何だって言うの?現実ならそんなものでしょう。簡単に恋になんて落ちないでしょう?
普通になっただけじゃない」
「じゃあなんで私は、ストーリー通りにあんな苦労をしたのよ!あんなひどい環境で、みじめな暮らしを二年もしたのよ!それが無駄になるのは、あんたのせいじゃない!!あんたが邪魔しなければ、私の苦労も無駄にならなくて、イケメンに囲まれて、今頃幸せだったのに!」
「今、不幸なの?」
「あんたのせいで、毎日イライラして腹が立って、不幸だわ」
「伯爵令嬢でしょう?豪華な生活しているでしょう?優しい両親もいるでしょう?
それのどこが不幸なの?しかもそんなに美少女なのに」
「あんただって同じじゃない!伯爵令嬢で、貴族の暮らしをして、親がいて、美少女!
おまけにあんな美しいキャラに囲まれてちやほやされて。私より幸せじゃない!」
ストーリー通りにいかなくてイライラするのはわかる。私もゲームしてたから。
「じゃあ、どうなればあなたはイライラしなくなるの?」
「あんたが悪豚に戻って、私が予定通り、みんなのお姫様になれれば。
あんたなんか、不幸になればいいのよ」
フフっと彼女が笑う。
「あんたはストーリーを元に戻す気はないのね?」
じゃあ、と彼女が笑う。
「私がストーリーを正しく戻してあげる」
ローズマリーの右手が光る。
ゴウっと激しい炎が立ち上がる。
危ない!と思った時には遅すぎた。
彼女の手から放たれた炎は、私の顔と防いだ両手を焼いた。
激しい痛みと、混乱に気を失う寸前に、袋をかぶせられる気配を感じたが、抵抗するまもなく。
私は意識を失った。




