24・話し合いしてみた
図書室では、話ができないので、二人で中庭のベンチに座る。
ローズマリーがこちらを向く。
怖い顔をしている。
「あなた、転生者でしょう」
いきなりですね。
なんて言おう、でも転生者じゃないなんて無理があるかな?
シナリオ通りに進めるの止めてもらえるようにお願いしたいんだから、正直に言った方がいいよね。
「そうです。私も転生者です」
「そうよね~悪豚が美少女になっているなんて、普通じゃありえないわよね。
攻略対象独り占めなんて、反則だし。
あなた、ヒロインになりかわろうとしているのかしら?」
「そんなつもりはないわ。ただ知っているとおもうけど、悪豚は何もしなかったら、修道院送りで一生幽閉じゃない。そんなのごめんだし」
「ハーレムつくらなくても良かったじゃない!あれはヒロインである私のものよ!
悪豚は悪豚らしく、脇役でいればいいのよ。
ところでなんで、豚の鼻じゃないの?」
「ああ、これは魔法で直したの」
「ふうん、魔法ってすごいのね。あんなに不細工だったのに。
私は最初から美少女だから、魔法なんて必要ないけど」
「そうね」
ローズマリーがドカッと、足を組む。
ああ、久しぶりにみた。この世界の貴族の女性は足なんて組まないよね。
「とにかく、私の邪魔をするのはやめてくれる?
私はハーレムルートを目指すんだから」
ハーレムルートとは前世、このゲームで一番人気のあったルートだ。
攻略者全員の好感度をまんべんなくあげると、一人だけじゃなく全員にちやほやされる。
婚約一歩手前のラブラブ状態になるのだ。終わりの方で、お気に入りの一人と婚約して結ばれても、最後までみんな優しく愛をささやいてくれる。夢のようなルートなのだ。
「ゲームでも素敵だったけど、実際に見てみると、ゲームなんて目じゃないくらいカッコよかったわ~。
あの四人に傅かれるなんて、最高よね!」
「それが、お願いがあるんだけど・・・・ゲームのシナリオ通りに進めるの止めてくれないかな?」
「はあ!?何言ってるの?私はね孤児院に転生したのよ!まずいご飯に、ボロボロの服、汚い家に寒い冬。
そんな時、このハーレムルートに進むことだけを夢見て耐えたのよ!いまさら諦めるなんてできるわけないじゃない。一年以上耐えたのよ?伯爵家に戻れるって知らなかったら、死んでいたかもしれないわ」
「わかるけど、でも」
私の話をさえぎって、ローズマリーが話し出す。
「でも、じゃない!あんたは最初から貴族の暮らしをしていたでしょう!私みたいにひどい目にあっていないじゃない!」
「貴族だけどね・・・・悪豚だよ?どんだけ不細工か知っているよね?あの顔に生まれ変わったら、普通に不幸じゃない?140センチで体重70キロもあったのよ」
「ま、まあ、あの顔じゃね、それも死にたくなるかもしれないわね」
「私だって、ヒロインとか贅沢いわないけど、悪役令嬢くらいにはなりたかったわ」
「そうねー、悪豚はないわよね。モブの方がまだましね」
「わかってもらえて嬉しいわ。で、ルートなんだけど」
「ハーレムルート一択ね」
よほど孤児院暮らしがつらかったんだろう。
でも私は、みんなで幸せになりたい。
「ローズマリーは誰が押しなの?」
「全員!だけど、押しはダニエル様ね。ハーレムルートから最後はダニエル様を選択して結ばれるのよ!」
ダニエル様は・・・・取らないで欲しい。
私のじゃないけど。
「ダニエル様に優しく溺愛されて囲い込まれて、色気あふれる腕の中にもたれて。
レオン様の正統派王子様の美しさと気品に包まれて、跪いて愛を誓ってもらって。
キリアン様の筋肉質でたくましい素敵な胸板にすりすりして。太腿撫でまわして。
アレクシス様の完璧な美貌を近くでじっくり鑑賞して、あの美しい唇にふれるのよ!」
両手を握りしめて、力説されても・・・・。
全部やったら変態なじゃないかと・・・・。
「あなたがそのルートにいったら、悪役令嬢とか国外追放になっちゃうし。私はもう悪いことしないから、修道院おくりにはならないかもしれないけど、代わりの子がなるし。それに、このリアルな世界では厳しいと思うんだけど」
「でも、ゲームの世界と全く同じなキャラばかりじゃない。あんたは違うけど、名前は同じでしょ。
だから私はモテモテの幸せになるの、こんなに可愛いんだから、きっとできるわ!
あんた、邪魔しないでね!」
ローズマリーとの話し合いは、こじれまくり。
彼女は走り去って行ったのでした。
私は美しくなり、悪豚ルートから外れた。
もう何もしなくても大丈夫かもしれない。
でも、ダニエル様があんなハーレム女に優しくするなんて!!!
耐えられないわ!
ヒロインとの話し合いも決裂したので。
私はヒロインのイベントを潰すことにする。
あっちが遠慮しないで好きにするなら、私も好きにしてもいいよね。
ありがとうございます。




