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13話 3回目の月曜日

 子どもの私は知らない家に住んでいた。その家は野原のまん中にあって、大きい家ではなかったけれど、とても心地よい家だった。暑くもなく、寒くもなく。静かな中で、鳥のさえずりやどこかのせせらぎが遠くにきこえた。窓からは色とりどりの花がたくさん見えて、時々動物や人が通るのも見えた。何をしていたのかわからないけど、私はそこにしばらく住んでいる感覚があった。

 1人で住んでいたわけじゃない。私を入れて、3人で住んでた。私と、男の子と、女の子。子どもばかりで。3人とも、見た目は同じくらいの年頃だった。詳しいことは覚えてないけど、心地よい家に3人でとても楽しく過ごしてた。


 ある日一緒に住んでいた男の子が、家を出た。外は、ひどい嵐が吹き荒れてたのに。家に残る私ともうひとりの女の子に、男の子は切なそうに手を振った。


 私は残った女の子と、しばらく2人でそこに過ごした。男の子がいなくなって、寂しい気持ちもあったと思う。でもその気持ちはあまり印象に残っていなかった。私たちは、またしばらく穏やかに過ごした。

 少し経って地震が起こった。大きい揺れ。一緒に残っていた女の子はこの時家を飛び出して、もう戻って来なかった。


 そのあとも私はその家にいた感覚があるけれど、続きの記憶はほとんどない。



 ふしぎな夢だった。憶えていたから、たぶん明け方に見たんだと思う。いつもの電車を待つ間、私は夢で過ごした日々を思い出してた。

 駅員さんの吹いた笛の音が響いて、私は我に帰った。向かいのホームの電車の扉が直後に閉まった。それとほぼ同時に、電車到着間近のアナウスがあって、私の乗る電車の先頭が遠くに見えた。


 電車に乗ると、あの子は扉のそばのいつもの場所に立っていた。

「おはよ」

スマートホンから目を離して首を傾げたあの子の耳には、この日も見たことないピアスが光ってた。

「おはよ」

いつものようにあの子に返して、私はあの子の隣に立った。


 あの子は土曜日の帰りずっと目を瞑っていたから、この日は私の降りる駅に着くまで土曜日のことを話し続けた。一緒にしたことを話して思い出すだけで、とても楽しかった。

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