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18・ルートを潰そう

ありがとうございます。




王女様のところには、定期的に通うようになった。


ニキビができたり、肌荒れしていたり、そんなときには美容魔法をかけている。



おいしい紅茶を飲み、とびきり高級なお菓子を少しだけいただく。


私たちは太ることに過敏である。

王女様も一時期、太っていたそうだ。


話題は主に、美と美容について。




「それにしても、美しさとは重要なことよね」


「その通りです!」


「お父様も、お母様も、前より私を見てくれるのよ、しかも笑顔で。

 冷たくされたわけじゃないけど、美しくなかった頃とは、目つきが違うのよ、目つきが。


 なんていうか、興味を持ってみてくださる感じかしら」


「人は九割、外見で評価されますからね。

 不細工で太っているとそれだけで、頭が悪くて性格も悪いくらいに思われてしまいます」


「そうなのよ!

 目が吊り上がっているだけで、意地が悪いと言われるのよ。

 私が怒りっぽかったのは本当だけれどもね、パッチリとしたこの素晴らしい瞳になってからは、イライラも全然しないの。

 あら、やっぱり目つきが悪いと性格も悪いってことかしら?」



エメラルダ様が首をかしげる。



「微妙に違います。

 周りの扱いが変わるから、性格も変わるのです。

 好意的な視線に囲まれていたら、穏やかにもなるでしょう。

 ブスだブスだとけなされてばかりいた私は、自信のない気弱な性格に育ちました。

 同じ人柄でも、けなされて育つのと、褒められて育つのでは性格が変わるでしょう。


 見た目が良ければ、良い性格でいるのなんて、楽勝です!!!!」



「カレンは自信がないようでも、気弱でもないわね」


「美しくなって、自信がもてるようになったのです。

 みためはなにより大切ですわね」


「その通りだわ!!!」


エメラルダ様が前のめりになって同意してくれる。



いや、私も見た目がすべてだなんてことは思っていないけれどね。

周りからどう扱われるかは、見た目で決まってしまうと思うのね。

それを跳ね返して、立派な人に育つ、見た目に恵まれていない人は、特別に優れている人なんだと思う。


ちやほやされてわがまま育つ美少女や美少年はね、不細工だったら、いじけた性格にすぐなるんじゃないかと思う。



「不細工だ」と蔑む視線にさらされているのは、心に傷をつけることなのです。




おもいきり性格の悪そうな話を、思う存分語れるのは二人だけ。

王女様とのお茶会は、私もとても楽しいのだ。











何度も王宮に通っていると、自然と身分の高い方々にもお会いする。




攻略対象のレオナルド・ヴィ・リターニア王太子殿下にもお会いする。




廊下の向こうから、王太子殿下が歩いてくる。


金色の美しい髪、前髪は少し長く、後ろはすっきりと整えられ、エメラルドグリーンの瞳は遠くからでもきらめき、完璧なスタイルと合わせて、存在感が半端ない。



すれ違う時に廊下の端により、頭を下げる。



最近は何度もお会いするので、王太子殿下から声をかけていただけるようになった。


「おや、カレン。

 今日も姉上のところに遊びに来たのかい。

 

 カレンと出会ってからは、姉上の機嫌がとても良い。

 これからも、姉上のことをよろしく頼む」



微笑むお顔は、ビスクドールよりも美しく完璧だ。

あまりの美しさに、顔が少し赤くなってしまう。



二次元のゲームをやっていた時でも、ときめいていたのに、三次元になると破壊力が違うのだ。

そんな美少年に声をかけていただけるなんて・・・・・・・幸福だ。



彼と仲良くなっておけば、ゲームが進んだ時に私の身の安全も強化されるかもしれない。



ゲームの中では、虫けらを見るような目で見られていたけど。




実は。

このレオナルド様とヒロインの出会いイベントは潰すのに成功しているかもしれないのだ。


レオナルド様とヒロインの出会いは、王女様がきっかけとなる。



メイドをひっぱたいていた王女様に、ヒロインが止めに入り地雷のセリフを言う。


「お前は本当に見苦しいわね!だからこんな簡単なこともできないのよ!」とメイドをひっぱたく王女。

それを止めに入るヒロイン。

そして一言

「この人は見苦しくなんかありません!人を見た目で判断するなんて最低です!」

言っていることは正しいけどね。



ゲームじゃなければ不敬罪で、即アウトだ。



ヒロインはとびきりの美少女なので、そんな人にこのセリフを言われたら、私でもイラっとしてしまう。


ものすごい美少女ぶりで、周り中を虜にして、ちやほやされてきたのだ。


見た目でどれほど差別を受けてきたのか。

それがどんなにつらいことなのか。

見た目で対応を変えない人なんて、ほとんどいないのだ。

あなたは見た目で得をしてきたのだ、それほど美しくなかったら、いまほど大切になんてされていない。

良い子だよね~。くらいは言われたかもしれないけど、特別大切な人にはなれない。




王女様もイラっとして、ヒロインを思い切り叩いてしまうのだろう。


そこに第一王子、レオナルドさまが登場して、ヒロインをかばうのだ。

勇敢で優しいヒロインに好感をもつ王子。


そこから接点のなかった二人の距離が縮んでいく。



はずなのだが。




今の王女様なら、そんなセリフ言わないし、侍女も叩かないだろう。

ヒロインに好感を持つきっかけがなくなったのだ。


そのタイミングで出会うことはあるかもしれないから、好感度アップイベントは潰していかないとだめだろうが。



意地でも、悪役令嬢の手先にはならないし、悪豚令嬢にもならないけど。

代わりに他の女の子がその役をやらされるところはみたくない。







前世でゲームをしていた時、私は全員のルートを攻略したけれど、一番の押しは王太子殿下ではなくダニエル様だったりする。


あの紫の瞳を拝見するたびに、魂が吸い込まれるような感じがしていたのだ。

しかし実際に会うと違う。


最初のころは、ときめくよりもあまりに酷い顔とスタイルでダニエル様に会うのが、すごくつらかった。

お腹に力をいれてへこませても、デブは変わらないし、鼻の穴をみられるのが堪らなく恥ずかしくてできる限り下を向いていた。すぐに汗まみれになるから、汗臭いと思われないかも心配で心配で。

見られるのも、近くに来られるのも、恥ずかしくて緊張していたのだ。

なにしろどこをみられても恥ずかしい体だったので。


次は恥ずかしい見た目ではなくなったけど、好みの美しい顔が笑ってくださるだけで、心臓バクバクで困っていた。目を合わせてしまったら、おしまいだ。私の頭は空っぽになってしまうから。・・・そんな状態で。


美しくなってから何度かお会いして、やっと慣れてきたのだ。


目は見ちゃダメ。

鼻のあたりを見る。


これが規格外のイケメンを見るときのコツなのだ。



ダニエル様で慣れておいて良かった。


モフられるときにも、ダニエル様いいにおいがする~~とうっとりできるくらい成長した。




おかげで王太子殿下にも赤面するだけで対応できています。




これから他の攻略対象に出会っても、きっとなんとかなるでしょう。




お兄様のきれいな顔にも戸惑ったけれどね。私への評価が底辺だったので、あまり緊張しなかった。


お母様の美女ぶりにも、実は緊張していたけど。頭を撫でられたり、抱きしめられるたびにいいにおいがする~~~とか、お母様のお洋服、胸元が開きすぎです~~~とかオロオロしていたけど。



美しい人というのは、破壊力がありますね。


たぶん、素敵だと思った人に、嫌われたり嫌悪されたりしたら、心がダメージを受けすぎるから

怖さを感じてしまうのでしょう。



お姉様は美人だけど、初めから嫌われていたし、嫌いだったし、普通の美人だったので平気でした。




美形と王宮には、注意が必要です。









よろしくお願いします。

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