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34話 6回目の木曜日 ~起床~

 また、あの夢を見た。子どもだけで、野原の家で過ごしてる夢。


 この前いつ見たのかは覚えてないけど、夢の内容はいつもと同じ。

 私を含めた子ども3人が幸せに暮らしていて、でもしばらくして一緒に過ごした男の子と女の子は順にいなくなる。最後まで残った私も、家の外を歩いてみて、そうしたら、一緒に暮らしていた子じゃない女の子が、家の前に立っていた。その女の子と私は、家の前で話したけれど、やがて女の子は私の伸ばした手を取ることなく去ってしまった。ーーこの光景を、いつものように大人になったこのころの私が離れて見ている。


 見たことのある光景は、いつもとまったく変わらなかった。ちがいは、最後の場面と今までになかった続きの場面。家の前にいた女の子が、大人の私の前を横切ったのをはっきりと見た。前は、少し目を離したときに見失って、それからすぐに目が覚めた。


 今回は、見失わないように、女の子が子どもの私に背を向けてから瞬きもせずその子を見つめた。

 その子は、私とその子のやりとりを離れて見ていた大人の私なんて、目に入っていなかったみたい。走ってはいなかったけど、無我夢中というか、できうる限り腕と足を動かして、突き進んでいた。

 私の前を横切ったとき、その子は泣いていなかった。よろこんでいるのか、哀しんでいるのかもわからなかった。つよさとよわさが、両方あった。そうして前を見据えている瞳に吸い込まれるようにして、私は腕を伸ばしてた。そして、その子の腕をつかんだ。ー-その刹那(しゅんかん)、風が吹いて私は夢から戻ってしまった。



 夢から戻った私は、身体を起こしてひとつ深呼吸をしてみた。

 こうも何度も同じ夢を見ていたら、何か意味を探してしまう。というより、何か意味があるにちがいないと根拠のない確信を持ちたがっていた。

 実体のない夢に意味を欲しがっていた私は、そのままスマートホンで『何度も同じ夢の続きを見る』みたいな言葉を検索してみた。占い寄りの内容が多くて、いろんなことが書かれていた。上の方に出てきた項目だけをさっと見たら、どれにも思い当たる節があったし、やっぱりどれも占いらしかった。それに--。

 あの子を、夢の最後にいつも出てくるその女の子に重ねて見ていること、私はちゃんと気づいてた。


 占いなんて、普段ならまったく頼ったりしない。だけど夢は、占いと似てる。またひとつ深呼吸をして、急いで身支度をした。


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