21・ヒロインとの出会い
ヒロインは
キレイな薄ピンクの髪に、若葉色の瞳の大変な美少女だ。
裕福な伯爵家に生まれたが、三歳のときに、父親の愛人に誘拐され行方不明に。
掌に三個並んだ黒子があるのを目印に、大規模な捜索が行われたが結局みつからず。
伯爵一家は大きな悲しみに包まれた。
しかし、十四歳の時に偶然発見される。二つ隣の領の孤児院にすてられていたので発見が遅れたようだ。
家に戻ってからは、とても大切にされ幸せに暮らしているはず。
淑女教育は普通の令嬢よりだいぶ出遅れたので、平民育ちと馬鹿にするものもいるが血筋は間違いなく、正妻と伯爵の実子である。
幸せで、男の子にもモテているのだから、私を睨む必要はないはずなんだけど。
「それでは、カレン嬢また明日」
「じゃあね、カレン、明日のお昼は一緒に過ごそう」
「またな、カレン」
「じゃあなー、カレン嬢」
攻略対象四人組はやっと去ってくれた。
思いっきり目立った後なので、何とも言えないが・・・急いで帰ろう!
「お待ちになって」
悪役令嬢に声をかけられてしまいました。
「あなた、ずいぶんと男友達が多くていらっしゃるのね。
どちらの方かしら」
お約束の縦ロールの迫力美少女です。
「カレン・グレスランドと申します。父は伯爵です」
「あら、あのような身分の高い方々に囲まれていたのに、伯爵令嬢なのね。
知り合いだからと言って、ずうずうしく皆様に迷惑をかけないように気をつけることね」
近づいてきたのはあちらからです、という言葉は飲み込んで。
「はい」と答える。
あー、これは私が虐められるに決定だな。
まあ、教科書を捨てられるくらいの虐めなら、なんてことはないけど。
誰がやらされるのか、それが問題だ。
私を虐めても主人公を虐めなければ、ハッピーエンドになっても悪役令嬢も国外追放なんかにはならないだろう。私はレオナルド様と恋愛なんかしないし。
するならダニエル様が・・・・なんて言っている場合ではないか。
「私はエリザベート・マキャフリー、公爵令嬢よ。このクラスの女性の中では一番身分が上なの。
忘れないようにね」
エリザベート様は取り巻きを引き連れ、さっそうと去っていく。
怖かった。
明日から、何かされるのも、非常に怖い。
二次元が三次元に変わると、何もかも迫力があるのね。
明日からは計画通り、ヒロインと攻略対象の出会いイベントを防ぎ、そしたらおとなしくしていようかしら?
私の修道院送りはなんとか阻止できそうだし、悪豚の代わりになる子も、私を虐めている分にはなんの処罰もされないだろうし。
そうだ、そうだそうしよう。
そう思って今度こそ帰りかけると、可愛らしい声で話しかけられた。
振り返ると絶世の美少女がそこにいた。
ヒロイン、ローズマリー・モルガン伯爵令嬢。
薄ピンクの髪がとても可愛らしい。
「私に、御用でしょうか?」
声を掛けられる理由がないので、不思議に思う。
「さっきのお話を聞いていたのですが、あなたのお名前はカレン・グレスランド様でよろしいのでしょうか?」
美少女が真剣な顔をしている。
本当に可愛らしい。
「はい。その通りですが。
あなたのお名前は?」
一応聞いてみる。
「ローズマリー・モルガンと申します」
「えっと、それでどのようなご用件で?」
美容魔法を使っているので、たまに知らない人に声を掛けられる。
美容魔法の依頼だ。
しかし、こんな美少女は私の美容魔法なんて不要なはず。しかもヒロインだし。
「先ほどお話されていた方々とは仲がよろしいのですか?」
初対面の令嬢からされる質問にしてはおかしい。
なんだか嫌な予感がする。
「ダニエル様は幼馴染なので、仲が良いといってもよいかと。レオナルド様とアレクシス様は、たまにお話をする程度です。キリアン様は初めてお話しました」
「おかしいわ・・・・」
小さな声だが、聞こえてしまった。
「それがなにか?」
とりあえず聞いてみる。
「いえなんでもありません。
それではごきげんよう」
美少女は去っていった。
「悪豚じゃないの?なんで美少女?バグ?」
とブツブツ言う声が聞こえてきたのは気のせいだと思いたい。
ありがとうございます。




