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(仮)嫌われ者  作者: 月夜乃桜
(転)
14/15

拾伍



タイトル、どうしましょう。




人の不幸は、蜜の味。確かに、そうだ。但し、それは他人の事。自分に関わる事は、蜜の味じゃない。苦味たっぷりなブラックチョコレートみたいな味。


あたしが抱き締めている少女は、赤ちゃんの時は誰かに育てられてたっぽいけど。手がかかり始めてっからは、この地下牢に入れられて。名前もつけて貰えない。同じ母親から先に生まれてたお兄様、この国で言うところの、第2王子様は何も知らされていない。時折、ストレス発散、鬱憤発散とばかりに地下牢に来ては、妹である少女に攻撃魔法を浴びせ痛がる反応を見て嘲笑わらっている。まるで、小さな前国王。実の妹と知らなくたって、防御魔法も取れない弱者に、攻撃魔法を浴びせるなんて。しかも、傷跡を治療せずに放置。母親は、息子が地下牢に来ては攻撃魔法を使っているコトも知っている。卑劣ひれつきわまりない。


掻っ攫いたいけどぉ。突然連れて帰るのも、今はまだダメ。根回しが、まだ足りない。ローズ国の王族情報が詰め込んである本を取り出して、チェック。この本、創作魔法で出しちゃいました。ちなみに、ダリア国の王族情報が詰め込んである本も、あります。ムフフフ。


・・・えっと、3日後に、第2王子様の誕生日祝いがある。で、王様も出席。国内の貴族、ダリア国の王様なども出席。へぇ〜、ダリア国の王様、来るんだぁ。健って人が、匿名で造った魔導カメラを使ってオンラインで出席するんだってさ。直接は、来ないんだ。魔導カメラは、スマホやパソコンに似てる?ちょっと、見てみたいんだけど。


読むのに集中してたら、あたしの背中に手が回されてて、ギュッとしがみついて、る?・・・ん?起きてるの?!目線を下に向けたら、少女の目と合っちゃった。潤んだ目で、イヤイヤするみたいに、だけど、スリスリされて。イケない扉が、開いちゃうからっ!スリスリ、ダメ!妹が、小動物に見えるからっ!


「めっ。」


そしたら、哀しそうな表情を浮かべてしまった。


「・・・あ、あ〜。いあぁ。」


喋る相手もいないから、言語能力が下がってるのね。創造魔法で、アガーを使ったわらび餅を出す。アガーって知ってる?ググったら分かる。その蕨餅、言語能力が抜群に上がる効果とかがある。液体でも良かったんだけど、スイーツなら食べてくれそうじゃない?


「あーん。」

「あ?」

「あーん、ってしてごらん?」

「あ、ん?」

「えっと、口を開けてみて?こうやって。」


口を開けてみたら、素直に真似てくれた。可愛い。その口に蕨餅投入。吃驚したみたい。当たり前か。でも、甘いから食べてくれた。嬉しそう。可愛いな。雛鳥に、餌をあげてる感覚。うん、可愛い。


貴女あなたは、あたし。あたしは、貴女。」

「あ、たし?」


喋れた事に、キョトンとした顔。猫みたい。可愛い!


「貴女は、あたしの片割れ。あたしは、貴女の双子の姉。今日は、無理だけど。3回目の夜の時、迎えに来る。3回目の夜の時、此処から脱出するの。」

「3回目、の夜?」

「暗くなる事。上の、窓から2つの、まん丸が見えるでしょ?あれは、月って言うの。明るくなると、朝。もっと、明るくなってくると昼。段々、暗くなるのは夕方。だから、今は暗いから夜。月が窓から見えていると、ほんのり青白く明るい。けど、夜。」

「暗いから、よる。明るいと、あさ。もっと明るいと、ひる。段々、暗くなるのが、ゆうがた。」

「良く出来ました。」


頭をワシャワシャ撫でたら、目を細めて嬉しそう。可愛いな。


その日の夜は、明るくなる迄、お喋り。朝になって、いなくなると分かった時の妹の表情は、悲壮感で、見てて、こっち迄、つらくなった。ギュッと抱き締めた。3回目の夜、必ず迎えに行くから。待ってて。


ーーーーーー


1日目の夜。

変わらず、眠る妹のそばにいた。迎えに行くのは、3日目の夜だけど、会いに行かないとは言ってない。


「今日も、傷がある。」

今回の傷は、頬と指先と目元。かすっただけだけどさ。許すまじ。


このいもうとに傷をつけやがった奴には、眠る度に呼吸困難になるように呪いでもかけておこう。睡眠不足になってしまえ。傷を治療魔法でサクッと治して、消してっと。


「また、会いに来るから。安らかに、おやすみ。」

可愛い妹よ、悪夢も見させませんからね。


2日目の夜。

今日も、相変わらず、飯がない。餓死させる気かっ!


牢番にも、使用人にも、ゆっくり餓死していく夢を見るように呪いをかけておこう。睡眠不足になってしまえ。ついでに、狂っておしまい。栞のお腹辺りに、ゆっくり魔法をかける。ほんとは、咀嚼させて消化させた方が良いんだけど。起きちゃったら、泣かれたら、良心が痛む。なので、腹八分目になるようにする魔法を、ゆっくりかける。


迎えに行ったら、先ず、食事。顎も、発達してないだろうし。空腹が多かったお腹も、突然多量の食糧だと消化が間に合わなくなるし。負担をかけないように、先ずは重湯おもゆから。栞の健康状態を見ながら、食事の量を増やしていけば良いもの。明日は、3日目だ。ふふふ。愉しみ。
















誤字脱字に気をつけているつもりです。

更新は、牛歩です。悪しからず。

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