14・稼がないとね
ブックマークしてくださった方。
心から感謝です。
私はマーシャルさんからもらったお金の一部を、孤児院に寄付することにした。
食費に使えば、あの子達ももっとふっくらして、可愛らしくなることだろう。
私の魔力量もだいぶ増えたようだが、もう少し増やしたい。
毎日限界まで使うことで、魔力量は増えていくのもわかったので、頑張らねば。
私はまだ十二歳。
成長に伴って魔力も増えるのは常識である。
なんの使い道もない、ハズレ魔法だったから、記憶がよみがえる十二歳までろくに使っていなかったようだ。
最初は古い濁った魔力が、体の中で固まっている感じがしていたのだ。魔力は体をめぐるものなので健康にも悪そうだね。
昨日は外で倒れたし、疲れたので今日はおとなしく家でじっとしていようと思っていたら、幼馴染のダニエルが訪ねてきた。
応接室に通すなり、ダニエルが叫ぶ。
「どうしたんだい!カレン!目を見開いた時の、美しいリリーになっている!!!」
「ダニエル様、私は猫じゃありません」
やっぱりリリーから離れられないのね。
せっかくのイケメンが台無しだ。
私がどんなに不細工でも、太っていてもずっと普通に接してくれている大切な幼馴染。
お父様と使用人以外で、唯一私に好意的に接してくれる男性。(ヒロインが現れたら冷たくなるけど)
しかもイケメン。
残念だ。
お兄様も、美しくなってからは優しくなったが。
デブで不細工の時には散々、けなされたからね。
ダニエルはお茶を飲んで、一息つくと落ち着いたらしい。
「キレイになったね。カレン」
キレイな人にキレイと言われると恥ずかしい。
慣れてないから。
「そんなに痩せてしまって、何かあったのかい?
悩み事があるなら、相談にのるよ」
彼が体を乗り出すと、艶やかな黒髪がサララと流れる。
彼は猫のリリーが好きすぎるけど、いつも優しい。
ちなみにまだ、痩せすぎからほど遠い、普通のデブです。
美しい瞳が心配そうに細められ、つい見とれてしまう。
美しい黒髪、アメジストのようなきらめく瞳。
陶磁器であるかのような真っ白で滑らかな肌。
少年なのにすでに男らしさを感じさせる、大きな形の良い手。
ヒロインに取られたくないなぁ。と思う。
私のものじゃないけど。
ダニエルは心配しながら、帰って行った。
ちょこちょこ不細工な私のところに遊びに来るダニエル。
暇なのかしら。
聞いてみたことがあるけど。答えはよくわからないものだった。
いつも男とばかり遊んでいるけど、たまには女の子とも話がしたい。
カレンが一番気が楽だ。
なんだそうだ。
あれか、自分の家の猫が一番かわいいけど、他の家の猫とも遊びたいとかそういうのなのか。
彼は他の女の子たちを、みんな似ていて間違えるから面倒だと言っていた。
確かに私は他の可愛らしい令嬢にまぎれることはない。一番太いからね。
美少女になっても、彼が変わらなくて良かった。
記憶がよみがえってから、焦って活動している私の毎日は忙しい。
朝食を食べて、休んで、午前中いっぱい勉強をする。
それまでのカレンは、マナーや一般教養、ダンスに刺しゅうに算術に語学だったのだけれど、それに歴史、魔法、地理、馬術を増やしてもらった。
昼食を食べて、休憩して、習い事が入っていない日は、石の加工を力尽きるまでやって気絶。
合間にティータイム。
目が覚めると夕食の時間なっているので、食事を取り、読書や習ったことの復習。
入浴して、ベットに入り、再び石の加工をして気絶。
更に最近、お仕事が増えました。
マーシャル商会経由で、美容魔法依頼が入るようになった。
料金は金貨一枚のはずだったのだが、金貨十枚とかくれる人が多い。
にぎやかすぎるそばかすを消してあげたり、二重のパッチリの瞳にしてあげるとたくさんくれる人が多いようだ。
やっぱり皆、泣く。
人をキレイにして喜んでもらえるのは、とても嬉しい。
お金が順調に増えていくので、孤児院の美化も領内の孤児院、大小合わせて五件全部を整備できた。
文字と計算を学ぶ教材も買ってあげられるようになったから、きっとみんな
自立しやすくなっただろう。
卒院生が出世するといいなぁ。
卒院生が寄付して、孤児院が経営できるように回っていったら安心だ。
私もまだまだ、お金を稼いで援助するけどね!
お父様にお願いもして、運営費を少しだが増やしてもらったし。
それと、毎日やっている石の加工のお金も入ってくるようになりました。
初月給はなんと、金貨二十枚!!
大きなバラ加工した石が売れたそうです。
小さなものも人気だとか。
資金がどんどん増えていくので、バットエンドでも安心ですね。
孤児院も冬支度が必要なので、全員分のコートをメイド隊が作ってくれている。その材料費が五か所合わせて97人分なのでばかにならない。お使いや、下働きを始めた子供達には、ブーツをプレゼントしたい。
冬越えのための薪も大量に必要だ。
私は一家のお父様気分だ。




