第12話 夜明け
後日、その夜に起きた戦闘は連合軍とウラ鉄の双方からギップフェル沖海戦または夜戦と呼ばれる事になる。
損害はウラ鉄側は不明だがそれでも連合艦隊側が圧倒的に多いのは確かだった。
その連合側の損傷艦数は三十四隻の沈没も含めて八十一隻にも及んだ。
損害だけ見れば海戦はウラ鉄側の勝利だが連合艦隊側は各国の旗艦が健在、戦力も半数近くは未だ無傷のまま残存しギップフェル島攻略の意思も失ってはいなかった。
無論、各国の損害も少なくない。中でもヨシュアの水軍の被害は極めて大きかった。
撃沈はモニター艦ホーネット一隻とガンボート七隻。残存艦もほとんどが損傷して居た。
その中で戦闘母艦ムラクモの被害も凄まじく、沈まなかったのが不思議なくらいだ。
頼みの綱の高速突撃艇も碌な活躍も見せないまま戦闘不能、もしくは完全破壊の憂き目に遭っていた。
そして海戦に参加した水上騎兵隊の二騎の水馬の内、唯一、生き残ったカスケードが翌朝、ヨシュア艦隊に帰還した。
それをカナセが知ったのは海上の小型艦載艇の上だった。
カナセは戦闘終了後、無傷だった艦載艇を無断拝借すると海上で浮いている生存者の救助に当たっていた。
その中でカナセを不安にさせていたのはカスケードの未帰還だった。
生存者の救助の最中、カナセは懸命にカスケードの姿を探した。
しかしどこを探しても相棒の船の姿は見えない。
その事実にカナセの中で不安が過る。
「おいおい、このまま未帰還状態で終わりってのは無しにしてくれ……」
そうつぶやきながらカナセは捜索を続けた。
だが暫くしてムラクモからカスケード帰還の報を受ける。
「何だよ、帰りが遅いから探してやってたのに……。脅かしやがるぜ」
通信を受けたカナセは胸を撫で降ろしながら大急ぎで戦闘母艦ムラクモに戻った。
しかしムラクモにカスケードの姿はない。
マリウスはムラクモではなく旗艦ヨークタウンに辿り着いたらしかった。
早速、カナセはその足で旗艦ヨークタウンに向かった。
だがカナセがそこで見た物は船体を砲撃で穴だらけにされたカスケードの姿だった。
ヨークタウンの乾舷に係留されていた相棒の船は今にも沈みそうだった。
だが何よりカナセを驚かせたのはどす黒い血で染まった操縦席の床だった。
「おい、嘘だろ……」
カナセは嫌な胸騒ぎを覚えると急いでヨークタウンに乗り移る。
そしてマリウスが送られた艦の集中治療室に向かった。
しかし扉の前にはあの看護兵パロマ・リビが立っていた。
「ストーップ! 治療室は関係者以外、立ち入り禁止です」
だがカナセも相棒の窮地に取り乱す。
「おい、少尉はどうなった?! マリウス・ルーメン少尉だ!」
「少尉なら現在、治療の最中です」
「具合は? 治るんだろうな!」
「命は取り留めて居られます。ですが容態は重体です。治療が終わった後も絶対安静が必要です」
「そこまで悪いのか?」
「はい、恐らくはこれからの作戦にはもう参加不可能でしょう」
「冗談じゃない! おい、少尉! こんな所で死ぬなよ! 死んだら許さねえからな!」
カナセは集中治療室のドアを叩きながら大声を上げた。
それを見たパロマが慌ててドアから引き離す。
「止めて下さい! あなた馬鹿ですか! こんな所で騒いで!」
「励ましてやってるだけじゃねぇか! 相棒に対してよ!」
「なら今すぐここから離れて! それに他の負傷者の治療の邪魔になります。正直言って迷惑です!」
パロマは凄まじい剣幕で怒鳴り散らした。
その気迫にカナセも我に返る。
確かに今の自分がここに居ても只の邪魔者に過ぎない。
その事に気付いた瞬間、治療室に背を向け、とぼとぼと来た道を戻っていった。
再び、ひとりになったカナセはヨークタウンの甲板上で腰を下ろすと艤装に背をもたれさせ頭を抱えた。
「ああ……なんでこんな……」
そして大きく息を吐くと、うつむきながら嘆き続ける。
まずはどんな形でもマリウスの帰還を喜ぶべきだった。
だが気の置けない相棒の喪失感がそれを上回る。
「ああ、マリウス……」
カナセは悲しみに暮れる。人が傷付いた事でこんなに落ち込んだのは多分、師匠が死んだ時以来ではないだろうか。
そうやってカナセがふさぎ込んでいると水兵のひとりが呼び掛けて来た。
「コウヤ曹長で在られますか?」
激しい戦闘の後、艦内の放送器具は伝声管の類まで使用不能になっていた。カナセはそう年の違わない水兵に呼び掛けられると顔を上げた。
「ナット大尉からです。今すぐ、ムラクモに帰還せよと」
「ボスに伝えてくれ。徹夜明けでこれから寝るんだって。それとマリウスの手術が済むまで俺はここを動かねぇ……」
「そう答えるであろうから、愚図ついたらこう答えろと大尉は仰られてました。ここはお前の居場所じゃない。お前にはまだやるべき事があるはずだ。さっさとムラクモに戻って来いと……」
「ちっ、判ったよ……」
カナセは舌打ちしながら立ち上がると再び艦載艇で旗艦ヨークタウンから離れていった。
そして戦闘母艦ムラクモに戻ると、直接、作戦室に向かった。
その道すがらムラクモの中を眺める。甲板は酷い有様だった。どこも穴だらけにされその隙間に負傷した水兵他達が寝かされている。
ボートダビットには出撃出来なかった水馬が吊られていたがどれも酷い損傷を受け、修理される見込みもない。
「もう、俺達、お終いなのか……」
そんな不穏な事をカナセは思う。
やがてカナセは作戦室に到着した。
作戦室には水上騎兵隊の仲間達が先に詰めていた。しかし全員がカナセと目が合う前から一様に辛気臭い表情を浮かべている。
辛気臭くて当然だった。死者こそ無かったが昨晩の戦闘によってカナセを除く騎兵隊の全員が負傷したのだ。その内、三人が重症、一人が生死の境を彷徨っている。
「よぅ、トラスニークの英雄さんよ。今度はムラクモとヨークタウンを救ったらしいじゃないか。絶好調だな?」
騎兵隊のひとりが作戦室の重い空気を紛らわそうとカナセを冷やかした。
そして彼の両手にも白い包帯が何重にも巻かれていた。
「そんな訳無ぇよ。マリウスが重症なんだ。あの時、分散せずに戦っていれば少尉も怪我させずに済んだかもしれないのに……」
カナセは柄にもなくクソ真面目に返してしまった。
そしてそれが良くなかった。誰も下手に返す事も出来ず作戦室の空気は益々重くなる。
ここで軽口でも叩いておけば皆の気持ちも少しは和んだのかもしれない。
その中へ大尉が入って来た。大尉も松葉杖で左足を引き摺っていた。皆、痛いのを我慢して立ち上がろうとしたがそれを大尉は止めた。
大尉は部下たちの前で、これからの騎兵隊の身の振り方を伝えた。
はっきり言えば高速騎兵隊の戦いはこれで終わりだ。任を解かれた騎兵隊はムラクモに乗せられたまま損傷した他の艦艇と共に撤退し、母国ヨシュアへ帰還する。
予定では戦闘母艦ムラクモは三日後の明け方に艦隊を離れる事になる。
その際、ムラクモに積まれている使用可能な資材の積み替えと並行して重体のマリウスもこちらに移送されるらしい。
隊員は負傷し水馬は全て失った。もはや騎兵隊に戦闘力と呼べる物が何も無い以上、当然の判断だった。
そんな大尉からの報告に一同が大きくため息を吐く。悔いが残る。こんなんじゃ暴れ足りない。自分達はまだ戦えるんだ。誰もがそう思った。そんな不完全燃焼な行き場のない気分が騎兵隊の中で渦巻いていく。
「じゃあ、俺達もうお役御免って事っすね」
皆が沈んだ気持ちの中、カナセが思わず口にした。
それを聞いても笑うどころか皆、口を閉ざす。
だが大尉だけは首を振った。
「いや、曹長。君にはここに残ってもらう。無傷の者は……、と言っても曹長だけだか、残留して他の部隊に再編される」
「再編?」
カナセが思わず聞き返す。
「じゃあ、俺はどこに回されるんですか?」
「まだ未定だ。配置転換の辞令はムラクモがここを離れるまでに言い渡されるだろう」
「それまでは?」
「それまでは私の判断で休息とする。皆、昨夜の戦闘で疲れているだろ? 短い休みだが今のうちにしっかりと休養を取れ、以上だ」
会議はこれで終了し解散となった。
皆、無言のまま会議室を出ていった。
カナセ個人にとって重要な配置転換が明日にでも行われる事になるのだが、今はその事を詮索する気分にはなれない。
結局、溜っていた疲れが後になって表に出ると、カナセは兵員室のベッドでそのまま横になった。兵員室は四人部屋で半分が患者用のベッドとなり果てていた。
隣からは負傷者のうめき声が聞こえる。しかしカナセの上のベッドからは人の気配はしない。持ち主は未だ治療のための手術を受けているからだ。
そして夢も見ないまま深い眠りに付いた。
一方、海戦の情報をギップフェル島の唯一の町、クォータービューでいち早く入手した者が居た。
「マッセル、奴の新しい情報が入ったわ。あの高速艇部隊はほぼ全滅したんですって」
街の喫茶店の中でリッタ・ブランがマッセル・タリムの前に一枚のメモ帳の切れ端を渡した。
テーブルの上で向かい合わせに座りながらマッセルが切れ端を受け取る。
紙には破壊された高速艇の船名が書かれておりその中にヴァイハーンの名前もあった。
「この情報をどこで?」
「お父様の知り合いに情報部の方が居らして、その人からよ。ここだけの話だけどあっちの船に17號っていう優秀なスパイが入り込んでいるらしいの。そこからよ」
「じゃあ、もう気が済んだんだね……」
全滅の言葉にマッセルが安堵する。
しかしマッセルの言葉をリッタは否定した。
「それがそうでもないわ。ヴァイハーンの操縦者は残念ながら生きているらしいの……メモ用紙の裏に詳細が書いてるでしょ?」
リッタはカナセが生き残った事を至極残念そうに答えた。
「それでどうするの?」
マッセルが恐る恐る訊ねる。
「勿論、生きているのなら仇を討つわ」
「本気で出向くつもりかい?」
「当然よ、その為にもう長距離用の船も用意しているの。すぐにでも出発するわ」
マッセルの質問にリッタがはっきりと答える。
だがその返答にマッセルは虚ろ気だ。
「こう言っちゃ何だけどリッタ……復讐は考え直さないか?」
マッセルが思い余って自分の考えを打ち明ける。
「やっぱり危険すぎるよ。戦闘水域に民間船で出て行って無事で済むわけがない。それが仇討ちなら尚更だ……」
だがそれを聞いてリッタが首を横に振る。
「何を言ってるの! 私はハシムを殺されたのよ。誰よりも愛しいあの人を! 復讐の何がいけないっていうの?!」
「けど、復讐なんて空しいだけだよ。それに死んだハシムも君にそんな事を望んじゃいないはずだ」
「そんな事、貴方にあの人の何が判るっていうのよ!」
リッタは机を叩いて反論した。その拍子にコップの水が零れテーブルの上に広がる。
しかしリッタの勢いは止まらない。
「私はやるわ、絶対に! あの人が死んで相手がのうのうと生きているなんて我慢できない! それに貴方だって、それが判ってて彼の死の瞬間を教えてくれたんでしょ」
それは違う。
マッセルはリッタに親友の死の真相を克明に伝える事で、彼女の中に少しでも彼の存在した記憶を残してやろうととしただけだ。
全ては彼女がハシムの思い出を胸に秘めたまま、新しい人生を迎える為に。
それが今のリッタが手にする事が出来る最良の幸せだと思ったからだ。
何も復讐を焚きつける為ではない。
しかしマッセルの思いは歪んだ形でリッタに届いてしまった。
彼女は手を尽くしてあのヴァイハーンの操縦手に復讐を成し遂げようとしている。
しかし相手は戦闘魔煌士、それと戦う事がどれほど危険な事か。
マッセルはその復讐譚が始まる前に止めなければならない。
しかしリッタの意思は固い。自分が言い続けた所で諦める様子はなかった。
それどころか逆にマッセルに言い返す。
「マッセル、私は別に貴方に無理に付き合ってくれなんて言ってないわ。気乗りしないのなら今から降りてくれたって別に構わないわよ。私一人でやるだけだから」
「そんな事無いよ! 俺も君の為に協力させて貰うよ。これからも……」
彼女を守る為にマッセルも従わざる得ない。
「とにかく、私達に有利な事がひとつあるとしたら奴等の目的地がこのギップフェルだって事よ。奴等はこちらが待って居るだけでノコノコこっちに真っ直ぐやってくるのよ」
マッセルの前でリッタが嬉しそうにつぶやく。
「待ってなさい、ヴァイハーンのカナセ・コウヤ! 私がこの手で貴方を葬って上げるから……」
そう答えるリッタの姿がマッセルには鬼神に見えた。
ふつふつと怒りの炎を燃やす復讐鬼。そんな彼女の見る度、マッセルは鬱々としたやるせなさに苦しむ羽目になった。
休息日となった次の日、カナセは手術を終えたマリウスの下に見舞いに訪れた。
マリウスの居る大部屋の病室の前にはあの口うるさい看護兵も居た。
「何か用事ですか?」
パロマは昨日、治療室の前で騒いだカナセを警戒していた。
「もう手術が終わったって聞いたから見舞いに来たんだ」
カナセはその事実を今朝方、大尉から聞かされた。
その瞬間、カナセは全身の力が抜けるまで安堵した。
「面会出来るかな?」
パロマに聞く。手には見舞いの品の入った紙袋が握られていた。
「10分だけなら可能です。それにまだ麻酔が効いたままですので寝ていらっしゃいますけど」
「ああ、そうなんだ。まあ、いいよ。10分でも構わない。生きてる顔を見たいんだ」
「判りました。10分だけですからね」
そうパロマはカナセに念を押す。そして一通りの症状の説明の後、カナセは病室に入る事を許可された。
病室に並べられた数床のベッドは全て負傷者で埋まっていた。
マリウスはその中の一つの上で点滴を打たれながら寝息を立てていた。生きていた事が嬉しい反面、今の痛々しさに胸が苦しくなる。
「やあ、マリウス。元気そうで何よりだな……」
カナセは眠ったままのマリウスを眺めながら冗談で気を紛らわそうとした。
当然、マリウスからは何の返事も返って来ない。
それ見てカナセは深いため息を吐く。
病室に入る前、看護兵がカナセに教えてくれた。
マリウスの執刀はラーマ・パトリックが執り行った。
彼女の外科医としての技術はそれは素晴らしく、通常なら死んでいてもおかしくなかったマリウスの負傷を高度な魔晄医療技術で救ったのだ。
その甲斐あってか容態は安定し傷口に当てられたガーゼからも一切、血が滲んでいない。
「会った時に、ラーマ先生に礼を言っておかなくちゃな……クレアに内緒で」
しかしマリウスがここに運び込まれた時の状態を聞かされた時は寒気がした。
彼は敵からの猛射の中、焼け爛れた炸裂弾による無数の破片を全身に受けたらしく体内から摘出された金属片の数は全部で三十二にも及んだ。更に脇腹を7.62㎜弾で切り裂かれ小腸が外に飛び出していたのだという。
カナセがカスケードの操縦席の中を目撃した時、どこも凝固した血液でどす黒く染まっていたのはそれが原因だった。
そんな状態の中、マリウスは暗い海の中を一人で戦い抜き、明け方になってヨークタウンに帰還したのだ。
「全く、大した男だよ、相棒」
眠り続けるマリウスに向かってカナセがつぶやいた。
カナセに与えられた面会の時間にはまだ余裕があった。しかしマリウスの様態を見ているとそんなに長居をする気分にもなれなかった。
「じゃあ少尉、また来るよ。ゆっくり寝ててくれ」
カナセは購買で買った見舞い用の果物缶を数個、私物入れ用の網籠に黙って入れると、静かに病室から出ていった。
「明後日にはサヨナラか……」
せめて一言会話を交わしたい。死なれるよりはマシだが、こんな別れ方は寂しかった。
そしてその夜、違う別れが訪れる。本国へと帰還する水上騎兵隊がムラクモの艦内の片隅でカナセの為にささやかな送別会を開いてくれたのだ。
宴の席には僅かながら酒類も並んでいた。ボスが艦長に頭を下げて酒保を密かに解放してもらったのだ。
「しかしカナセも曹長も災難だな。華の騎兵隊から鬼の陸戦隊に配置転換なんてな」
「まさに天国から地獄って奴だ」
酔いの廻った隊員達はそう言ってカナセを茶化した。
マリウスの見舞いを終えた後、カナセに新たな辞令が下りたのだ。
新しい配属先は陸戦隊。ギップフェル島上陸の主力部隊だった。
辞令には不満はあった。陸戦隊は遮蔽物の無い浜辺で敵の猛射を受けるのが宿命だ。これでまた死傷率が上がる。
水軍の上層部はトラスニークの英雄を尻の毛を抜くまで使い潰す気で居るらしい。
しかしカナセは表向きには一切、不満を見せず逆にこう強がってみせた。
「フンッ! 今度は陸の上で手柄を立ててやる。帰った頃には俺も大尉様になって、そんときゃお前らをコキ使ってやるからな!」
「ほほっ、大尉様か! こいつぁいいや!」
そう言って皆がカナセの冗談を笑い合ってくれた。
だがその後に隊員のひとりが気になる事を言った。
「そう言えばクレア・リエル嬢とは帰ってから会ったのか? 今の様子じゃ、そんな風に見えないけど」
それを聞いた途端、カナセがグラスを動かす手が止まった。
確かにムラクモに帰還してからクレア・リエルとは会って居なかった。
理由は彼女が医師としての多忙さが原因だった。
彼女は半ば病院船となったヨークタウンで懸命に医療行為に励んでいた。
多種多様な薬を調合し、それを負傷者に投与して回る。
それだけではない。その調合した薬がきちんと効いているのか回診も行わなければならないのだ。
そんな忙しく回る彼女の姿をヨークタウンに訪れた時、一度だけ遠目で見た。
だが何となく近寄りがたく、そのまま会わず終いになったままだ。
「らしくないなぁ~。曹長」
カナセの話を聞いて隊員のひとりが言った。
「そうだ、らしくない。若いんだから遠慮なんかすんなよ。向こうだって寂しがって待ってるかもしれないぜ」
そう言われればカナセもその気になる。
「そうだ、クレアと俺との仲なんだ。何も遠慮なんてする事は無いんだ」
ならば気合を入れて明日、また会いに行こう。カナセは心の中で誓った。
送別会は無事、お開きとなった。
皆がカナセとの別れを惜しんでくれた。
短い間だったが彼等も間違いなくカナセにとって生死を共にした仲間達だったのは確かだった




