15・王女様1
ありがとうございます。
バタバタと過ごしているうちに、私は十三歳になりました。
誕生パーティーは家族でこじんまりと祝っていただきました。
お父様とお母様からは、私の瞳と同じ色のサファイアのネックレスと耳飾り。
お兄様からは可愛らしい花のブローチ。
メイド隊や執事からは、それはそれは見事な刺しゅうが一面に入った、ベットカバーと花束とお菓子と小物入れ。
刺しゅうはメイド隊がみんなでしてくれたみたいで、とても嬉しいです。
お兄様からは生まれて初めて、贈り物をいただきました。
単に、顔が嫌いだったのね。
やっぱり見た目は大事。
お姉様からはなしでした・・・・予想通りなのでダメージはありません。
体重は順調に減って
42キロになりました!
もう、普通ですね!
そんなふうに充実した日々を過ごしていたのですが・・・・。
大事件が起こりました。
なんと王女様からの呼び出しです!
この国の第一王女のエメラルダ・ラ・リターニア様。
とても怒りっぽく我がままだと噂なので、怖いです。
お姿を拝見したことさえないのに、いきなりの呼び出し。
考えらる理由は、美容魔法しかないけど、いったいどこから王女様まで話がいったのでしょう。
王女様とお会いするということで、私は正式な大人が着るみたいなドレスを買っていただきました。
モスグリーンでふんわりした形。スカート前面には白いフリルが連なる、とても素敵なドレスです。
呼び出し当日。
朝から、緊張しまくりです。
美少女になったとはいえ、私の中身は悪豚令嬢、前世までいれても地味女子高生。
びびります。
馬車で王宮まで向います。
そんなに遠くないので、つくのはあっという間です。
王宮の門番に用件を告げると、お待ちしておりました!
ささ、どうぞーーーーーーーーとよくわからないくらい素早く王女様の部屋まで案内されてしまいました・・・・。
侍女に促されて、早速王女様にお目通りです。
「あなた、まっていたわ!」
王女様がマナーもなにもなく駆け寄ってくる。
「あなたが素晴らしい魔法を使えると聞いたのよ!今すぐ私を、美しくしなさい!!」
い、いきなりですね。
部屋に入って、まだ三歩しか歩いていません・・・・。
「ああ、とりあえず椅子に座っていいわよ。お茶を飲んだらすぐにお願い」
「王女様、お会いできて大変光栄でございます。
カレン・グレスランドと申します」
全力でカーテシーをする。
痩せたので、カーテシーをしても転ばない。
ソファに座り王女様をみると、なんというか王女様は普通だった。
不器量でもないけれど、美しくもない。とても洗練された普通のお姿です。
きついカールの蜂蜜色の髪、エメラルドグリーンの吊り上がった一重瞼の目。
ちいさい鼻に薄い唇。と、ぽつぽつある黒子。
スタイルは良い。
きっと努力されているのだろう。
けれど、化粧は目元の厚みがすごい。アイラインがあまりにも太い。
口紅も唇よりも大きめに塗っているようだ。
「エメラルダ王女殿下は、どちらで私のことを知られたのでしょうか?」
とても気になっていたので聞いてみる。
「マーシャル商会で小物を選んでいる時ね。
あそこの娘が、酷い痣があったのにあなたが跡形もなく消したと聞いたわ。
私の黒子も消せるわよね。他にもいろいろな女を美しくしているそうじゃない。
私にも、その美容魔法とやらを使いなさい!」
評判通り、気性の激しい方のようだ。
少し落ち着て侍女たちをみれば、みな微妙に見た目が良くない。
きっと王女様より、不器量な者たちが選ばれているのだろう。
「ではエメラルダ王女殿下、どこをどう変えたいのか具体的にお知らせください。
私の魔法で変えてしまったら、同じようには戻せないのです」
「まずはこの鬱陶しい黒子を消して」
「隣に座ってよろしいですか?」
「いいわ」
「それでは失礼します。
手をキレイにしたいのですが。それと、お化粧を落としていただけますか?」
さっとお手拭きが差し出される。
手を拭く。
侍女がさっと王女様の化粧を落としていく。
顔が変わってしまった。
「お顔に触れます」
魔力を指先に集め、王女殿下の黒子にふれる。
一つ消し、二つ消し、・・・大きいものから小さいものまで消していく。
「終わりました」
王女様は急いで手鏡を除く。
「まあ・・・・・・」
一言である。
怒られたらどうしよう。
「まあ・・・・・・。まあ・・・・・。消えているわ・・・・・」
王女様は下を向く、そしてぱっと顔を上げる。
「素晴らしいわ!!何を試しても消えなかった黒子がきれいに消えているわ!あなた、気に入ったわ!」
鏡を見て笑っている。
嬉しいね、喜んでもらえたみたいだ。
「次は目よ。この吊り上がった小さな目!ほんとうに嫌いだわ」
「では、二重にして、目じりを少し下げますか?戻せないのでよく考えて、どんな目にしたいのかお決めください」
「パッチリとした二重にして、目じりも下げて、でもたれ目は嫌よ。目はできるだけくっきりと大きくね」
「かしこまりました」
慎重に瞼に触れる。
ゆっくりと、二重を形成する。
ほんの少し、目の幅も広げていく。
一旦手を止めてから、目じりを少しだけ下げる。
少しだけ吊り目の状態にする、一気に顔を変えると、違和感が出るからね。
「できました」
王女様は侍女から鏡をひったくって覗き込む。
ポロっと、涙が零れた。
「すごいわ・・・・・・・」
「わた、私じゃないみたい・・・・・」
ぽろぽろと泣いている。
嬉し涙は、大好きだ。
「みて!きれいな二重だわ。私の目が、パッチリしているわ。とても自然な感じなのね。
感謝するわ。嬉しいわ。
私は自分の目が、大っ嫌いだったのよ」
「あなたは私の一番の親友だわ。これからもずっと仲良くしましょうね!」
王女様は大変満足されたようだ。良かった。
うん。
黒子を消して、パッチリした目にしただけで、美少女になったね。
他は、もともと整っていたし。
「次は、まつ毛ね。あなたみたいに長くて、フサフサして、カールしたまつ毛にしたいわ。
それと唇ね、薄すぎて気持ち悪いわ。できるでしょう?」
王女様近いです。
王女様は私の手を握り詰め寄ってくる。
大きくなった目をギラギラさせると、怖いです。
「お待ちください。私の魔法はあまり一気にかけると体に負担がかかります。今の顔がなじんでからでないと顔のバランスが悪くなってしまうのです。目をいじった場合は特にです。少なくとも五日は次の施術まであけてください」
「そうなの。それは残念だわ。じゃあ、五日後またきてちょうだい」
「はい」
「今日はゆっくり、とっておきの紅茶とお菓子を楽しんでね。
ところで、あなたの名前をもう一度教えてくれる?」
「カレン・グレスランドです」
「カレンね、私のことはエメラルダと呼んでいいわよ」
「ありがとうございます。エメラルダ様」
「様もいらないわ」
「恐れ多すぎます。エメラルダ様は王族でいらっしゃり、成人していらっしゃるので。私はまだ十三歳の子供です」
「そうね、私は十五歳だから成人しているのよね。
じゃあ、様つきでもいいわ。
だけど、年下でもカレンは親友よ!」
それから私は、エメラルダ様とおいしい紅茶を飲み、王宮料理人のつくった大変おいしいお菓子をいただきました。
そしてたくさんのおみやげをいただき家に帰りました。
家に帰ってお土産をみていると、美しい小箱が・・・・。
開けてみるとぎっしり金貨が詰まっています。数えてみると三十枚入っていました。
三十枚って三百万円くらいだよね。
最高記録を更新しました。
そうして私は、次の目標の資金を手に入れさらに。
「王女様の親友」の座を手に入れたのでした。




